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プロローグ:簡単に奇跡を与えてはいけないらしい。癒しすぎは感謝ではなく恐怖なの?
「リリア=カーネリアン。あなたは、“聖女”の称号を返上しなさい」
聖堂の最奥、“神審の間”。
白銀の神官たちに囲まれて、私は静かに立っていた。
「理由をお聞かせください」
「──癒しすぎるのです。あなたの奇跡は、神の意志を逸脱している」
そう言われて、私は黙って頷いた。
治しただけ。痛みを和らげて、苦しみを取り除いただけ。
でも、どうやらそれが一番の罪だったらしい。
「教会に寄せられた訴えは数知れません。“死ぬことも許されないのか”と、“苦しまずに治るなど神の奇跡ではない”と。──あなたの癒しは、感謝ではなく“恐れ”を招いたのです」
……笑ってしまいそうだった。
どうやら、私の力は“人助け”に向いていなかったらしい。
「……わかりました。聖女は、辞めます」
そうして私は、聖女を追われた。
だがまだ知らなかった。
“癒し”を必要としていたのは、むしろ──人間ではなく、魔族たちの方だったということを。
私の薬草人生、ここからが本番である。




