表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/329

雄々しい

 ハレとホックスが神殿に行ってしまうと、リリューのすることはなくなった。


 宿舎に行くか、適当に歩くか。


 少なくとも、明日の真昼まで、彼には大きな暇が与えられたのだ。


 そんな風に考えながらも、神殿前でぼんやりしていると。


 本殿から、出てくる人間が見えた。


 リリューは。


 ゆっくりと、自分の目を大きく見開いたのだ。


 ひとつずつが。


 その人間のひとつずつが、彼を驚かせていったのだから。


 しっかりとした身体つき。


 大きな手足。


 腰に下げた、日本刀。


 褐色の肌に、金褐色の瞳。


 そして、左目の下のふたつのほくろ。


 悠然と、こちらを見ながら近づいてくるその男を──自分は、よく知っているはずだった。


 母か。


 腰の日本刀の理由には、すぐに思い当たった。


 母が、彼の成人の儀式に合わせて、神殿に送っておいたのだろう。


「久しぶりだな、リリュールーセンタス」


 無事を喜ぶ目ではない。


 彼らが、ここに到着して当たり前という目。


 この旅路の途中で、残っていた子供っぽさは、どこかに捨て去ってしまったようだ。


 リリューは、ハレの成長を惜しいと思った。


 彼は、よい太陽になるだろうと。


 しかし。


 テルもまた、熱い血潮を感じる雄々しい男になっていたのだ。


 ハレとは違う意味で、彼もまた太陽に相応しい。


 勿体ないことだ。


 まったく同じ年で、まったく違う性質の、太陽に相応しい者が二人もいる。


 だが。


 太陽の椅子は、ただひとつ。


 彼らが、椅子を争うことはない。


 少なくとも、ハレは──そこに座る気はないのだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ