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美女と天女  作者: 美貝
BEAUTIFUL BOYS
29/66

5 + エンジェル 8

あっはっは。


そんなあたし達の手を大きな笑い声が止めた。



彰さんが大口開けて豪快に笑ってる。

匠君まで愉快そうに声あげちゃって。



彰さんは響君の肩をバシンッバシンッと強く叩く。

響君がイライラとその手を払う。



「響、今のはあんたの負けよ。夏菜ちゃんが正論だし、反論できないからって手をあげようとするなんて論外よ」



そう言って彰さんはまた、はははっと笑う。


姉ちゃん、笑いすぎだよ。

涙出て来てんじゃん。


あたしは呆然とその様子を眺める。



「ま、うるさかったが今のは確かに響が悪かったな、うるさかったが」



後ろから冷静で綺麗な声が続いた。


鏡磨きが終わったのか、湊人君が無表情で立っている。

今日も髪を後ろで束ねてて、軽く耳にかかった後れ毛がセクシーだ。


そして、何て清潔感溢れる服装。


ピタッとしたグレーのチェックパンツに、上はシンプルなブルーのシャツ。


それにちょっとダボッとした白いカーディガンを合わせてる。

胸元のワンポイントは・・・フレッドペリーか。


大学生のくせに生意気なくらいセンスがいいな。



「ひーびーきー、女の子に手を出すのはアウトよー。お前、そんなだから女の子から怖がられるのよ?」



今度は、さっき武道場に入って来た方から、ゾクッとするようなセクシーな声が聞こえた。


そこには、あたしを置いてどっかに行ってたエンジェルと、オリエンテーションで響君と組手を披露してた葡萄頭の子が立ってた。



くっそ、エンジェルめ!

あんたの所為で、あたしは居たたまれなかっただろうが!

エンジェルの名が泣くわ!

あたしが勝手に呼んでるだけだけどな!



そして葡萄!

露出し過ぎだ。

服のボタンを留めなさい!



葡萄頭はシャツのボタンを胸元まで開けている。

そこから素肌に映えるシルバーのプレートペンダントがのぞく。


確かにカッコイイよ。

すっごく似合ってると思うし、セクシーだと思うよ。

上が派手な分、下を黒一色でシンプルに決めてて嫌らしさは微塵もないしさ。


でも、君はまだ大学生だ!

そんな破廉恥はいけない。

先生は、教育者として見過ごせない。



「夏菜!」



春果君があたしの方に、トテトテ走って来る。

けっ、今更来てくれたって。

あたしは胸元で腕を組んで、拗ねたようにそっぽを向く。


しかしそんな事しつつも目線だけチラッと動かし、今更ながらに春果君の服装を他の部員と比較してみる現金なあたし。


だって、みんな性格出てて面白いんだもん。


今日のはるちゃんは、赤と青のチェックのシャツを白い英字プリントTの上に羽織ってる。


はるちゃん、英字プリント大好きだな。

"Because I love you"って、何てロマンティックなフレーズだ。


そして、濃い藍色のストールをアフガン巻き。


あ、こないだあたしの首に巻いてくれたストール返さなきゃ。

実は、まだあたしが持ってんだよね。


何となく、彼の私物をあたしが持ってるのって、いい気分にさせてくれちゃって。

ちょっとあたしは特別って気分になれちゃうんだ。


下は栗色の程よくフィットしたチノパンツ。


ああ、カジュアルなのにお洒落で素敵だな。

ボーイッシュな女の子でも十二分に通用する、愛くるしい外見。



「夏菜!ごめんな!琉がいつまでたっても来そうになかったから、電話して迎えに行ってたんだ。響に何もされなかったか。ごめんな、連れてけばよかった!」


「おい春果!お前、めんどくさいの連れて来やがって。こんなキーキーうるさい猿は山に返せ」



春果君は心配そうにあたしの肩に手を置いて、上から下までチェックする。


見過ぎだって。

恥ずかしいって。


お猿と呼ばれた事がどうでも良くなるくらい、春果君は入念だ。



(でも、あたしゃ聞き逃しちゃいないよ、今の暴言。

ひじきよぉ、覚えてやがれ。)



そして、満足したのか横からあたしをギューッと抱きしめた。


そのまま、怒りで紅潮した顔を響君の方に向ける。


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