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美女と天女  作者: 美貝
BEAUTIFUL BOYS
30/66

5 + エンジェル 9

「よし、全員揃ったな」



緊迫した空気を、匠君の穏やかな声が破った。



「先生、うちは賑やかなのが多くてすみません。まだ他にも部員はいるんですが、一応、これが代表メンバーです」



何たることだ。


匠君は天然なのか?

空気が読めないのか?


この一触即発の空気の中、部員紹介を始めようとしている。


ってか、あの林檎の暴言を賑やかの一言で片づけるんかい!



「あ、あの匠君」



あたしは一応声を出す。


でも、匠君の無邪気な何?と伺う目に何も言えずに黙ってしまった。

何か・・・毒気が抜かれる。


周りを見ると、みんなもこんなのに慣れているのか、落ち着いて匠君の次の言葉を待ってる。


響君ですら、ズボンのポケットに手を入れて、諦めた表情で彰さんに肩に腕を置かれるのを良しとして立ってるし。


そっか、天然でこの曲者集団をまとめてるんだ。


細かい事、気にしないのね。


そうだよね、気にしてたら、胃に穴開いちゃうよね。



「自分は、さっきも言いましたが、この智桜空手部の主将です。日野匠(ひの たくみ)って言います。今、3年で学部は外国語で中国語を勉強してます」



あ、そうなんだ!

何か意外。

全然、言語っぽくないのに。

どっちかってと、哲学とかにいそう。



「そこの髪の長いのが、相馬湊人(そうま みなと)。あいつも3年で、ここで副主将をしています。学部は・・・」


「法学部だ。忘れるな」



感情のこもらない声で、湊人君が引き継ぐ。



「すまんすまん。それで、そこのボーダーのおかまが佐藤彰(さとう あきら)で、2年の経営です。でも、浪人してきてるから、年は俺たちより上なんです」


「うふふ、秘密は女の武器だからね。誰にも年は教えないの」


「何が女の武器だ。お前は女じゃなくて、おかまだろ」



ボソッと声に出した響君のお腹に、拳がめり込むほどの突きが入る。



「~!!!!」



響君がお腹を抱えて震えてる。


あーあ、あんたは常に一言多いのよ。



そして、もちろん、そんなのは丸無視して紹介を続ける匠君。



「そこに立ってる遅れて来たのが、森琉惺もり りゅうせいです。あいつは、この中では正真正銘の最年少で2年で情報システム工学に所属してます。ハッキングが大の得意って言う困った奴です」



匠君は、そのいっそ困った風な感情のこもらない、おっとりした声で琉惺君の事をたしなめる様な紹介をする。


そして、そのまま響君の方に目を向ける。



「あの活きのいいのが沖田響おきた ひびき、2年で自分と同じ外国語学部です。年は3年生と一緒ですが、去年一年アメリカへ留学していたから、扱いとしては2年扱いになってます。ちなみに、専攻は英語です。先生とも英語で話せますよ」


「あら!」



あたしはビックリして、響君に目を向ける。


あんたが一番あたしと共通点を持ってるなんて、ビックリだわ!


響君は、あたしの顔が見たくないのかプイッと目をよそに逸らしている。



「そして」



匠君の声に意識を戻された。


おっとりした声の方に目を向けると、匠君と視線が合った。


彼もこっちを見ている。


こっちってより、あたしに抱き付いている春果君を見ている。


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