女たちの共同戦線前編
私は整形外科医。
いま男のことで取り込み中。
どうも彼が厄介ごとに巻き込まれているみたい。
そしてその黒幕はペケポン……。
私たちの業界でも黒い噂が流れている。
先日。
男の別の女とばったりあった。
ホスクラで何度か顔を見ているが、昼間にあったのは、初めてだ。
彼女は言ったわ。
「そういえばペケポンの黒い噂、そっちでもあるわよね。あそこに仕掛けるグループがいるんだって」
私は察した。
「そういうのって波がでるのを見てて、乗ればいいのよね」
と尋ねた。
彼女はニヤと笑って去っていった。
私は顧客や医療関係の知り合いで投資をやっている人にコンタクトを取った。
基本的には世間話だけど、その中に
・ペケポンの黒い噂を聞いたことがないか
・仕掛けるグループがいるらしい
この2点だけ、入れ込んだ。
皆私の意図を組んでか。それは実に興味深いと笑った。
……
私は老舗旅館の娘。
男から珍しく電話があった。
「どうしたの。私の声聞きたくなった。それとも電話でしちゃいたいの」
と私は言った。
「お前の声が聞きたくなったのもあるけど、お前投資に興味あったよな」
と男は言った。
「もちろん、あるわよ。うちのお客さん達、投資家とか政治家とか富裕層の方が多いから、そういう情報はね。ほらオイシイから」
と私は言った。
「そっか。じゃあ〇〇〇〇。それだけだ」
と男は言った。
そして、電話は切れた。
〇〇〇〇……。
これ何かしら。
言わないって事は、たぶん深く情報を言えばアウトな奴よね。
という事は……。
なにこれ美味しそうじゃない。
私は数字の意味を考えてみる。
あ~これ証券コードね。
どうしようかしら。
ちょっとオジサマ方に聞いてみましょう。
私は仲良くしている投資の得意な整形外科の院長に、ペケポンの事を聞いてみた。
「オジサマ。お久しぶりです。唐突ですが、ペケポンについてご存じ?」
と私は言った。
「ひさしぶりだね。君もか……、じゃあ本格的に動きそうだね」
と整形外科の院長は言った。
「タイミングは?」
と私は言った。
「私の場合……欲張りだから波の起点かな。じっと見てるよ。ははははは」
と整形外科の院長は言った。
「わかりました。またお食事でもしましょ」
と私は言い、電話を切った。
とりあえず。
私はこの波に乗ることを決めた。
あと彼がなぜ私にわざわざ言ったのか。
情報があるなら、自分で稼げばいいだけなのに。
私へのプレゼント?
私からのバックを狙ってる?
うーん。どっちにしても、しっくり行かない。
私は別のオジサマに電話をすることにした。
こっちは大企業のCEOとかを顧客に抱える占い師。
仲が良いから、ちょっとした事なら、タダで教えてくれる。
「オジサマ」
と私は言った。
「電話来ると思ってたよ。その男はね。つまり潰したいだけだよ。その番号を」
と占い師のオジサマは言った。
「私たちはそれで利益を得れる?」
と私は言った。
「あぁもちろん。番号を教えてくれる」
と占い師のオジサマは言った。
「〇〇〇〇」
と私は言った。
「じゃあ。また旅館に遊びに行くよ」
と占い師のオジサマは言い電話を切った。
占い師のオジサマの話で、私はすべてを理解した。
私のすべきことは。
私のネットワークにいる投資家に軽く……。
これで私も彼も、私のネットワークの人々もハッピー。
シンプルにそれだけだった。
やっぱり私の男は最高だわ。:
私はそう思った。
………
私はエステ会社を経営している女。
今朝男から電話があった。
この時間に電話来ることは珍しい。
「どうしたの。したくなった?」
と私は言った。
「おいおい。イキナリしたくなったはねぇだろう」
と男は言った。
「きゃ、いきなりツッコミなんて、エッチなんだから」
と私は言った。
「なんでやねん」
と男は言った。
「うわ。容赦ないツッコミ。今日は一段と激しいわね。そういうの興奮しちゃうわ」
と私は言った。
「OK OK OK まずは冷静になろう。まずは息を吸って吐いて。ヒッヒッフー・ヒッヒッフー」
と男は言った。
「それラマーズ法じゃない。もういいわ」
と私は言った。
「ありがとうございました~。じゃねぇわ」
と男は言った。
「それでどうしたの?抱きたくなった」
と私は言った。
「そうじゃなくって。お前投資してたっけ」
と男は言った。
「そうね。自分に投資はしてるわ」
と私は言った。
「株式投資とかは?」
と男は言った。
「してない。どうしたの?面白い事」
と私は言った。
「面白いってか。黒い噂のある会社があってな」
と男は言った。
「あぁなるほどね。ひゅーん。どかーん。ばたばたばた。そしてがっぽがっぽ。うひょーって感じか」
と私は言った。
「そうだな。俺のイメージでもそうだ。詳しくは言えねえけど」
と男は言った。
「そっかそっか。まぁ私はやらないけど、投資家のお客さんがいるから、教えてよ。問題ない形で」
と私は言った。
「〇〇〇〇。これくらいだな」
と男は言った。
「なるほど。これでわかる人は、うひょうーって感じなんだ」
と私は言った。
また黙った。
あっあんまり言えないだな。
「いいよ。何も言わなくって」
と私は言った。
「おう。じゃあな」
と男はそう言い電話を切った。
…
本日1人目のお客様が来た。
某有名焼肉店のオーナーの奥様で、彼女は株にも興味がある。
「先日は美味しいスッポン。ありがとうございました」
と私は言った。
「いいのよ。美味しかったでしょ」
と某有名焼肉店のオーナーの奥様は言った。
「ええ」
と私は言った。
「よかったら。そこのスッポン美味しかったってウワサ流しておいて」
と某有名焼肉店のオーナーの奥様は言った。
「わかりました。純粋に美味しかったんで」
と私は言った。
「ありがとう」
と某有名焼肉店のオーナーの奥様は言った。
「ところで、株式投資とかされてましたよね」
と私は言った。
「してるわよ。どうしたの?」
と某有名焼肉店のオーナーの奥様は言った。
「私……知人から〇〇〇〇という番号だけ聞いて」
と私は言った。
「なにそれ。サスペンスみたいじゃない。ワクワクするわ」
と某有名焼肉店のオーナーの奥様は言った。
「でも。私、投資ってよくわからなくって。奥様なら、この数字の謎解いて、ウハウハ。
みたいな感じになったりとか……」
と私は言った。
「まぁそういうのもあるものね。ちょっと待ってね」
と某有名焼肉店のオーナーの奥様は言い、電話をし始めた。
「私だけど。〇〇〇〇について調べてみて。わかったら電話ちょうだい」
そう言った。
「さすが奥様。動きが早い」
と私は言った。
「当然よ。あの焼き肉店を大きくしたのは私の影響も大きいのですから」
と某有名焼肉店のオーナーの奥様は言った。




