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投資会社経営の女

そこは都内でも家賃が高いことで有名なビルだった。

ここに俺の女はいた。

外資系コンサルティンググループを退社後、独立して投資会社の経営をはじめた。

得意なのは企業買収や空売り、ハゲタカとも言われているらしい。

昔に

「お前はハゲタカだと言われているが、ハゲてねぇし、もっとキレイだ」

と言ったら、気に入られた。

世の中上手く言ってみるもんだと俺は思った。


「よっ」

と俺は言った。


「珍しいわね。こっちに顔出すなんて。なに?オフィスでやりたくなった」

と投資会社経営の女は笑った。


「それもいいかもしんねぇけど。残念ながらそうじゃねぇよ」

と俺は言った。


「ちょっと待って。あんた今、金の匂いがするわね」

と投資会社経営の女は言った。


「お前からしたらそうだろうな」

と俺は言った。


「えっとね。ハッキリさせとくけど、その企業の社員とかじゃないわよね」

と投資会社経営の女は言った。


「もちろん」

と俺は言った。


「グレー?」

と投資会社経営の女は言った。


「ほぼ真っ黒だ」

と俺は言った。


「真っ黒……。面白そうね。それで……それはウワサ話だよね」

と投資会社経営の女は言った。


「あぁウワサ話だ」

と俺は言った。



投資会社経営の女はニヤニヤしている。

「それでどこ?この電卓に証券コード打って」

と投資会社経営の女は言った。


俺は四季報を借り、ペケポンの証券コードを確認して、電卓に打つ。


「どうだい」

と俺は言った。


「たしかに金の匂いがするわね」

と投資会社経営の女は言った。


「実はな……」

と俺は言った。


「まってそれ以上は言わないで。あとはこっちで判断するわ」

と投資会社経営の女は言った。


「俺にアドバイスはねぇか」

と俺は言った。


「短所は端緒になりうる」

と投資会社経営の女は言った。


「どういう意味だ」

と俺は言った。


「はじめの短所は欠点のこと。

次の端緒は、そこから物事が始まる。

またはそれによって物事が解決するという意味よ。

あなたは自分のギャンブル資質を短所だと考えているわよね。

それはある意味たしかにそうよ。

でもね。人は不利な状況でも、なにかに賭けないといけない時もある。

そんな時、ギャンブルをやっていた経験が役立つわ。

場の空気を読む力。相手の気配を読む力。場合によって、どんと突っ込む胆力。

こう言ったものはギャンブラーにしか無理よ。

私の父はギャンブルにのめり込み、家庭をボロボロに壊したわ。

だから私はギャンブルが憎い。

潰してやりたいほどに。

でもね。政財界のトップ層を見てみると、数こそは多くないけれど、ギャンブル資質で成り上がった人達はいる。

大事なのはね。バランスよ。

大局を見て、賭ける勇気……無謀さというほうが正しいかもしれない。

それは案外と大事なものなのよ」

と投資会社経営の女は言った。


「しかしな。弾が200万ちょっとしかないんだ。喧嘩にならない」

と俺は言った。


「あんた女たくさんいるでしょ。全員と協力すれば、上場企業だって潰せるんじゃない。そういえば、頼めるの何人くらいいるの?」

と投資会社経営の女は言った。


「50人くらいかな」

と俺は言った。


「あきれた。

あんたそんなに女がいるわけ?

どうなってんの?

あんたの◯◯◯は?」

と投資会社経営の女は言った。


「自走式さ」

と俺は言った。


「なにそれ。上手く言えてんのかどうかわからないじゃない。まぁいいわ。私が惚れるくらいだから、モテないほうがおかしいわね」

と投資会社経営の女は言った。


「お前いい女だもんな」

と俺は言った。


「わかったわ。ハッキリとは言わないけど、終わったら食事しましょ。祝杯で」

と投資会社経営の女は言った。


「OK。じゃあな」

と俺は言った。


……


私は男が去ったのを確認して、ペケポンの情報を確認しだした。

社員全員に、現在携わっている案件を一時ストップさせ調査を始める。

これはかなり大きい案件に育つかもしれない。

そう直感した。


案の定、データの怪しさ、不正の影、闇との絡みは十分説得力があった。

しかしなぜ男がこの案件を持ってきたのか。

これが疑問だった。


そして私は調査会社に男の身辺調査を依頼した。

結果……同棲相手がペケポンの経理。

しかも最近帰っていない。


なるほど、同棲相手が戻っていないから、拉致の疑いがでてるんだ。

私は、その線で調査を始める。

たしかに数年前からペケポン絡みで、行方不明の案件がいくつか出ているようだった。


経理の不正か……。

これは恐らく完全に黒なんだろうな。

しかし、空売りをしかけるには……。

もう一つインパクトのあるネタが欲しい。


私は、男の女の一人。新聞社の女に電話をした。

なんで知ってるかって……。

ホスクラで何度も顔をあわせてるからね。

当然知ってるわよ。

名刺交換もしたし。

スマホだって知ってる。


(ぷるるるるる……)


「ひさしぶりだわね」

と新聞社の女は言った。


「私がなんで電話したかわかる」

と私は言った。


「わかるわよ。当然。私が恋しくなったんでしょ。抱いてあげましょうか?」

と新聞社の女は言った。


「彼に似てきたわね」

と私は言った。


「当然よ。真似したんだもん」

と新聞社の女は言った。


「彼厄介なことに巻き込まれたみたいだわね」

と私は言った。


「そうね。ご飯がないからって、私のところに食べに来たわ」

と新聞社の女は言った。


「私のところにはイカ墨持ってきた」

と私は言った。


「イカ墨……。ふん、なかなか洒落た言い方するじゃない。それであんたはどうするの?」

と新聞社の女は言った。


「私……。もちろんお金儲けよ。それしかないじゃない」

と私は言った。


「どうなの?儲かりそう」

と新聞社の女は言った。


「でなきゃ。電話なんかする」

と私は言った。


「でしょうね」

と新聞社の女は言った。


「で……、そっちはどうなの?」

と私は言った。


「もちろん私のキャリアアップにつなげるわ。でも少し困難かも……」

と新聞社の女は言った。


「困難は多くの場合、飛躍ひやくのための秘薬ひやくになる。

これは多くの歴史的事実が証明している」

と私は言った。


「ひやくだけにね」

と新聞社の女は言った。


「ひやくだけに……、何をいってるんだか」

と私は言った。


「ウマいじゃない。お金儲けだけの女と思ってたわ」

と新聞社の女は言った。


「勝ち馬に乗るには、ウマくないとね」

と私は言った。


「彼の他の女たちも動くのかしら」

と新聞社の女は言った。


「そうね。50人はいるって言ってたから」

と私は言った。


「あきれた。彼の〇〇〇どうなってんの?」

と新聞社の女は言った。


「自走式みたいよ」

と私は言った。


「なにそれ。うまく言えているのかどうかも微妙じゃない」

と新聞社の女は言った。


「私も同じように……つっこんだわ」

と私は言った。


「笑えるわね。ところで彼元気そうだった」

と新聞社の女は言った。


「さすがに元気はなかったわ」

と私は言った。


「そうね。私たちがなんとかしてあげなきゃ」

と新聞社の女は言った。


「そうね。お互いがんばりましょ」

と私はそう言い電話を切った。


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