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美女と天女  作者: 美貝
BEAUTIFUL BOYS
24/66

5 + エンジェル 3


「あんた達、いい加減にしなさいよ。公衆の迷惑なのよ。もうガキじゃないんだから、子供みたいに喧嘩しないの。大学生としてどう振る舞うべきか、考えなさい。まして、あんた達は智桜空手部の看板を背負ってるのよ」


「うっせーなぁ。これは喧嘩じゃねぇ。チームメイトとの大事なコミュニケーションなんだよ。スキンシップだ、スキンシップ。な、春果」



林檎頭、もとい、ひじき君、あ、また間違えた。

響君がいたずらっ子の顔で春果君の頭をガシガシといらう。

その手を春果君が、うっとうしそうに肘で払ってる。



「やめろよ、触んな、響。お前が悪いんだからな。夏菜に手出すな」



春果君はそう言いながら立ち上がったかと思うと、あたしの方に駆けて来た。

決意こもる表情の、激烈プリティーフェイス。


や、やめてくれ、春果君。

そんな事したら、あの二人の目にあたしが入っちゃうじゃないか。


そして、入っちゃう、と。

うん、分かってた。


あの、響君の反感こもった目。

何で、そんなにあたしを嫌がるの?

そして、兄ちゃんの嬉しそうな目。


Oh wow, 何て対照的!

ここの人たちって本当、極端だな。

何かを極めた人って、その分どこかが抜けてるって言うよね。


大学の先生達も一つの事に集中して来た分、どこか抜けてるってか、一般社会じゃやってけないんだろうなって人ばっかだもんね。

あたしも人の事言えないんだろうけどさ。


空手を極めてるこの子達も、きっと空手にエネルギーを割いた分、どっかが抜けちゃってるんだな。

春果君の背中越しに、そんな事を徒然なるままに考える。


あ、春果君って、あたしと背はあんまり変わんないし細いのに、肩幅は結構あるんだ。

後ろ姿からだけでも、既に只者じゃないってオーラが溢れてるよ。


どうやったら、こんな男の子が育つんだろうね。

先生、教育者としても興味深いと思っちゃうよ。



「可愛い!」



気付いたら、柔らかなボーダーニットに身体をくるまれてた。


ふっ、もう何が起こっても驚かないぜよ。


あたしの常識からは外れたことを、この一ヶ月で既に半年分くらいは経験したからね。

主に、君たち空手部のお陰で。


あたしはニットの中で、ドヤ顔をつくる。



「あんたが、春果の言ってた先生ね!ちょっと良く顔を見せなさいよ」



あたしのドヤ顔が、大きな手に両側から包まれて上を向かされる。

とっさの事に、あたしの表情が固定される。



「あら、面白い顔ね。でも、本当にきれいな色の目。エメラルドグリーンって言うのかしら。宝石みたいね。髪の毛も、地毛でこの色なんでしょう?まぁ、さらさらのふっわふわね。肌もつるつるじゃない、憎たらしい」



綺麗な顔が間近であたしの顔を細かく観察してる。

面白い顔で悪かったな。

両手に挟まれて顔が動かせないんだもん、表情そんな急に変えられないんだもん。


ってか、何だろう、何か違和感がアル。

何か違和感がアルゾ。



「小さい顔。あたしの両手くらいしかないじゃない。鼻も日本人よりちょっと高いのね。ハーフってこんなに違う顔立ちになるんだ?すっごい可愛い。あたしのお人形として連れ帰っちゃいたいくらいだわ。そんで、色んな服着せてみたいし、ネイルとかもやってあげたいわ」



そう言って兄ちゃんは、あたしの顔から手を離し、その手であたしの手を持ち上げて観察する。



「あら、あんた手がちょっと荒れてるわよ。女の子なんだから、大事にしなさい」



兄ちゃんは、肩からかかってる鞄からハンドクリームを取り出して、あたしの手に丁寧に塗ってくれる。


あー、いい匂い。

癒される~。

最高っす、兄ちゃん。


そのままハンドマッサージをしてくれて、あたしの目がとろーん、ってなる。


兄ちゃんは、合わせてご機嫌な鼻歌まで聞かせてくれる。

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