表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
303/329

本当の地獄

 みな、太陽を憎んでいた。


 大人も子供も、男も女も。


 400年という長い年月で、魂にまで刻まれたのではないだろうかと思えるほどの抵抗。


 かくして、火口の集落は本当の地獄となった。


 テルは高台に立ち、右手に火、左手に風をともした。


 炎の強さや位置を、風で制御するためだ。


 炎のない側に兵士を配置する。


 兵士の先頭に立つのはビッテ。


 火から逃れた月の者たちは、必然的にそこへ追い立てられる。


 ビッテの剛腕が唸っている音が、ここまで届きそうだ。


 そんな彼らの頭の上を、強い歌が流れていく。


 少ないながら、敵にも魔法を使えるものがいる。


 彼らに参加されると、戦いは非常に厄介になるだろう。


 それを、白い髪の父娘が歌を切らさないことで無効にしているという。


 これで彼らは、優勢に戦うことが出来る。


 火口の集落中にひろがり、反響する歌声。


 虎の子の魔法も封じられ、精鋭も減らされて行き、もはや大勢は決した。


 だが、誰ひとり「助けてくれ」と哀願する様子はない。


 あっぱれだ。


 惜しむらくは、その力をイデアメリトスの血の根絶にしか使えなかったこと。


 残念ながら、テルは生きている。


 ハレもいる。


 彼らは、失敗したのだ。


 その時。


 テルの後方が、突然騒がしくなった。


 数十人の敵の決死隊らしき一団が、地の利を生かして回りこんできたのだ。


 その壮絶な特攻は、護衛の兵を吹き飛ばそうとした。


 壮烈な攻防は、しかし、テルまで届くことはない。


 刀が、閃く。


 彼の背後の守りには──サダカネがいるのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ