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美女と天女  作者: 美貝
空手部勧誘から逃げきれ!--TUESDAY
36/66

TUESDAY -Beginner-level English

四月末日・火曜日・午前10時半前;




あたし、ナズナ・パーカーは今現在、果てしない混乱の中にあり、そこはかとない不安にかられている。




何だろう、この景色。




数週間前の思い出が去来するぞ?

最近、落ち着いて来てたんだけどなぁ。




あ、ゴールデンウィーク前だから、ちょっと盛り上がってるとかかな。


日本ってゴールデンウィークが一年の中でも一大イベントなんだよね?

中国でいう労働節、オーストラリアで言う感謝祭みたいな?




あたし、先生なんだよね?

あたしが、あの教室の責任者なんだよね、今?


そのあたしが、何でこんなに躊躇してんのかな。




ってか、クエスチョンマーク使い過ぎじゃない、あたし?


昔何かの文献で読んだんだけど、生粋の日本の文章って全部句点(。)で終わるのが正当なんだよね。


“?”なんて邪道って。


あたし、馬鹿丸出しじゃん。


こんな小さなとこにも、英語との大きな違いが見えるよね。




いやしかしねぇ・・・




どうしよう、あそこに入って中を確認するのが非常に怖い・・・。




何なの、この人だかり。


今日こそテレビの撮影か?


春果君が初めて来てくれた時より、更に多くない?




学生たちよ、悪いがあたしの授業はもう既に十分な定員オーバーなんだよ。


英語の勉強したいなら、来セメスターに改めて履修してくれるかな?


そして非常勤は開講講座の人気が大切だから、他の先生の初級英語じゃなくて、ちゃんと“あたしの”初級英語を選ぶんだよ?




あたしは、漠然とした不吉な予感から足が前に踏み出せず、同じ場所でこのバカげた人だかりを見ながら足踏みを繰り返す。


女学生のキャピキャピした空気に中てられて酔いそうになる。




そんな事してたら、唐突にキャーと言う黄色い声が耳に入って来た。




え、次は何?




声と共に、目の前の人だかりが大きく二つに分かれ、華やかな花道が一瞬で出来上がった。



その道を堂々と通って、こっちに向かって来るキラキラした人影が二つ。







誰だと思う?

ねぇ、誰だと思う?(*´ω`*)






はい、ウザいって思った人の負けー。





とかね、そんなふざけてる場合じゃなくてね。





「夏菜!」






ギューッ






久々の飛びつきハグ。


もう、彼の柔軟剤の匂いもお馴染みになっちゃった。


私たち、身長差もあまりないから、ちょっと顔を上向けるとあたしの顎が、彼の肩にピタッてフィットするんだ。


ふわふわの髪の毛が、ほっぺたをくすぐる感覚も心地いい。


力強い腕と優しい温もりに包まれる安心感を、あたしの身体は覚えてしまった。




暫くはあたしから距離を取ってたのに、先週武道場に行ったからまた気が変わったのかな?



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