新学期4
「お兄さん達、サークル勧誘はオリエンテーションの後じゃないと、だめになってんの知らないの?明後日まで待ちなよ」
ハスキーな声に、そのクールな言葉づかい。
なのに天女。
何なの、敢えてギャップ萌狙ってんの?
案外聡いなぁ。
でも…激萌、激烈萌(*´Д`)ハァハァ
狙ってるって分かってても、止まんないこの鼓動。
そして、麗しの君は新入生の達に目を向ける。
「オリエンテーションは明後日だから、今決める必要ないよ。明後日、中央講堂に色んなサークル来るから、そこで決めな?まだ授業あるんだから、早く行きなよ」
女の子たちはビクッとして、
そのまま頭をペコッと下げて足早に去ってった。
日本って、老若男女問わず、みんないつでもペコってしてるよね。
何にも言わなくても、それだけで意志疎通が出来ちゃうんだから、
本当にすごい。
さすが、忍者や侍を生んだ国!
ま、忍者侍と意思疎通の関係性は不明だけど。
そんな馬鹿な事に頭を悩ましてる間に、
はるかちゃんもお猿のおケツ軍団を置いて去ろうとしてる。
ああ、考え事してても、目だけは自然にあの天女を追っちゃう。
だって可愛いんだもん。
ドクン
一瞬、時が止まった。
チラッとはるかちゃんが後ろを振り返って、
深い茶色と濃緑のガラス玉が相対する。
GODIVAのチョコレートみたいな
綺麗な丸い瞳に吸い込まれそうになる。
ああ、頭に血が上る。
だめだよ、そんな超急上昇したら血管破裂しちゃうよ。
ってか、あたしだって可愛いんだから、
ドキドキしなくていいじゃん。
しかも大学生に。
しっかりしなよ、おばちゃん。
そもそも、いつからレズになったの、あたし。
はるかちゃんは、
そんなあたしの葛藤を知りもせず、
一瞬目が合ったと思ったら、
ふいっとまた顔を連れの男の方へ向けて、
颯爽と歩き出した。
足音がしないんだけど。
ド畜生!
何から何まで可愛すぎだ。
あたしは、未知の生命体との遭遇にドキドキが止まらず、
しばらくその場で足に根が生えたように突っ立ってた。




