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美女と天女  作者: 美貝
空手部勧誘から逃げきれ!--TUESDAY
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TUESDAY -Beginner-level English 4



「横山君、頑張ったね。前置詞、よく出来てたよ」



「朝倉さん、とっても素晴らしい出来よ。次は、時制に気を付けて。過去形を使いたいのか、現在形を使いたいのか、文章を作る前に考えてみて」



「小野寺さん、今回はあまり時間がなかったのかな?いつものような丁寧さが見られなかったよ?」



あたしは、一人ひとりに声をかけながら宿題を手渡しで返していく。


英作文の宿題は、毎回の授業で出してる。


この1ヶ月でも伸びる子はメキメキ伸びた。



先生として、教え子の成長ほど嬉しいものはない、って月並みな台詞、いたる所で聞くんだけどさ。


実際に先生をしてみると、やっぱりその言葉の通りで、教え子が出来なかった事を出来るようになってく姿を見るだけで、すごく励まされるって言うか。


頑張る子は本当に可愛い。


何だってしてあげたくなる。




そしてあたしは、あたしのクラスの中で最も頑張ってる子の前に立つ。



「櫻井君、これは本当にすごい!

 あなたはお世辞にも良く出来る方じゃなかったけれど、成長率はクラスの中でトップだよ。

 特に関係を表す接続詞を良く使ってるから、文の前後関係がすごく解りやすくなった。

 これからも頑張ってね」



あたしのエンジェルは頬を真っ赤に染めて、小さくthank youと言ってあたしの添削した宿題を受け取った。


このthank youもすっごく嬉しい。



最初は、ハウアーユーとか、サンキューとか、モロ日本語の発音しか出来なかったのに、授業を受けてあたしの英語を聞いて自分でも挑戦してく内に、少しずつ口の使い方が上手になっていってる。


恥ずかしがりながら、頑張ってあたしと英語話そうとしてたもんね。




彰姉ちゃんが、どれどれ、と横から春果君の宿題を覗き込む。


長文の手で書かれた英語文章を見て、顔が誇らしげに緩む。


姉ちゃん、春果君の事もすっごく可愛いんだろうな。


彼のこげ茶のふわふわの髪を、あんた頑張ってるわね、と言って、わしゃわしゃとかき乱してる。


麗しい兄弟が戯れているような光景に、あたしの心ぽかぽかして来る。


あたしだけじゃない。


クラス全体が、この二人の存在にのまれてる。


自然に笑顔が溢れて来ちゃうんだ。




姉ちゃんが、急にあたしの方を向いて惚れ惚れするウインクを投げた。




「夏菜ちゃん、この子の事、これからもビシッバシッ鍛えてやってね」




あたしは、おどけて敬礼する。




「イエッサー!もちろんですよ。あ、マアム(ma'am)の方がいいですか」



「そんなのどっちでもいいわよ」



彰姉ちゃんは何てこと無いように手を振る。


このサバサバさ、すごく好きだな。



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