TUESDAY -Beginner-level English 2
「武道場以来だな!週末をこんな長く感じたの初めてだ!」
あぁ、今日もまた女子学生に睨まれるのか。
でも、今日は空手部に入らないって授業が終わったら言うから、きっと今日が春果君に会うのも最後になるだろうな。
彼は、あたしを誘うために授業に来てくれてたんだろうし。
ズキッ
ん?
何か心に痛みが(。´・ω・)?
「ちょっと春果、あたしにもギュってさせなさいよ」
聞き覚えのある声が、女子学生の悲痛な声と共に背後から襲い掛かる。
と、思ったら、
「わっ」
春果君の腕の中から、肩を掴まれて引っ張り出されて、春果君の腕とは違った圧迫感と温もりを感じた。
BGMは女学生の黄色い声。
うっさいなー。
そんな声出してたら咽喉潰れるよ?
これから何十年もお世話になってく、お咽喉様なんだからさ、もうちょっと丁重に扱ってあげなさいよ。
とかね、何せあたしの顔が柔らかい生地に包まれた鋼鉄につぶされてて声が出せないもんだから、つい皮肉っちゃったよ。
英語圏は皮肉パラダイスだからね。
あたしも中々の腕前だぜ?
ワイルドだろ~?(*´з`)
何度も言うけど、イラッてした人の負けだからね?♡
ってか、普通に苦しいんだけど。
「やーん、今日も可愛いわね、夏菜ちゃん!本当、お人形さんみたい」
姉ちゃんが、あたしを抱きしめたまま優しく頭をなでなでしてくれる。
嬉しい。
嬉しいけど・・・
「姉ちゃん、苦しいよ」
蚊が泣くような声があたしの口から洩れる。
「彰、夏菜が苦しがってる」
春果君があたしの腕を優しく引っ張って、また彼の温もりで包んでくれる。
ほっ
やっぱ慣れてるからか、こっちの方がずっと安心するな。
このフィット感半端ないね。
でもね、その安心感と隣り合わせで、凄まじい殺意も四方八方から感じるんだよね。
まさに、四面楚歌って言うか。
あたし、追い詰められた項羽の気持ち、今めっちゃ分かるよ!
あたし、今最大限に同苦出来る自信があるよ、戦友よ!
あんたが21世紀の今、劉邦にやられてるなら、間違いなくあたしが加勢に行ってやるのに。
「春果君、姉ちゃん。二人揃ってどうしたの?
こんな目立つことしてくれちゃって、その内あたしが、そこら辺の女学生に刺されたらどうしてくれんの」
あたしは、さり気なく苦情をもらす。
姉ちゃんが意に介さないと言う風に、素晴らしく爽やかな笑顔を見せてくれる。
「だって、あたし夏菜ちゃん、すっごく気に入っちゃったんだもの。春果ばっかり夏菜ちゃんといるなんてズルいわ。あたしとも遊んでよ」
「夏菜、ごめんな。あの後、ずっと彰が、あたしも夏菜ちゃんに会いに行くってうるさくって」
春果君は、姉ちゃんとは対照的に申し訳なさそうな顔を見せてくれる。
困ってるエンジェルフェイスも可愛いな。
もう、反則だよ。
そんな可愛い顔されたら、誰が怒ってられるって言うの?




