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草原

 テルが、変わった。


 エンチェルクは、それを感じた。


 その幼い見た目とは裏腹に、強い男だということは知っていたが、先日魔法を使って以来、その強さに重厚さが加味されたように思えたのだ。


 固いだけだった金属が、鈍い光を放ち始める。


 目つきが変わったのは、ビッテも同じだった。


 魔法への畏敬と同時に、これからは全て己の腕でテルを守らなければならないという責任を、強く抱いているのだろう。


 旅路は、穏やかに続く。


 あれほどの数の月の人間を、テルが粉砕したのだ。


 すぐには、立て直せないのだろう。


 イデアメリトスの反逆者の兆候も、いまのところはない。


 そして。


 一行は、草原へとたどりつく。


 ざぁっと風に鳴く、広大な草原。


 あぁ。


 エンチェルクの記憶が、激しくかき立てられた。


 ここを。


 ここを、自分は知っているのだ。


 ウメと共に都に向かい始めた時、一番最初に見た景色。


 もう、こんなところまで来てしまったのだ。


 ということは。


 次の領主は。


 テルも、その景色を前に足を止めている。


 何かに思いを馳せるように、彼は草原を見渡すのだ。


「ここが……」


 深い声。


「ここが……母の草原か」


 エンチェルクの記憶と、一瞬交わったテルの言葉。


 そう。


 ウメは、太陽妃と共にこの国に来たのだ。


 ということは。


 この草原は──ウメの舞い降りた場所。


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