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美女と天女  作者: 美貝
HARUKA
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熱血・あ・た・し!2

そう。

あたしは、色んな意味でドキドキさせれる事がなくなって(ほら、胸がときめいたり、身の危険を感じたりさ)喜ぶべきなんだろうけど、無くなったら無くなったで寂しくもある。



ってか、寂しい。



お日様の笑顔が足りなくて、心が陰っちゃってる感じ。

かと言って、彼にあたしにもっとくっつけって言う訳にもいかないし。

どこの変態だってなっちゃうよね。


あたしは、変人まではなってもいいけど、変態にはまだなりたくない。

うら若き乙女でいたい。


他の学生たちも、少しずつ外人顔のあたしに慣れてきてくれて、段々親しく話してくれるようになってきた。

距離感があたしと春果君のそれと変わらなくなってきた。


恥じらいながらも頑張って英語で会話しようとする姿が、とても可愛い。

出来るだけ色んなもの、彼らから引き出してあげたいって思う。



(~♪)


よし、爽やかな開始の合図だ。

聞きすぎて、もうこのメロディー覚えちゃったぜよ。


いつか曲名聞こうと思いつつ、いっつも忘れちゃって未だに誰の曲か不明って言うね。


このままじゃ、いつまで経ってもカラオケで歌えないじゃんね。

ま、こっち来てから、まだちゃんとした友達も出来てないから、カラオケに行くようなこともないんだけどさ。



決めた!

友達が出来たら絶対一緒にカラオケに行ってもらおう!



あたしの大好きなYUMIちゃんやaikaちゃんを歌うんだ。

あたし、実は乙女チックな歌が超得意なんだよね。

何て可愛いあたしにピッタリなんだ。


って、また脱線!

授業だ、授業、あたし。



今日の内容は、難しい。

前置詞の使い方について。

厳格に言うと、前置詞の感覚をノンネイティブが得るなんて不可能だと思う。

先生としてこれ言っちゃっていいのって感じだけど。


でもね外人にとって、どれだけ長く住んで努力しても、“て・に・を・は”等の感覚を習得するのが非常に困難なのと同じなんだ。


それでも敢えて授業でするのは、最低限のイメージを把握するのとしないのとじゃ、英作文・英文読解に大きく差が出るから。

これ知ってたら、きっと今後すっごく役に立つ。



「じゃぁ今日はね、とても難しい内容をするから、日本語を使います。今日だけは、特別に質問等も日本語を使っていいですよ」


教室がザワついた。

そりゃそうか。

だって、いつもは日本語は絶対使っちゃダメってルールになってるからね。

学生たち、きっとあたしの日本語能力疑ってただろうしね。


残念でした。

実は、あたしは英語も日本語も、どっちも出来ちゃうんだよ。

すごいだろ、あたし。


日本語は思春期を海外で育ったせいで漫画から語彙を増やしたとこもあって、ちょっと言葉遣い違う時もあるらしいけど。

ま、今のところそれで支障はきたしてないから。



「先生、日本語できるんですか」



あ、むしろ口に出して聞いちゃうんだ。

そっかそっか。

その、疑問をしまっておけないところ、学生として素晴らしいね!

軽く失礼な質問だけど許してあげる。



「出来ますよ。あたしは、半分は日本人です。オーストラリアにいたのは、中学から大学院までで、幼稚園と小学校は日本の学校を出てますから」



はい。あたしの面白くも何ともないプライベート情報、カミングアウト。



「先生、その顔で日本の学校に行ったの?!いじめられなかったんですか?」



おいこら、どう言う意味だ。

その顔ってどう言う意味だ。


他の学生たちが笑ってる。


君たち、今の発言の何が面白いんだい、言ってみな?

お姉さんが吟味してあげるから。


あたしは氷の微笑を口元に貼り付ける。



「だって先生、外人の顔じゃん。すごく目立つから、いじめられなかったのかなって」



先生の過去はどうだっていいんだよ。

あたしがいじめられようと、いじめられまいと、今ここに先生としてみんなの前に立っていて、未来の希望を育ててるって言う事実が大切なんだよ。


あれ?

何か、あたし熱血教師っぽい事言ったくない?

夕日に向かって走れ的な、ちょっと青春っぽい事言ったくない?


ちょっと、あたしを乗せるんじゃないよ。

あたしがその気になったら、知らないよ?



「先生の過去はいいんだよ、君たち。大切なのは、今ここで可愛い学生たちを教育してるってことだろ。先生と教師の絆!これほど麗しいものはない。みんな、黙ってあたしについて来るんだよ!あたしが、君たちのために何だってしてあげるからね」



あたしは親指を立てて自分をピッと差した。

見よ、この満面のドヤ顔を!


ふっ、決まった。


我ながら惚れ惚れするわ。

教え子のために体を張る教師。


ああ、何て麗しいんだ。


実際、あたし、君たちのためなら出来る事何だってしてあげる覚悟は出来てるよ。


だって、あたしは君たちの先生なんだから。

先生って、子供たちを教え導く存在だろ?


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