表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
250/329

炎上

 火の手が、あがる。


 みっつの火のうち、ひとつは桃が斬り伏せた。


 ひとつは、伯母が。


 そしてもうひとつ。


 ハチに噛まれ、桃に火を落とされ、おそらく顔を傷つけられた人間は──腰に下げたありったけの爆弾を、建物の中へと放り込んだ。


 まさに、火そのものに向かって。


 あっ!


 階段途中の伯母と、玄関側の桃がすべきことは、たったひとつ。


 とにかく。


 身を隠すこと。


 桃は外の壁へと身を伏せた。


 伏せながら。


 男が駆け去る背を見た。


 慌てて、腰を浮かせかけた次の瞬間。


 ドドドドガドゴガガドゴォン!!!


 いくつもの爆弾が、火に爆ぜる音と振動に、耳を塞ぐので精いっぱい。


 玄関の重い扉がすっ飛ばされて、地面にどすんと落ちた。


 その音は、おそらく町中に響き渡ったに違いない。


 音がやみ、桃が玄関だったところからそっと中を見ると。


 ホールの床や壁は大きくえぐられ、炎に包まれていた。


 階段も、とても使える状態ではない。


 二階への階段は──ここだけ。


 そして、桃以外の人間は、全て上にいる。


「桃、裏へまわれ! ハチ! 桃についていけ!」


 伯母の声が、炎の上から響き渡る。


 いまから、中の人たちを逃がさなければならない。


 桃が飛び降りた時よりは、もう少し柔らかい脱出方法が必要だ。


 エンチェルクが、綱を用意していたはず。


「ハチ、おいで!」


 桃は──駆け出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ