TUESDAY - Beginner-level English 6
しかし、ちょっと今日は大事なお知らせがアル。
授業が終わる前に学生たちの注意をこっちに向けなくちゃ。
パンパンパンッ
と、大きく手拍子をする。
「ちょっと日本語タイム!覚えてると思うけれど、ゴールデンウィーク明けにグループでプレゼンテーションをしてもらいます。
聴講の学生は聞いてるだけでいいけれど、履修してる子達はグループ内で話し合って、役割分担してプレゼンの準備をしてね。
もちろん、資料は全て英語で作ってもらうし、プレゼンの後にその内容をまとめた報告書も提出してもらいます」
えーーーーー(;´༎ຶД༎ຶ`)
学生たちの不満の声が飛び交う。
ふふん、何て想定内のリアクション。
一番最初の授業でゴールデンウィーク明けに一回目のプレゼンをするっ
て、ちゃんと言ったがね?
ってか、シラバスしっかり読んでよ。
あれ作るの、実はめっちゃ大変なんだよ?
そして、ここで課題を不満に思う子とチャンスに思う子で差が出ちゃうって分かってる?
「トピックは、今回は小さく絞りません。
ただ、英語の授業なので何かしらの異文化比較と呼べるものにしてください」
「例えば、学生たちの面前で学生と先生が抱き合ったりとかですか?」
ドクン
意地の悪そうな女の子の声が奥の方の席から聞こえた。
どよめきの中で、あたしの視線が声の主を探す。
でも、学生が多すぎて、どの子が言ったのか分からない。
「今の質問はどなたからですか」
あたしは、敢えて声に出して聞く。
ソプラノの乾いた声が教室内に響いた。
シーン
沈黙が帰って来た。
陰険だなぁ。
分かってる。
あたしに対する皮肉なんでしょ?
大学内の人気者達が、何故かあたしに寄って来てくれてるのが気に入らないんでしょ?
実は他の先生方や学生たちから、さり気なく情報収集しちゃったんだ、空手部について。
だって、自分がお世話になってく団体になるかもだったんだし。
ぶっちゃけ、テレビの中のアイドルや俳優より人気があるらしいね。
それも全国レベルで。
ってか、世界レベルで。
何せ彼ら、世界大会にも出場実績が多々あるからね。
写真とか日本のみならず世界のオークションサイトに出ちゃってるし。
しかも、すっごい高い値段で
春果君に頼んでちょっと小遣い稼ぎしたいくらいだよ(*´Д`)ハァハァ
智桜って何気に偏差値も全国で一二を争う私大じゃん?
だから、学問の名門・智桜で武道の名門・空手部に所属するってだけで、文武両道なのは誰にも否定できない。
加えてあの極上のルックスでしょう。
特に、今年度代表のポジションを担ってる、あたしが出会った彼ら――日野匠・相馬湊人・佐藤彰・櫻井春果・沖田響・森琉惺。
この六人はやばいらしい。




