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美女と天女  作者: 美貝
PROLOGUE
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新学期1

「よし、今日もかわいい、あたし!」



あたしは、鏡の中から見返す輝く美女に向かって微笑んだ。

鏡の中の彼女も優しく微笑み返してくれる。


細身の身体を包む爽やかな若竹色のワンピースが、

白い肌、ダークグリーンの垂れ目と、ブラウンの長いウェーブヘアを抜群に引き立てている。


優しそうな顔つき。

丸いほっぺも、薄めの唇もふんわりした桃色に色づいてる。


疲れなんて、どこにも見えないよね。ホッ、安心。


ふっ…実は、激疲れているけれどね!


オーストラリアから、日本に越してきて早二週間ちょい。

この大学には、先週から出勤している。


まさか、あたしが日本で英語の先生になるなんて。

いや、非常勤だけどもね。

あたしの中の血の半分は生粋のジャパニーズだしね!


それでも、こんな若造にこんな就職難の時代に、こんな条件の良い仕事がもらえるなんて奇跡でしかない。


合格通知を見せた時のお母さんの顔、

今思い出しても笑える。ぷっ。


(~♪)


授業終わりの音楽が鳴った。

これ、何の曲なんだろう?

流行りの曲なのかな?


しかし、授業の初めと終わりに音楽を流すなんて、

日本の大学って何ておしゃれ。

こんな小さなところに溢れる繊細な心配り、本当に素敵だわ。



「はい、じゃぁ今日はここまで。I’ll see you next Monday, guys. Enjoy your first week!」



満面の笑顔で初授業、終了。

なのになぜか学生ポカーン。

あれ?何か間違えた、あたし?英語ダメだった?


みんな顔赤いんだけど。

緊張させちゃったかな、ごめんね、先生、最初から英語使いすぎちゃったかな。


そうだよね。

外国語だもんね、緊張するよね。


まだドぺーぺーなんだけど、いい先生になれるように頑張るからさ、

温かい目で見守ってよ。


少しずつ、学生たちが席を立っていく。

まだ、クラスの中で友情関係が出来上がってないからか、基本一人か二人でササッと去ってく感じ。


見るからに新調したって感じの服が初々しくて可愛いね。大学は制服着なくていいもんね。


ペコッ。するかしないかのお辞儀を私に向かってしてくれてから出てく子もいる。

あたしもペコッ。

ふふ、これから頑張ってね。


初授業のプレッシャーから解放されたのもあって、自然と笑みがこぼれる。

あたしも帰らなきゃ。

今日は、もう一つ午後に授業があって、それで終わり。

もう一度、クラスのパワーポイントとプリントのチェックしとこう。


いつもはもっと適当なんだけど、今日は初日だし、しくじれないからね。

ガラじゃ無い事してて本当、ストレスたまるわぁ~。


あたしは、学生のいなくなった教室をもう一度見まわしてから、廊下に出た。

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