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プロローグ

一次創作を投稿するのは初なので、温かく見守ってくださると嬉しいです。


では、どうぞ。



 

 ――これは駄目だ。オレ死んだ。


 少年――那星拓夜なぼしたくやの脳内を即座に駆け巡った思考は『諦め』だった。

 いっそ清々(すがすが)しいほどに。

 とはいえ、誰でもそう思うという確信はある。

 なにせ――"炎の塊が向かって来ている"などというあり得ないことになっているのだから。

 だがこのまま終わるのもつまらないというか容認できるわけが無い。

 拓夜は、もうどうにでもなれ! と大体諦めながらも横に飛んだ。

 体の真横を炎が掠めていくのがわかる。当たってないのに焼けていると錯覚するレベルで熱い。


「いつつ……あ、生きてる。生きてるっ!」


 思い切り地面の上で横っ飛びしたせいであちこち痛めたが、死ぬよりはずっとマシだ。

 そう結論付けた拓夜が、炎の発生源もとい放ってきた奴の方を向く。

 ……あれ? 2つ目の炎球? というかさっきのはフェイクでこっちが本命?

 表情が引き攣る。だが仕方ない。

 とはいえこれは……。

 ジリジリ迫ってくる熱の塊。

 ――うん、だんだん熱い。って、冷静に感じてる場合じゃねぇよ!


「う、おおぉぉぉ――!!」


 拓夜の腕が腕立て伏せのように地面を突き飛ばし、その勢いで立ち上がる。

 普段出来そうも無いことがあっさり出来たことに驚きつつも、絶望は止まらない。

 これ以上は無理。もう無理だ。

 炎球が着弾するまでの時間で2、3歩踏み出したところでまともな回避にはならない。

 が、かといって横っ飛びする時間すらない。


 ――拝啓、親父。

 これまでありがとう。

 いろいろムカつくアンタだったけど、感謝はしてるよ。

 もう時間は無いみたいだ。

 ――さようなら。


 拓夜の頭の中で、走馬灯というか遺言的なものが脳内再生された。

 真面目に、今度こそ終わったと悟る。

 体が反射で腕をクロスさせて頭を守る姿勢をとった。

 ……オレの肉体、なんて無意味なことを。どう考えたところで丸ごと焼かれる火力だぞ。

 まるで他人事のように、死が迫るのをスローモーションで見る。

 というか、炎球が近づいてきているだけでもう皮膚が焼かれている気がする拓夜。

 目を閉じて、自分の体が焼かれる痛みを、一気にレアくらいに焼かれる痛みを味あ――わない?

 ……おかしい。

 さっきのはどう考えても、もう焼き尽くされていておかしく無い状況だったはずだ。


「――大丈夫?」


 思案する彼の耳に、自分のものではない、女性のハスキーヴォイスが耳に入った。

 死神さんかその辺りの関係者か? せめて最後くらい可愛い女の子もしくは綺麗なお姉さんを見たいんだが。

 心中で本音を吐きつつ、拓夜はゆっくりクロスしていた手を解く。

 恐る恐る開いた目に映りこんだ光景は、変わっていない場所と消えた炎。

 死んだわけじゃなさそうだ……という思考が、ならどうして生きているのかという思考にすり替わる。

 誰かが消してくれた? だとしてどうやって?

 ……そういえば女の人の声が聞こえた気がする。

 そのことを思い出した拓夜が、視界の上のほうに入り込んできた影に気付く。

 影は拓夜の頭上を越え、目の前に着地して見せた。

 それを見て、炎球を放っていた犯人が警戒の色を示す。拓夜も驚きで目を見開いた。


 そして思う。


 ――何がどうなってる!?


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