4日目
深夜3時。グリーン・ルーフ・インの受付エリアは、一時的な凪の時間を迎えていた。
外のまとわりつくような湿気は強力な空調によって完全に排除され、代わりに無機質で凍りつくような冷気がコンクリートの壁を伝って忍び寄ってくる。
私はプラスチックの椅子に深く腰掛け、発泡スチロールのカップに注がれた泥水のようなコーヒーをすすった。
焙煎からの鮮度管理も、抽出時の湯温も圧力も、すべてがデタラメな一杯だ。
焦げたタイヤのような苦味と、微かに鼻を突く消毒液の匂い。
それでも、この色を失った空間で正気を保つための、これが唯一のガソリンなのだ。
多くの「宿泊客」たちは、カウンター越しにキーボードを叩き、書類を整理する私は彼らに対して声を荒げることもなければ、腰の警棒に手をかけることもないからだ。
ただ静かに彼らの身分証を受け取り、タトゥーの位置を尋ね、ポケットから小銭を没収してシステムに入力していく。
ここには毎晩、感情のコントロールを完全に失った人間たちが運び込まれてくる。恋人の浮気を目撃して相手の車をバットで破壊した男、酒の勢いで警官に殴りかかった若者、セルフレジの操作ミスだと泣き叫びながら抵抗する主婦。
彼らの行動はすべて衝動的で、ひどく非論理的だ。古代ローマの哲学者セネカは「怒りは一時的な狂気である」と説いたが、彼らは皆、その一時的な狂気に身を任せ、理性を手放した結果として、この分厚い扉の内側へと転がり込んできたのだ。
私は彼らの絶望や後悔に同情することはない。
彼らがもたらすノイズを、ただの「データセット」として処理する。
すべてを因果関係と論理的な結果として、極めてストイックに受け入れている。
施設の管理者たちが私にこの特等席を与えたのも、私のその徹底した冷静さと、システム全体を俯瞰して処理する能力を高く評価したからだろう。
「あんた、他の連中とは少し違うな。まるで血の通ってない機械みたいだ」
以前、ひどく酔った状態で連行されてきた男の手続きをしている時、そう吐き捨てられたことがある。私は彼に薄く微笑み返し、ただ黙って彼の右手の指紋をスキャナーに押し当てさせた。
彼らは知らないのだ。情熱や衝動による一時的な狂気よりも、冷徹な計算に基づく「エラー」の方が、はるかに罪深く、システムから重い罰を下されるということを。
私はかつて、外の世界で巨大なプロセスを管理していた。
何千キロにも及ぶ複雑な配管、ミリ秒単位で制御される無数のバルブ、そして絶え間なく流れる膨大な液体。
私はそのすべてを統括し、莫大な資金が動くシステムの中心で、完璧にフローをコントロールしていた。
私の設計したシステムは美しく、そして何より「効率的」だった。
「おい、休憩は終わりだ。外のゲートが空いたぞ」
背後から、検閲官であるミラーの無愛想な声が響き、私の静かな回想を断ち切った。彼の声には、同僚に対するような親しげな響きは一切ない。
明確な「上位者」としての冷たい響きが含まれている。
「了解しました、ボス」
私は飲みかけの不味いコーヒーをゴミ箱に投げ捨て、ゆっくりと立ち上がる。




