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もしもの価値が育つ記憶(ばしょ)

作者: じゅラン椿

小学三年生のとき、クラスメイト達が、通い始めた珠算教室をきっかけに、私(山川啓子)は、叶原(かのはら)珠算学校へ行きたいことを両親に頭を下げ、通わせてもらった。


 三年生になると算数の授業で、そろばんを使う授業があったのだった。


学校から帰宅後、ランドセルを置き、鞄を持ち、自転車で珠算学校へ毎日通う。学校なので毎日なのだ。


2人用の席がずらっと並び、黒板があり、その右上には、「日・目・草・田」などの漢字があり、隠れた漢字はいくつあるかな、という簡単なクイズがあった。数字で疲れた頭に、それが小さな休憩のためだったのだろうか?今となっては理由はわからない。


さんさん手ほどき、五十五、など、基礎の基礎から、始まった。検定は十級からあり、順調に合格はしていた記憶がある。6級は一度不合格をしたのかもしれない。それでも、学校の後のこの珠算学校の時間は楽しかった。ずっと続けれると思っていた。

 学校なので、"校長先生"の存在もあった。怖かったけど、面白かった。

願いましては・・・・引いては32では。(暗算の場合もあった)

105です。ご明算。というのが楽しかった。家ではできないものですし。



 しかし、5級になったとき、2度不合格をしてしまい、親からはもう、やめなさいと、言われた。楽しいし、頑張りたいと思っていたので、最後のお願いをした。これで合格できなかったらやめるんだという、条件を出された。なくなく、その条件を承諾した、3年生か、4年生くらいだった。

割り算が苦手で、割り算を懸命に練習した。練習帳を何度もやった。問題集も購入しやった。


 休まず通うと、珠算ノートや珠算型の消しゴム・下敷きなどがご褒美に貰えた。タイムカードが出席カードのようになっていた。1時間きっちりあった。チャイムもあり、ほんとに、学校だった。


クラスメイトの数人はどんどん合格し私が5級でつまづいているうちに、2級・1級、小数があるんだよ、とか言っていた。早く合格したい、そう思っていたのは、もう奈落の底にいよいよ落ちるのだった。


ラストチャンスの試験の結果は・・・

ほんとに惜しくて、10点不足の不合格。約束だったのでやめることになった。

5年生くらいになってたのだろうか・・・・。悔しい思いは今でも覚えている。家でしばらく、練習帳をやった記憶がある。

なんで、やめろって、言うのか、子供の私は意味がわからなかった。応援するんじゃないのか、子供が嫌だというのを親が止めるのが一般的なんじゃないかと、納得がならなかった。


代わりに英語塾5年生から通った。これもクラスの数名が通い始めたからだ。

試験に合格しないと入れない塾だった。

私はなんとか合格した。中学三年生まで通った。


そして、高校生になり、部活の選択で、第一希望は定員になってしまい、入部を断念。商業科だったので、珠算部に入った。家にあるそろばんを使った。


でも、やりかたなんてすっかり忘れてしまっていた。何年も触らないままだったから。


 顧問の先生や、先輩は優しく教えてくれた。もしもあの時続けていたら、検定は続きからできたのに・・・。と悔しさが呼び出されたこともあった。


高校なので、検定は4級から受験だった。とてもとても、自信なかった。

過去問題集をやり、無事合格した。その後、三年間で準二級まで合格したのを、覚えている。親には伝えてない。試験料は、バイトしたお金で支払っていたから、言う必要はないと思ったからだ。


中学の時まで珠算をしていた生徒は初段・二段・・・合格したというのを耳にしたことがある。私も続けたかった・・・。悔しいさは、より味が出ていた。


♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


 どちらの私も、恥ではなく、後悔でもない。

今の私を作った大切な一部なのだから。

続けられなかった私も、もしも、合格していた私も確かに私の中で生き続けている。


どちらの私も、認めていい。その積み重ねこそ、価値が育つ足跡、記憶、功績(ばしょ)なのだから。











もしもあの時、~していたら・・・・というのは、誰しも、あるかもしれません。"後悔"という単語に片付けてしまったら、簡単ですが、その自分が今の自分を支えているはずです。


少しでも、前向きになれれば、幸です。


最後まで拝読ありがとうございました。


    じゅラン椿

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