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現代怪談 こっくりさん編

作者: 夜乃

いつも、ファンタジー小説を書いている作者ですが、今回ホラー小説に挑戦しようと思い投稿しました。

ちなみに、読んでいるとわかりますが、一応続編を夏のホラー2014には出しませんが、製作する予定です。

・・・まあ、本当はすでに作成していた作品の設定を夏のホラー2014にあわせて、改良したため続編は過去から始まるんですけどね。

一応、9月には投稿する気でいるのでお楽しみに・・・

俺がこの噂を聞いたのは、新学期が始まってすぐのことだった。

いつものように、部活動で使う教室がある特別校舎に向かう途中に同じ三年一組のクラスメイトの吉川(よしかわ)春樹(はるき)に学校でこっくりさんの噂について質問されたのだ。


「こっくりさんをすると必ず怪現象が起こる教室がある?」


「そうそう、お前その教室知ってるか」


「何故俺が知っていると思うんだ?」


「だって、お前オカルト研究部の部長だし、あの有名な真白先輩とも仲がよかっただろ。それに噂してるやつの中にはオカルト研究部の部室じゃないのかって話もあるんだぞ」


俺は溜息を吐きそうになったが、ここは堪えた。

まず、オカルト研究部の部室に入るには職員室から鍵を取る必要があるし、それにもし何とか部室には入れたとしてもあそこで幽霊を呼び出すのはまず不可能だ。

なぜなら、俺と先輩が霊感体質だったため幽霊を引き寄せやすいため、部室にそんなのが居られたら面倒なため俺と真白先輩の二人で御札を教室の隅に貼って結界を作った。

そして、魔除けのために市松人形や盛塩なども用意しているためこっくりさんなどの降霊術をするには適してない。

やっても、かなり強い奴か勘違いだけだろう。

俺が考えていると、吉川のスマフォにLINEのメッセージが入った音がした。


「誰からだ?」


「たぶん、こっくりさんをするメンバーだよ」


「誰とするんだ?」


「部活の同級生1人と後輩2人とその友達1人」


「で、場所はどうするんだ?」


「それが、他の奴らもその場所を探してるんだが見つからないらしく、どこでするのかまだ決まってない」


「そうか。で、結局こっくりさんはするのか?」


「・・・よし、お前の部室を使わせて・・・」


「断る」


俺は間髪いれずに言うと、吉川は泣きついてきた。


「頼むよ。もし、その場所を見つければ賭けで俺が勝てるんだ。何とかしてくれ」


「・・・いやだ」


俺は自分が思っていた以上に冷めた言葉で返した。

正直、この頃は先輩との思い出がある部室を部外者に入ってもらいたくなかった。

だからこそ、俺は自分が思っていたよりもキツめに言葉が自分の口から出たことに内心驚きつつも、どこか納得していた。

そんなことは露知らず、吉川はどうしてもと懇願する。


「他を当たれ」


俺はそう言うと、吉川を無視してそのまま帰路についた。

今日はもう、あの教室には行きたくなくなったからだ。



事件はその日から約2日過ぎた日に起こった。


吉川は朝、俺が登校してくると嬉しそうな顔で近づいてきた。


「なんだよ?」


「いや、前に言っていた噂の場所が見つかったんだよ」


「そうか。それはよかったな」


「なあ、お前も今日複数人でやるんだけど参加しないか?」


「・・・どうしてだ」


「逆に、オカルト研究部のお前がどうしてこっくりさんに参加しないんだよ」


「だって、こっくうりさんは霊現象じゃなくても10円が動くことは実証されてるんだぞ」


「え、そうなの・・・」


「まあ、いいや。とりあえず、こっくりさんやるなら準備したいものがあるから今日は6限で終了のはずだから4時半から参加するよ」


「わかった。やる奴らに伝えておくよ」




そして、時間は放課後になり、俺は学校をでてスーパーに来ていた。


「さて、本物だった場合稲荷寿司とか油揚げ買っておこう」


そして、お目当ての物と学校の近くに自分の住んでいるマンションがあるので、そこで魔除けと対策の品をいくつか持ち学校に向かった。

学校の校門の前で吉川が待っていた。


「遅いぞ。もうはじめてるからな」


「あれ、お前たちがやるんじゃないのか」


「ああ、俺たちは今回は見学ってことになった」


「で、場所はどこだ?」


「三年四組の教室らしいぞ」


「ふーん」


「待たせてるんだから行くぞ」


俺と吉川は学校に移動し、一階の教室棟の奥から三番目の教室に入った。

中には10以上の人間がいた。

まず、俺のクラスメートの女子が三人と男子が二人こっくりさんをするであろう机の周りに集まっていた。

そして、それを傍観するように生徒会役員5人と吉川とこっくりさんをする予定になっているメンバーが集まっていた。

俺たちが教室に入ったことを確認すると、机に座っていた女子の一人が立ち上がり、今回のこっくりさんの説明を始めた。


「さて、今回はこっくりさんをすると怪奇現象が起こると言われるこの三年四組の教室で実際に行ってみたいと思います」


女子がそう言うと、周りは盛り上がり始めた。

そして、こっくりさんが始まったのだが・・・結果は特に何も起こらなかった。

まあ、当然の結果だろうと俺は思っていた。

なぜなら、彼女たちがやっていたのは不完全なこっくりさんだったからだ。

実際本物のこっくりさんをしたければ、準備や手間は大分掛かるのだ。

まず、こっくりさんをするためのに用意する紙自体にも様々な工程が必要なのだ。

字を書くときに、こっくりさんに参加する人の唾液、もしくは血液などを入れたり、今回俺が用意したような、こっくりさんに対しての供物、他にも場所なども重要なのだ。

場所と言う条件は満たしていただろう。

まあ、もし俺が一緒にこっくりさんをやっていればなにかが来たかもしれないが・・・。

だってあの教室は良くも悪くも、色々なものが溜まりやすい環境になっていた。

なので、霊感がある俺が降霊術であるこっくりさんをすれば何かしらを呼び寄せることが出来たかもしれないが。

そのことは一旦置いておいて、こっくりさんが終わった後一つ三年四組の教室に関することで思い出したことがあった。

まだ俺が高校一年時、部活で真白先輩に聞いた話だ。




この月宮学園で昔自殺か他殺かよくわからない事件があったそうだ。

死んでいたのは、月宮学園高等部三年の女子生徒だったそうだ。

死因は刃物で心臓が刺され死亡していたのだが、その現場の様子が少しおかしかったそうだ。

まず、その刃物はその教室の黒板の前に落ちていた。

そして、少女の遺体は教室の奥の窓側の席に座った状態になっていた。

警察は最初、他殺を疑ったのだがその刃物には少女の指紋がついていた。

血まみれになっている指紋が・・・。

そして、その血はDNA鑑定の結果少女の血であることも判明している。


と、ここまで先輩の話を聞いて俺は先輩に疑問に思ったことを質問した。


「真白先輩、それは本当の話なんですか?」


俺がそう言うと、真白先輩はさっきまでの話しを語っていた時に浮かべていた真剣な表情から一転して表情を緩めて言った。


「よくわかったね。うん、君の予想通りこの話は作り話だよ」


「まず、そんな話があったら大きな事件としてニュースや新聞で情報が載っています。それに、載って無くてもネットを使って俺が調べてないわけ無いじゃないですか。この学校については先輩に出会ってからも歴史を調べていましたからね」


「でもね、この噂は形が変わって語り継がれてるんだよね」


「え・・・。意味が分からないんですが」


「僕も驚いたんだけどこの噂は女子生徒の死に方が色々と変わりながら語り継がれてるんだ。最初は首吊りから始まったらしいのだけど。まあ、最初は誰かがいたずらで変えたのが始まりかなと思ったんだけど、それも違うみたいなんだよね」


「どういうことですか?」


「だって、その噂の出所が毎回分からないんだもん」


「先輩がですか?」


「違うよ。この噂はまだ、オカルト研究部にちゃんと部員がいたときから毎年ではないけど2年から3年の間に一回はあったみたいだね。昔の活動記録を調べていた時に見つけたんだ」


真白先輩はそう言うと、部室にある本棚からいくつかのノートを取り出し俺の前に差し出した。


「これが活動記録だよ」


俺は活動記録を適当に一冊手に取りパラパラとページをめくっていると途中で栞が挟まっていたページの報告部分を読んでいった。

そして、その活動記録を閉じると他の活動記録も同じように栞が挟まっているページを読み、また他の活動記録を手にとり読んでいく。

そして、先輩に渡された活動記録の栞が挟まっていたページ全部を読み終えた。


「本当に歴代のオカルト研究部でも何回か話題に上がって調べていたんですね」


「でも、結果は毎回噂の出所が不明で終了なんだよね」


「まあ、それはいいとしてその噂になっている場所は本当に三年四組の教室なんですか?」


「さあ、僕も一度気になって調べてみたんだけど、どこの教室にもその女子生徒の霊はいなかったけど三年四組だけはなんか他の教室とは違う圧迫感を感じたからたぶんそうじゃないかな」


と、こんな感じで先輩とその噂につ語っていたのをそのこっくりさんが終わった後に思い出したのは余談だが。




次の日俺は放課後一人で三年四組の教室に足を運んだ。

誰もいないだろうと思っていた教室には一人の女子生徒がいた。

最初はこのクラスの生徒かと思ったがリボンの色から下級生だと分かった。


「ここの教室で何してるんだ?」


俺が話しかけると、その女子は一瞬ビックリしたのか肩を震わせたが俺の顔を見た瞬間安心したように溜息を吐いた。


「なんだ。昨日ここにいた人か・・・」


「一応、先輩に溜め口はどうかと思うぞ」


「私は自分が尊敬できるか、メリットがある場合しか年上には敬語は使わないから」


「・・・そうか」


俺は目の前にいる女子を呆れたような目で見つめてから、何故この教室に来たのかを質問することにした。


「なあ、どうしてこの教室に・・・」


「あんたに答える必要あるの?」


「・・・まあ、言いたくなければいいけど」


とても空気が重くなった・・・。

この状況をどうしよかと考えていると女子生徒が話しかけてきた。


「ねえ、あんた昨日どう思った?」


「さあ、結局でてこなかったんだから失敗だったんだろう」


「どこが失敗だと思った?」


「何で俺に聞くんだ」


「だって、あんた一応オカルト研究部の部長でしょ」


「まあ、そうだが・・・」


「で、結局どの部分が失敗だったの」


「まず、準備不足だ。実際にこっくりさんを呼び出すには色々と手順がいる。めんどくさいことも多いから説明は省くがあいつらは絶対にそんなことを知ってるはずが無い。もし、知ってたとしても供物を用意してな段階で呪われるぞ」


「つまり、しっかり準備してればあの場所に女子の霊を呼べたってことね」


「・・・女子の霊」


「あら、知らないの。この学校にある噂でとある教室に女子が死んだって話。聞いたこと無いの」


「いや、あるが・・・。てか、もしかしてお前その霊を呼び出そうとしてるのか」


「まあ、気になるからね。とりあえず、明後日メンバーを集めてここでこっくりさんするからあんたも来なさい」


「何でだよ。俺は関係ないだろ」


「もしもの保険よ。一応、私一人で何か起こった場合対処する気だけど一応、それなりの知識持ってる奴がいたほうがいいでしょ」


「それはそうだが・・・」


「それにオカルト研究部の部長なら参加するべきよね」


「そんな決まりは無いが」


「私のような美少女に頼まれて断るなんてあんたは馬鹿なの」


この時俺はメンドクサイ後輩に絡まれたなと思った。

確かに見た目は整っていて美少女と呼んで差し支えない。

でも、どことなくここにはいない真白先輩に似ていた。

見た目がではなく、雰囲気が・・・。

生きているのに死んでいる人にも近く、死んでいる人とは違う感じが・・・・。

俺がこの女子生徒にそんな感想を抱いているとその女子生徒が話し掛けていたことに気づいた。


「ねえ、ねえってば!!」


「あ、なんだ」


「名前、あんたの名前を教えなさい」


「相沢直也だよ」


「ふ~ん。美咲」


「え・・・?」


「だから、私の名前よ。美咲(みさき)浦川(うらかわ)美咲(みさき)よ」


「え~と、よろしく」


「ともかく明後日必ず来なさいよ」


浦川はそう言うと、教室を出て行った。

俺はその浦川を見送ると、この教室にあるはずのものを探し始めた。





そして、こっくりさんをする予定の日、俺は部室で昨日用意しておいた物を持ち、三年四組の教室向かった。

ちなみに持ち物は前回と同じように供物と昨日大学にいるある先輩から貰った御札を持って・・・。



教室に着くと、一昨日会った女子と吉川、そして吉川の部活のメンバーだった。


「あれ?相沢なんでここに着たんだ?」


「そこにいる後輩に呼ばれたからな」


「後輩って浦川ちゃんのことか」


「ああ、そうだ」


俺がそう言うと、浦川は俺のそばまで近づくと、吉川に俺が来た理由の説明を始めた。


「はい。相沢先輩は私が呼びました。オカルト研究部の部長さんですし、もしもの時には頼りになると思ったから呼んだんですけど、迷惑ででしたか?」


浦川は瞳を潤ませながら吉川に言った。


「大丈夫、大丈夫!問題ないよ。それに、相沢がいたほうが面白くなりそうだし」


「そうですか、良かった」


俺は浦川の耳元で小声で今思っていたことを言ってやった。


「この猫かぶり」


俺がそう言うと、浦川は他のやつらには見えないように俺の足を蹴ってきた。



全員が一つの机を囲むように座り、そしてこっくりさんが始まった。


『こっくりさん、こっくりさん、おいでください』


こっくりさんに参加している全員が呼びかけ始めた。

そして何度か呼びかけているうちに部屋の気温が急に下がったような感覚になった。

俺は参加していないため、少し離れた所で椅子に座って見守っていた。

すると、他のこっくりさん参加メンバーも気温が下がったような感覚に陥ったのだろう。

浦川以外の参加しているメンバーが口々に寒いと言い始めた。

そんなか、浦川だけは


「こっくりさん、こっくりさん、おいでください」


と、こっくりさんを呼ぶ呪文を唱え続けた。

そして、他のメンバーもそれにつられて、呪文を唱えた。



そして、それから何回か唱えると、それは現れた。

それを見て俺は、参加してしまったことに後悔した。

なぜなら、現れたのはこっくりさんで呼び寄せる狐の霊ではなく人なのか動物なのかも分からない霊だったからだ。

その霊は見た目は女なのだが・・・・正直言えばぶれて見えるのだ。

ただぶれて見えているのでなく、いくつもの同じ女が重なって見えているといえば言いのだろうか。

ただ同じなのではなく何といえばいいのか・・・死に方が違う。

そう感じ取れるのだ・・・。

だが、普通はありえない。

なんせ、人は絶対に死に方は一つしかない。

だからこそ、今目の前にいるのは一体何なのか・・・。

俺がそう考えていると、こっくりさんの方で動きがあったようだ。


「10円が動いた」


「動かしていないのに何で?」


と、驚きや恐怖が混じった声で叫んでいた。


「貴方は何者ですか?」


浦川は早速こっくりさんに向かって質問を始めた。

俺は浦川が何故この質問をしたのかすぐに気がついた。

なぜなら、浦川の視線はその女に向けられていたからだ。


すると、10円玉は最初に こ の字に移動し、次に つ そして く り と、予想通り、こつくり、こっくりと移動した。

浦川以外は本当に来たと、喜んでいたが、俺と浦川は正体が見えているため、本当にそうなのかという疑問が頭に浮かんだ。

本当に、これがこっくりさんなのか・・・。

俺がそう考えていると、浦川は次の質問をした。


「こっくりさん、あなたはここの教室の噂に出てくる少女とは関係ありますか?」


そう言うと、10円は、はいの所に移動した。


「では、一体どのような関係ですか」


すると、10円は再び動き出した。

 わ た し


「では、あなたはなぜ「もうやめてよ」」


浦川は続けて質問しようとしたが、メンバーの女子の一人が言葉を遮った。


「美咲、もうやめようよ。なんかこれ、ヤバイよ」


「そうだよ。浦川ちゃん。みんな怖がってるよ。ほら、他の事を質問しようよ」


吉川がそう言ったのと同時に10円玉は勝手に動き出した。

 み な こ ろ し

みなころし、皆殺しか・・・。


「な、なんだよこれ。おい、誰だよこんないたずらしてる奴。やめろよ」


「いや、なに。なんなの」


「黙って。こっくりさん、今のはどういう意味ですか」


すると十円玉は

 お ま え た ち を こ ろ す

お前たちを殺す

すると、教室はパニックに陥った。


「いやーーー」


「ふざけんな」


「助けて」


と、浦川以外が10円玉から手を離そうとした。


「黙れ。そして、落ち着きなさい」


浦川が大声でそう言うと、パニックになっていた全員が驚き、静かになった。

浦川はそれを確認すると、こっくりさんに話しかけた。


「もう、あなたが何なのかは聞きません。ただ言える事は、何もせずこの場から帰りなさい」


10円玉は予想通り、いいえに移動した。

俺は椅子から立ち上がり、一応持ってきた供物を机に出し言った。


「こっくりさんなら稲荷寿司を持ってきたからこれで早い所帰れ」


だが、10円はいいえから動かない。


「おい、浦川お前がもう一度言ってみろ」


「こっくりさん、稲荷寿司ならありますから、これでお帰りください」


しかし、10円は動かない。

俺は、正直奥の手は使いたくは無いためこっくりさんにさらに質問することにした。


「なぜ、俺たちが死ななければならない。理由を教えろ」


 お な じ め に あ え

同じ目にあえ


「どういうことよ」


浦川はまだ理由がわからないのかそう言ったが、俺は今ので意味が分かった。

この霊は実際に存在した霊じゃないことに。

簡単に言えば、作り出してしまったと言うことにだ。

どういうことかを、説明するなら、この霊はたくさんの人が想像したものが実際に存在すものに変わってしまったのだ。

より詳しく説明すれば長くなるが、この学校は少し特殊で通常の学校よりも負の感情が学校に蓄積しやすくなっている。

そのため、その負の感情集まり何かしらの影響により霊体になったり、ある霊体がその感情を吸いより強力なものに変わったりすることがある。

今回は前者のパターンだ。

そして、今回のキーワードは噂だ。

学校の七不思議などが実際に起こったなどの話があるように今回は昔からある教室で女子生徒が死んだと言う噂が元になっているのだろう。

だからこそ、霊体がいくつにも重なって見えているのだろう。


俺は渡されていた御札を取り出すと、こっくりさんに言った。


「これでいいだろ。もう、お前を苦しめることはないから早く帰れ」


すると、10円玉は鳥居に移動した。


こうして、こっくりさんは終わり、俺はこっくりさんメンバーにこんなめに遭いたくなければ、ここでは二度とこっくりさんをするなと警告してから活動記録を書くために部室に向かった。




活動記録も書き終わり、そろそろ下校しようと思った頃、部室のドア叩く音がした。


「開いてるよ」


すると、入って来たのは浦川だった。


「何のようだ」


「質問したいことがあってきたの」


「なんだ?」


「まず、あの霊は噂の女子生徒なの。そして、なんであの御札を見せたら帰っていったの」


「わかった。説明してやるからそこの椅子に座れ。立ったまま聞かれるのはなんか嫌だ」


俺がそう言うと、浦川は近くにあった椅子に腰掛けた。


「では、まず最初の質問だが、あれは間違えなくその女子生徒の霊だ」


「でも、実際にその生徒はいないはずじゃ」


「ああ、確かに存在しない。でもな、これは覚えておけ。人の想像力とは存在しないはずの霊も存在させることが可能になるときがあるんだよ」


「じゃあ、あの御札は何なの」


「あれか。あれは、お前の三年四組の教室で話した時にあの教室で俺が探していたものだよ」


「どういうこと?」


「実を言うと、あの噂はな一部の生徒から三年四組の教室じゃないかっていうことになっていたんだ」


「なんで、そんなことになっているのよ」


「まあ、歴代のオカルト研究部と新聞部のせいなんだが・・・。まあ、簡単に言えばある代のオカルト研究部と新聞部が手を組んでこの噂の解明に乗り出して、その代のオカルト研究部部員がたまたま霊感が強く、その教室におかしな感じがしたからその教室が噂の教室になったそうだ・・・」


「それで、あの御札はなんなの」


「これは昔この学校の生徒だった先生から聞いた話なんだけど、ある年に三年四組の生徒が相次いで事故に遭ったり重い病気にかかったらしく魔よけとして強力な御札を教室に貼ったらしい。これはその御札」


「ちょっと待ちなさい。その御札を剥がしたりしていいの」


「だって、この御札のせいであの霊は苦しんでいたわけだし。安全や健康祈願の御札じゃないし」


「でも、そんなことしてまた、そのクラスに悪影響が出たら」


「ないない。丁度運が悪いことが重なっただけだし、その御札を貼ったからと言って良くなった訳でもないし」


「でも、あの霊は私たちを殺そうとしてたのになんでその御札を剥がしたのが分かっただけで帰ったのよ」


「ああ、お前そこまでのレベルじゃないんだ」


「どういうことよ」


「お前、結構霊感強いだろ」


「ええ、あの時だって、はっきりと見えたわよ」


「どんな風に?」


「だから女子生徒がよ」


「そうか、ちなみに俺は女子生徒が何人にも重なってみたぞ」


「え・・・。どういうことよ」


「あの霊は噂で何回も死んでいるんだ。だから俺はそのそれぞれの死んだときの状態で見えた。まあ、お前の場合はあの時一番はっきりとしていた胸に刃物が刺さった状態が見えていたんじゃないか」


「ええ、そうよ」


「で、俺はさらに霊体の感情も一部だけなら感じ取れるんだよ。で、あの時あの霊が感じていたのはここに自分を閉じ込めたことへの怨みだな」


「閉じ込めたことへの怨み・・・」


「そう、私と同じ目にあえ。あれは、毎回噂だと教室でその女子生徒は死んでいることから怨みの対象は自分を閉じ込めているあの教室というわけで」


「ちょっと待って、なんで教室に怨みがいくのよ」


「だって、あの教室のせいで自分は毎回殺されるんだよ。それに出て行きたくとも御札のせいで結界が張ってあってでていけない。そのため怨みは自動的にあの教室にむかい、そしてその教室で自分を呼んだ俺たちはその怨みの対象になったわけ」


「でも、なんでいつもはあの教室にいないのよ」


「だって降霊術で存在しないものを呼んだからな」


「ちょっと待ちなさい。降霊術なら他の霊がくる可能性があったじゃない」


「だって、お前はその霊を呼びたいって言ったじゃないか。だから、その霊がきたんだよ」


「でも、遊び半分よ」


「お前に一つ忠告だ。霊感があるってことは降霊術をした場合望んだことが起きる可能性が高いんだ。今回のこっくりさんは特にな。だから、降霊術を遊び半分でするな」


「・・・・わかったわ」


「まあ、でも今回あの霊を呼び出せておいて本当は良かったんだけどな」


「どうして」


「だって、今回呼び寄せられてなかったら手に負えなかったかもしれないからだ。まだ、ギリで理性が残っていたから助かったものの、残ってなかったら俺たちは今頃あの教室で死んでたかもな」


「え・・・」


「まあ、どうにかなったんだしこれでよかったんだ。さて、そろそろ帰りたいから質問タイムは終了でいいか」


「わ、わかった。あ、最後に一つだけ」


「なんだ」


「あんたはいつもこの教室にいるの?」


「まあ、用事が無ければいるな」


「そうわかった。あ、あと今日は助けてくれてありがとう・・・。相沢先輩」


浦川はそう言って、頭を下げると教室から出て行った。





これで、このこっくりさんをめぐる事件は終わりを迎えた。

そして、余談になるがこの事件の影響で我がオカルト研究部に新しい部員が一人加入した。

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