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女たちの共同戦線後編

私は都内の証券会社で働く女。

男から連絡があった。


「どうしたの。今日はちょっとできない日なのよ」

と私は言った。


「いや。そうじゃなくって、お前の専門分野〇〇〇〇。

それだけだ」

と男はそう言って、電話は切れた。


ちょっと待って、

なにその数字だけ言って、電話を切るプレイ。

すごい興奮するじゃない。


なんだろ。この数字。

先輩に聞いてみよう。


「この数字なにかわかりますか?」

と私は言った。


「これ証券コードだろ。ちょっとまて。これペケポンだな」

と先輩は言った。


「変な噂とかあるん?」

と私は言った。


「けっこう前からきな臭い噂が流れてるんだよな。どっから聞いた?」

と先輩は言った。


「えへ。情報提供者のことは口が裂けても言えねぇ」

と私は言った。


元ホストの男なんて言えないもんな……。


「なんだよ。スパイ映画か!まぁいいや。他になんか聞いたか?」

と先輩は言った。


「それがね。その番号だけなんよ」

と私は言った。


「濃い情報にアクセスしてる奴なんかもな」

と先輩は言った。


「じゃあ。危険な状態ってこと?」

と私は言った。


「いや。それはないだろ。むしろそのコミュの取り方はヘタうたない賢い奴のやり方だ。安心していいよ」

と先輩は言った。


「でも。私になんでくれたのかな?」

と私は言った。


「そりゃ。うちに儲けろよって事だろ」

と先輩は言った。


「なるほど」

と私は言った。


「おぅ。じゃあ裏取り始めるぞ。結構どでかいディールになるかもな。会議にかけよう」

と先輩は言った。


「わかりました。これボーナス増額コースかな?」

と私は言った。


「俺もお前もかなりいけるかもな」

と先輩は言った。


なに私の男。

最高じゃん。

こんどなんか買ってあげなきゃ。

それより先に、これで十分儲けなきゃね。


……

私はキャバ嬢。

一応ナンバーワンやってる。

色恋はしないが、枕はする。

それがもっとうの健全なスタイル。

これを男にいうと、

「そりゃ健全だ」

と笑った。


私の男は元ホストクラブのナンバーツー。

色恋をやれば、街最強なはずだったけど。

彼は色恋営業の道を選ばなかった。

めっちゃ……枕はしてたけどね。

というか、今も自分で男娼だと言ってるくらいだから。

根っからの、そういう人なのだろう。


一度

「なんで、色恋やんないの?」

と聞いたことがある。

客の私が聞くのもおかしいんだけどね。


彼は

「色恋やると、女が狂うだろ。あれを見てるのがキツイんだ。萎える。幸せそうにしてるほうが興奮するんだよ」

と言ってた。


まぁクズらしいけど、狂ってないクズだから、私は好きだなと思った。


そんな彼から今朝電話があった。


「どうした。したいの?くる?今日飲んでるから、大丈夫だよ」

と私は言った。


「いや。今日はそういう気分じゃねいわけでもないんだけど。あれだ。お前に教えたい事がある」

と彼は言った。


「なに?」

と私は言った。


「クイズ。俺はお前になにを教えたいでしょうか?」

と彼は言った。


「うーん。そうだね。あそこの大きさ」

と私は言った。


「お前知ってるだろ」

と彼は言った。


「てへ。なにわかんない。私が興味ある事?」

と私は言った。


「そうだ。お前が大好きなもの」

と彼は言った。


「だったらあんたじゃない」

と私は言った。


「それ以外」

と彼は言った。


「あっお金」

と私は言った。


「ぴぽぴぽん。正解」

と彼は言った。


「なに?賞品出るの?賞品はあなたでいいわよ。首にリボンつけて今すぐに来て」

と私は言った。


「賞品は〇〇〇〇」

と彼は言った。


「なにその数字4桁。これもクイズ。お金でしょ。あっ証券コードか……でしょ」

と私は言った。


「お客様のおかけになった電話番号は現在使われておりません」

と彼は言った。


「なるほど。詳しく言えない系なわけね」

と私は言った。


「まぁそういうことだ。またな」

と彼は言った。


「わかったわ。またね。こんどスッポンごちそうするから」

と私は言った。


「ははは。楽しみにしてるわ」

と彼は笑って電話を切った。


私は考えた。

彼がなぜこの情報を私に教えたかを。

①愛

②愛

③愛

そうね。きっと愛だわ。

うん。

でも、それだけじゃないはず。

私は〇〇〇〇を調べ出す。

ペケポン。

なにか聞いたことがあるわね。

先日。

黒い噂があるって言われてた奴だ。

でも彼がなんでわざわざ電話してまで。

これはかなり確定でヤバイってことなんじゃないの。


私は一人のお客さんに電話する。

株式市場で特殊な稼ぎ方をする投資家だ。


「どう?元気」

と私は言った。


「あぁ元気ですよ。どうしました?」

と彼は言った。


「ある企業がヤバイとつかんだ場合で、株式市場で儲けようと思ったら、どうする?」

と私は言った。


「ショートポジションだね。えっと空売りってやつ」

と彼は言った。


「タイミングとかってどう見るわけ」

と私は言った。


「どうしたの?手取り足取り教えようか」

と彼は言った。


「そうね。あなたのマンション行ったらいいの?」

と私は言った。


「もちろん歓迎するよ」

と彼は言った。


「わかったわ。すぐ行くわ。なにかお土産欲しい?」

と私は言った。


「手ぶらで」

と彼は言った。


「さすがに家から手ブラで出かけると、捕まるわ。部屋の前についてから手ブラにしたらいい?」

と私は言った。


「ふっ。その手ブラじゃないよ。それも見てみたいけど。お土産とかはいらないよ」

と彼は笑った。


「わかった。1時間ぐらいで着くから」

と私は言った。


……


一時間後、私は投資家の彼の家にいた。


「空売りってのはね。悪魔との取引みたいなものだよ」

と彼は言った。


「悪魔との……。天かすとか青のり、めんつゆとかを入れるおにぎりの事」

と私は言った。


「うーん、近いけど微妙に違うね」

と彼は言った。


「じゃあ。どんな感じ」

と私は言った。


「普通の株はね。上がれば得するだろ。空売りは下がれば得するんだ。

つまり人の痛みで儲ける。

だから悪魔との取引みたいだっていうんだよ」

と彼は言った。


「へぇそうなんだ。でも悪魔ももともと神さまで、堕天して、悪魔になったんじゃないの」

と私は言った。


「そうだね。私ももともと普通に投資してて、下げ相場の時に稼げるようにショート打つようになったからね」

と彼は言った。


「じゃあ。悪魔とかそういうんじゃなくって。下げ相場時用の稼ぐツールって思えばいいんじゃね」

と私は言った。


「あっそれすごくいいね。いやなんか嬉しくなってきた。私自身が悪魔っぽいなって思ってたから」

と彼は言った。


「うんうん。あなたは優しい人だよ。私知ってるもん」

と私は言った。


「……なんかウルって来た」

と彼は言った。


「よしよし」

と私は言った。


「……で、その情報源ってさ。空売り危険なこと知ってるのかな?君を危険に巻き込む可能性も」

と彼は言った。


「もちろん知ってるわよ。でもね、彼は私の事もよく知ってる。無茶なこととか、頭のおかしいことはしないってね。つまり信用してるから、そういう情報を流すんだよ」

と私は言った。


「お互いに信用してるんだね」

と彼は言った。


「私があなたを信用してるようにね。じゃあ早くタイミング教えて」

と私は言った。


彼は笑顔でレクチャーしはじめた。

今日は自然と同伴につながるだろう。

私はそんな計算をした。



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