表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
265/329

従兄妹

 リリューの客。


 エインがそう言った時、彼は一体誰のことを指しているか分からなかった。


 だが、一言二言、その人物の特徴が挙げられただけで、すぐに思い当たったのだ。


『彼女』が、来たのだと。


 イエンタラスー夫人の屋敷で働く、あの女性。


 北の寒い町から来た彼女は、二度と故郷に戻りたくないと、屋敷の仕事に固執していた。


 その大事な仕事を離れて、都に来たというのだ。


 何故?


 しかも、リリューの客と言った。


 彼を訪ねて来たのだと。


 何故?


 決して、気軽に来られる距離ではない。


 彼女の出身を考えれば、リリュー以外の知り合いも都にはいない。


 何か、強い決意をしたのか。


 自分に会わなければならないのだと。


 もうすぐ、彼女の待つ都へ帰りつく。


 両親の屋敷で、待っているという。


 そこで。


 話をするのだ。


 彼女と。


 何を?


 彼は、首を傾けた。


 自分は、何の話をするというのか。


 そして、彼女はその後どうするというのか。


 思考は、深く深くリリューの奥へと潜航してゆく。


 エインを扱いあぐねている桃が近付いてきて、そんな彼にひとつ小さな愚痴をこぼした。


「姉弟って……何だろう」


 従妹もまた──悩みが尽きないようだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ