天性のギャンブラー
28万一気にすっちまった……。
俺はパチンコ屋のベンチで、ぐだっとなっていた。
「おう。ホストくずれの兄ちゃん元気か?」
とオッサンに声をかけられた。
「自称パチプロのおっさんじゃねぇか。今日はやんねぇのか」
と俺は言った。
「金欠でよ。なぁカップラーメン奢ってくれよ」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「タダでか」
と俺は言った。
「タダとは言わねぇ。なんか欲しい情報ねぇか」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「汚笑怒翔怪かペケポンか」
と俺は言った。
「ペケポンは知らねぇ。汚笑怒翔怪なら2~3ある。
ただな。ちょっとカップラーメンだけじゃ割り合わねぇな。
そうだな。缶コーヒーとスロット代1000円よこせ」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「わかったよ」
と俺は言った。
「おぉすまねぇな」
と自称パチプロのおっさんは言った。
俺はおっさんに、缶コーヒーとカップラーメンと選ばせる。
「おいおい。いつものにしとけよ。それ100円高い奴じゃねぇか」
と俺は言った。
「いいじゃねぇか。お前が驕る事なんてないんだから」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「わかったよ。じゃあ……おっさんの好きな魚肉ソーセージもつけてやるよ」
と俺は言った。
「おお。俺ずいぶん口……軽くなるよ」
と自称パチプロのおっさんは笑った。
おっさんはカップラーメンにお湯を入れ3分待つ。
3分待って、自称パチプロのおっさんはカップラーメンのふたに手をかける。
「おいおいおいおいおい。それ5分のやつ」
と俺は言った。
「おお。そうか。危うく騙されるところだった」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「で……情報ってのは何なんだ?」
と俺は言った。
「あんまり大きな声ではいえねぇけどね………………………………」
と自称パチプロのおっさんは途中から思いっきり小声で言った。
「おっさんおっさん。声小さすぎ。耳元で……」
と俺は言った。
「あぁそうだな。わかった」
と自称パチプロのおっさんは言った。
(ふー)
自称パチプロのおっさんは、耳元に息をふきかける。
「やん」
と俺は言った。
「やん。じゃねぇだろ」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「そこ俺が突っ込むところ」
と俺は言った。
「ウソウソ。ちゃんと答えるよ」
と自称パチプロのおっさんは笑った。
「頼むぜ」
と俺は言った。
「あいつらのアジトは埠頭の外れの蠅のマークの扉の倉庫だ」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「おお重要な情報じゃねぇか。他には……」
と俺は言った。
「あとな。あいつら……みんな、から揚げ弁当しか食わねぇ」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「それ重要か?」
と俺は言った。
「あぁ。そしてな。幹部クラスだけ。から揚げ弁当にトッピングつけるんだ」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「なるほど。そうやって組織の上下関係をハッキリさせてるんだな」
と俺は言った。
「そういう事だ」
と自称パチプロのおっさんは言った。
「それだけか」
と俺は言った。
「おう」
と自称パチプロのおっさんは笑った。
俺はおっさんに別れを告げ。
店を出る。
俺はふと思い出していた。
から揚げ弁当しか食わねぇんだったら、あいつの超絶料理美味いスキル。
も役にたってねぇだろうな。
しかし……
アジトの情報は使えるが、から揚げ弁当の情報は……
使えるのか?
正味……なんの役にもたたないだろ。
まぁいい。とりあえずアジトはわかった。偵察に行こう。
しかし、一人で行くのは危険だな。
だれかいねぇかな。
足があって、ぱっと見イカツイ奴……。
一人いたわ。
電話しよ。
「ひさしぶりだな。バイク乗りの兄ちゃん」
と俺は言った。
「あら。ひさしぶりじゃない。ダーリン。電話してくれるなんてどうしたの?私の身体が欲しくなった」
とバイク乗りの兄ちゃんは吐息混じりに言った。
「いや。そうじゃないんだけど。ちょっと埠頭にな。偵察に行きたくってな」
と俺は言った。
「なにその萌えるシチュエーション。サスペンスなの。クライム系。あぁ萌えちゃう」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「あぁそうか喜んでくれるか」
と俺は言った。
「そりゃもちろんよ。そういう危機を乗り越え、ロマンスを深めるものなのよ。私は何着ていったらいい。鞭とか持っていきましょうか?」
とバイク乗りの兄ちゃんは尋ねた。
「鞭はいるかな?俺そういうの無知なんだ」
と俺は言った。
「むちだけにね」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「むちだけに……、何をいってるんだか」
と俺は言った。
「最高よ。その返し。ほれぼれしちゃう」
とバイク乗りの兄ちゃんは笑った。
「でも……。今回は偵察だけだから、いつもの皮ジャンと皮パンでいいよ」
と俺は言った。
「わかったわ。下着は勝負下着つけてくから。今どこ?30秒で支度するわ」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「●●ビル前だ」
と俺は言った。
「わかったわ。すぐに迎えに……いっちゃう。あっエッチな意味じゃないわよ」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「わかってるよ。じゃあ頼むぜ」
と俺は言った。
「じゃあね。ダーリン」
とバイク乗りの兄ちゃんは電話を切った。
……
15分後バイク乗りの兄ちゃんはやってきた。
「大胸筋、また凄くなったんじゃねぇか」
と俺は言い、バイク乗りの兄ちゃんの胸を叩く。
「やん。もうエッチ」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「お前のコレ。ナチュラルだろ」
と俺は言った。
「そうよ。ステなんて使わないわ。お肌にも悪いし」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「ハハハ。そうだよな。今日行くのは、そのステばら撒いている連中のアジトだ」
と俺は言った。
「あらやだ。ゴミ虫じゃない。駆除しなくっちゃ。あの僧帽筋気持ち悪くて。私生理的にムリなのよ」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「あぁでも潰すのは今日じゃねぇぞ。あくまで偵察だけだから」
と俺は言った。
「わかったわ。あなたについていく」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「じゃあ乗っけてってくれ」
と俺は言った。
「じゃあ。私にまたがって」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「お前じゃねぇだろ。バイクだろ」
と俺は言った。
「ちっ。もう少しだったのに」
とバイク乗りの兄ちゃんは言った。
「いや。誰も引っかからねぇだろ」
と俺は言った。
「うふ」
とバイク乗りの兄ちゃんは笑った。
そうして、俺らは埠頭に向かう。
途中何度か、
もっと強く抱いてと言われながら。




