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美女と天女  作者: 美貝
BEAUTIFUL BOYS
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Skype Talk With Elena

「もうね、すっごいイケメン集団でね」



あたしは、あたしの相棒MacBookちゃんのスクリーン上の親友に興奮してまくし立てる。



「ただただ、オロオロするしかないって言うか。あんな綺麗な顔に囲まれたの初めてでさ!」


「へぇ、そうなんだ。でも、男は顔じゃないよ」



あたしの親友は、サラッとあたしの興奮に水を差す。

ちっくしょ、相変わらずクールなんだから。


でも、そんなとこも好き。

いつも、あたしの暴走を止めてくれる、あたしの大好きな英玲奈。

オーストラリアではずっと一緒だった。


あたしが日本に来てからも、頻繁にSkypeで連絡を取り合ってる。


病める時も健やかなる時もずっとずっと一緒だ。

もう夫婦だよ、夫婦。

We are forever together!


ってか、そんじょそこらの夫婦より、あたしらずっと繋がってっからね?


あたしは、にまにまと英玲奈の顔を見つめる。


英玲奈も、あたしと同じでミックスなんだよね。

でも、お父さんが日本人と白人のハーフで、お母さんは生粋のイギリス人だから、外見はモロ白人。

クォーターってやつ。


それでも日本名としても通用する名前がついたのは、お父さんが日本の血に誇りを持ってて、いつか英玲奈が日本に来たいと思った時にペーパーワーク等で面倒が増えないように、との配慮からだって聞いた。


確かに苗字は武井だしね。

名前だけ見たら、日本人として疑わないよね。

彼女、日本語あたしより上手だしね。

ああ、何てこった。



しかし、今日も可愛いな、英玲奈。


真っ白な肌に、輝くダークブロンド。

サラサラのストレートを、ベリーショートにカットしてて見た目は典型的なクールビューティ。


それに、すっごく綺麗なブルーの目。


でね、完璧な形の高い鼻の周りにそばかすがあるんだ。

そのそばかすが、とても可愛くて、本人は嫌がってるけどあたしは大好き。ボーイッシュで健康的な魅力を添えてると思う。


滅多に笑わないけど、笑ったら何とまぁ魅力的なえくぼにもお目見え出来ちゃうんだ。


女の子っぽい服着たら絶対似合うのに、いつもシンプルな服装でさ。


今日も胸元が広めに開いたカットソーに男物のペンダントを2つ重ね付けしてるだけ。

ま、そんな着飾らないところも素敵なんだけど。


あたしの自慢の大親友、英玲奈。


ああ、Skypeだけじゃ物足りない。

会いたい会いたい。



「何なの、じっと私の顔見て。著しく気持ち悪いんだけど」


「だって英玲奈が著しく可愛いからさぁ。英玲奈も日本に来てよ、あたし英玲奈いないと寂しくて死んじゃう」


「あんたバカ。その程度で死ねるなら、人間だれも苦しい思いしてまで自分で自分の命を絶とうとなんてしない」


「だってね、これは深刻だよ。あたし、日本に友達一人だっていないし、例え出来たとしても英玲奈以上の人なんて絶対いないもん。地球上どこを探したって、あたしには英玲奈だけだね」



「・・・何かそこまで言われると、逆に怖いよ。あんた、私のストーカーにとかなんないでよ」


「そんなん、する訳ないじゃん!英玲奈が嫌がる事は、あたしは殺されたってしないね」



「何なのさっきから、死ぬとか殺すとか嫌な単語ばっか出して。何か死を覚悟するような事でもあったの?」


「あ、そう!そう言えばそうなの!だからね、振出しに戻るけど、ものすっごいイケメン集団に会ってね、もう見てるだけで昇天できそうなくらいカッコよくてね」


「あたしも繰り返すけど、男は顔じゃないよ」



あ、すっごいうんざりした顔してる。

すっごく聞きたくないって顔してる。


やだなー、英玲奈。

そんな顔されたら逆に何が何でも聞かせてやるって燃えてきちゃうじゃん。

あたし、英玲奈の嫌がる顔大好きだもん。



「チッチッチ、英玲奈、あたしも今日までそう思ってた。でもね、男は顔じゃないってのは全ての男に適用される訳じゃないと、今日教わったよ!奴ら、カッコよすぎてさ、あんだけ整った顔立ちでいたらさ、何したって許されちゃうって言うか、何したって天使の悪戯にしか見えないって言うか」


「あんた、まじ末期だね。やばいよ。明日病院行きなよ、頭のね」



英玲奈は、本気であたしの頭を心配してくれてるのか、眉間にしわを寄せてあたしのデコが映ってるんだろうと思われる辺を真剣に見てる。


カメラはパソコンの上部についてるから、あたしから見たら英玲奈はちょっと俯いているようにしか見えないけど、あたしは英玲奈の考えてる事いつだって何だって分かっちゃうんだ。


だって親友なんだもん。



「失礼な!あたしの頭はいたって健全だ。今日も健やかに通常業務に勤しんでくれているよ」


「そうなの?だから、そんなうっとうしいんだね。何かもう醸し出すオーラって言うか、もはや顔から暑苦しい。こっちはもう秋だけど、まだまだ暑いんだから、そんなうっとうしい顔しないでくれる?」



えっ、ちょっと酷くない、親友よ。


あたしが、今日の感激をこんなに全身全霊でシェアしようとしてるのに、うっとうしいの一言で終わっちゃうの?


ねぇ酷くない?


ってか、あたしの頭、通常業務の時だと暑苦しいの?

それって、基本いつも暑苦しいってことだよね?


普通に酷くない?



でもね、クールビューティの英玲奈に言われると、冷たい言葉でもキュンキュンしちゃうって言うか、もっと罵倒してってくらいの気分になっちゃうから不思議。


やー、あたし終わってんなー。

あたしまで、自分の事が心配になってくるわー。



「実際ね、確かにムカつく林檎もいれば、超気の合いそうなおネェもいたりね。取り付く島もないようなクールビューティってより最早あれは、フリージングビューティだな、そんなのもいたりね。個性的じゃない訳じゃなかったよ?」


「ない何回も言わないでよ、ややこしいな。

 そうなんだ。曲者の集まりなのね。綺麗な薔薇には棘があるんだからね。あんたみたいなペーペーが近づいたってやられるだけだよ?」


「それは、あたしもそう思う!だから、今日も結局何も言わずに帰って来ちゃったもんね」



そう、麗しい花園だった。

華やかで爽やかで心が洗われるような。


ホストクラブのホスト達のようなこれ見よがしに飾り立てた華やかさじゃなく、日々の努力と内面の知性が整った容姿からにじみ出てる、そんな上品で洗練された麗しさだった。


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