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神使?

昴の飯綱(管狐)レラ視点です。

 悠里くんとご主人は、なんだかんだいってルカちゃんを受け入れてて、優しいなって思う。

 

「それにしても、成人したから容赦ないのね」

 

 今日も今日とて悠里くんはアイツらに突撃されてて、ハクジさまに消し炭にされてた。

 座敷童子こと護法童子のルカちゃんは当然アイツらが見えるし、退治もできちゃう。でも汚れるから嫌だといって、円形のシールドみたいなもので包んで悠里くんや私たちを守ってくれる。でもね、そのシールドに張り付いて離れないから、それはそれで怖いんだよ……。シールド透明だから……。で、それをハクジさまがやっつけると。


『犬上家の血統だからな』

『いぬがみけ』

 

 有名な某犬神家を思い出してしまう。

 

『犬上家の血を引く者は穢れに好まれやすい。血が薄まり、無縁となる者もいるが、直系は契約の為そうはならん』


 契約。詳しくは聞かないけど、その契約があるからハクジさま達犬神が犬上家の直系を守ってるのではないかと推察しちゃう。

 

「飯綱見てたら私もほしくなっちゃって」


 ルカちゃんが私を撫でながら言う。

 え? 私?

 

「さすがに私の神使が飯綱というわけにはいかないし、この子特殊じゃない?」

『まぁな』

 

 それは前世の記憶のことを仰せでござろうか。

 

「だから別の可愛い子を選んだの!」

 

 ホラ! と言ってポケットから取り出したのはシマエナガ。シマエナガ!

 白くてまん丸くてむくむくだ!

 

『可愛い!』


 どうしよう、近付きたいけど、駄目だよね。

 ご主人の腕を掴みながらシマエナガを見る。怖がらせないように。

 そうしたらトットットッと跳ねるように近付いてきて、私の頬にすりってしてくれた! わぁーっ!!

 

「可愛いが可愛いことしてるっ」

「それね」

「この組み合わせが見たくてこの子にしたのよっ」

『神使を容姿で選ぶな……』

「何言ってるのよ、神使なんてそんなものよ」

 

 恐る恐るご主人からもらったクッキーの半分をシマエナガちゃんに差し出してみる。シマエナガちゃんは首を傾げたあと、受け取ってくれた。やったー!

 

「寿命伸びそう」

 

 悠里くん、同感です。飯綱の寿命とか分からないけど。

 

「可愛いねぇ。でもやっぱりうちの子が一番可愛いって思っちゃうね」

 

 ご、ご主人!!

 嬉しくて思わずご主人の首にくるりと巻きついて、頬にすりすりしてしまった。

 シマエナガちゃんはルカちゃんの肩に乗った。可愛い。

 

「見えないんだよね?」

「普通はね」

 

 なるほど、シマエナガちゃんも私と一緒で霊感のない人には見えないんだ。ところでシマエナガちゃんは話さないのかな。

 

「ところでこのシマちゃんは」

「違うわよ、ピヨちゃんよ」

「ピヨちゃんね」

 

 ルカちゃん、ネーミングセンスないの理解した。

 

「ピヨちゃんはレラのように意思疎通できるの?」

「神使になったばかりだから当分無理ね。レラが普通じゃないのよ」

 

 え、私普通じゃないの? 普通がまず分からないけど。

 

「こっちの言ってることは分かるけど、話せるようになるには霊格を上げる必要があるの。霊格も低くて妖としても最弱の部類に入る飯綱なのに、話せるレラがおかしいの」

 

 契約したからご主人と話せるようになったんだと思ってた。ハクジさまは最強だし、人外だからお話しできるのかなーって思ってたのに、違った。

 

「だからおまえもレラを見習ってアイツらを屠って霊格を上げるのよ」

 

 ピィ、とシマエナガちゃんことピヨちゃんが返事した。

 霊格アップ仲間が増えた!







 Eテレが好きで、ご主人が勉強中に見てる。ご主人と一緒に見たりもする。グレーテルのかまどとか、ピタゴラスイッチとか大好き。

 今日は悠里くん両親が揃ってお出かけとのことで、夜も一緒。ハクジさまが一緒ということは、絶対に安全だけど悠里くんがいるから平和はないのだ。痛し痒しってこんな感じかな。

 

「昴、料理の腕上げたんじゃない?」

「そうだとしたらレラのおかげかなぁ」

「作るの手伝ってくれてる姿可愛かった」

 

 ハクジさまは手伝えたとしてもしないだろうし。そもそも食事も付き合ってる感あるし。

 

「レラちゃんも少し強くなったよね」

「頑張りやさんだからね」

 

 偉い偉いと私の頭を撫でる悠里くん。

 

『悠里くん、ハクジさま感謝、する』


 悠里くんは一瞬驚いた顔をした後、「そうだよなぁ」と答えた。それからハクジさまの前に正座して頭をぺこりと下げた。

 

「ハクジ、いつもいつもオレのことを守ってくれてありがとう。言われないと気付かないバカでごめん」

『……礼など言われずとも守るが……悪い気はせん』

 

 ハクジさまはツンデレかな。

 その後ハクジー、と言って悠里くんが抱きついてもふもふしてて、正直羨ましすぎた。ハクジさま呆れ顔だけどされるがままだし、実は嫌いじゃないんだと思う。ご主人曰く、悠里くん以外には触らせないんだって。あのふわっふわもっふもふに触りたい放題とは!

 

『もふもふ』

「レラももふもふだよ?」


 自分のしっぽを抱き寄せてみる。たしかにもふっとしてるけど、もふ度はハクジさまのほうがあるし。

 

「ハクジのもふもふに触りたいんだ?」

『いつか、触らせてもらえるように、強くなる』

「そっか」

 

 飯綱が犬神の中でも最上級のハクジさまに気安く触るとか、許されないだろうし。そこはなんていうか、ちゃんとマナーを守りたい。

 

「じゃあ頑張らないとね」

『うん』

「そうだ、悠里なら悶絶するものを見せてあげるよ、レラ次第だけど」

「え? 悶絶?」

 

 ご主人が歌いだした。Eテレの"おかあさんといっしょ"で子供たちが踊ってるのを真似してたらご主人に見られてしまって、それからこうやってご主人が歌って私が踊るのを毎日やってる。人間の時だったら恥ずかしくて無理だけど、オコジョな飯綱がやると、結構可愛いんだよ。ご主人がとっても喜ぶので、踊っちゃう。

 

 悠里くん途中からスマホで動画撮影してたけど、私映るのかな。前にご主人もやって無理だったけど。霊じゃないから写らないんだって。

 

「あああああぁ、撮れてないぃぃ」

『当たり前だろう』

「オレもやったけど無理だったよ。悠里ならと思ったけどやっぱり駄目だったかー」


 オコジョは飼育が許可されてないから、動画が思いがけず流出してしまうと大問題になりそうだし、映らないほうがいいと思う。

 

「これ、ピヨちゃんと踊ってほしい」

 

 シマエナガのピヨちゃんとオコジョの踊りは、見る側にまわりたいです。推される側じゃなく、推す側になりたい。でもご主人にお願いされたら踊っちゃうと思うけど。

 

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