表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/329

急ぎたくなかった

 コーは、来なかった。


 その事実で、本当はハレには十分だったのだ。


 モモにもついてくることをせず、自分にも会いにこなかったのだから。


『この世で、たった二人だけの仲間』


 彼女は、そう二人のことを表現した。


 それは、本当のことで。


 そして。


 自分は、その二人に割り込むことなど出来ないのだと。


 そう、モモに言われたのだ。


 逆に言えば。


 彼女もまた、割り込めないでいるのだろう。


 コーは、特別な人に出会ってしまった。


 その運命は変えられるものではなかったし、予感もちゃんとあった。


 ハレは、のんびりしすぎたのだ。


 テルに宣言しておけば、それで安心というわけではなかったというのに。


 だが。


 コー相手に、急ぎたくなかった。


 ひとつずつ、ひとつずつ、彼女がこの世のことわりを知り、ハレを知り、そして大事にあたためていきたかったのだ。


 だが。


 彼女のためと手放した。


 ウメとトーという教師を持つ彼女は、次に会う時はとてつもなく成長していることだろう。


 そして、言われるのか。


『コーと申します、どうぞよろしくお願い致します』と。


 ハレは、頭を振った。


 ノッカーが鳴ったのだ。


 テルが、入ってきた。


 話し合わなければならないことが、いろいろあった。


 ハレは、一度目を閉じて。


 網膜の裏に焼きついているコーの笑顔を消して、弟に向き直るのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ