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美女と天女  作者: 美貝
HARUKA
14/66

接近4


「夏菜!二週間ぶりだな!お前の初級英語って、俺の実験の時間と丸被りだから、予定合わすのに時間食っちまった。今週から、俺、時間出来たから毎回会いに来るからな」



弾んだハスキーボイスが耳元で響く。

もう、振り返らなくても誰か分かる。


なるほどね。

カッコいい先輩か。


確かに、君だったら100人でも200人でも、立ってるだけで集めちゃうだろうよ。

テレビの撮影なんか目じゃないね。


あたしだって、きっと今体温50度くらい急上昇してる。

蒸発寸前だって。


ああ、あたしの心臓がドキドキ言ってるの、君の腕に伝わってるだろうな。



「春果君、久しぶり。来てくれてありがとう。すっごく嬉しいんだけど、みんな見てるからさ、離してくれるかな?」

「あ、悪い!嬉しかったから、つい」



胸元の圧力から解放される。

ホッと息が漏れる。

振り返ると、きまり悪そうに笑うキューティーエンジェルが立ってる。

ああ、ほんと何してても、どんな顔してても可愛いな。


相変わらず、触ると気持ちよさそうな、ふわふわの栗色の髪。

ひげとか生えてこないのかな、と無邪気な疑問すら湧いて来るつるつる、すべすべのお肌。



キュンッ

あ、心臓掴まれた。



今日はダボッとめのチノパンツに、シンプルなパステルピンクの英字Tシャツ、それに黒いテーラードジャケットを合わせてる。

グレーのストールがすっごくおしゃれで似合ってる。



キュンキュンする。

やめてやめて、授業前に。



はっ!

てか、授業前なんだよ。

キュンキュンしてる場合じゃねっつの!



「春果君、今日は聴講?」


「ああ、邪魔になんないかな?夏菜の先生姿見たくて来ちまった」


「ふふ、大丈夫よ。ありがとう。じゃぁ、空いてる席に座ってくれるかな?もう授業始まるから。あと、授業中は私の事、Ms. Parkerって呼んでね」


「分かった」


春果君は、まだ何か言いたそうだったけど、あたしの今話しかけるなと言う意図をくみ取ってくれたのか、すぐに席に戻ってくれた。必死のオーラが出てたのかもしれない。

賢い子。


そして、彼が去るのに合わせて感じる敵意満々の鋭い視線。

と、言うか殺気?

これを世間では殺気と呼ぶのか?

四方八方から投げられてる。


こ、怖ええぇぇぇ。

女の嫉妬、ギザ怖す!

あたしゃ、針の筵だよ。

そろりと、一つの視線を辿って行ってみる。

血走った眼と視線がぶつかる。


ひぃっ!

今、女子と目を合わせたら、殺られる!


さすが春果君。

何て熱狂的なファン達を持ってるんだ。

刺激しちゃだめだ。

穏やかな笑顔で今日は男子学生ばかり当てよう。


こんなおばさんが、春果君と話してる事すら気に入らないんだろうな。

あたしにとってだって、何でこんな懐いてくれてんのか疑問でしかないもんね。


そして春果君は、あたしをこんな四面楚歌状態に追い詰めてる事に見事に、一ミクロも気づいてないしさ。

新入生に混じって座って、頬杖ついて嬉しそうな顔でこっちを見てる。こっそり手とか振っちゃってさぁ。


あぁぁ、スーパープリティー♡(*´Д`)ハァハァ


君さぁ、自分がどれだけ可愛いか分かってる?

何でこんだけ可愛い女子達に囲まれて、無関心でいられるんだ?

君に群がってる女の子たちを見てみなよ。


これから授業だってのに、誰もあたし(先生)を見ちゃいねぇ。



「Ok, then, let’s begin, everybody. Please open your textbook, page number 24.」



あたしは、冷や汗ダラダラで授業を始めた。

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