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犬上家と愉快なオトモタチ  作者: 黛ちまた


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光を辿る

 イキナリ帰って来た春樹兄に驚いたけど、大人が二人いるって正直安心する。春樹兄も一般人なんだけど、なんかこう、あまりの光属性に安心せざるを得ないというか?


「おまえは相変わらずだな」

「おまえこそいつ会ってもこの世が滅びるのを心配してそうな顔してまー」


 カラカラと笑う春樹兄。

 春樹兄は大学卒業後、その学歴を全く活かすことなく海外に高飛びした。昴ン家の両親はさぞやガッカリしたんじゃないかな。っつか、本当に何して生きてきたんだか不明。昴に聞いても知らないって言われるし。


「さて、行くか」


 オレ達を止めるためのちょっと待ったーではなく、オレも行くからちょっと待てだったもよう。まぁ、春樹兄がそんな常識人なはずなかった。


 先頭は児玉さんと昴。殿は春樹兄。間に挟まるオレとハクジとルカ。ルカがドーム状の防御壁みたいなものを張る。

 アイツらは日中もいるけど、日が暮れればより数が増える。ハクジなら全部対応できるだろうけど、今はルカの防御壁がありがたい。張られた防御壁を見て春樹兄が感嘆の声をもらす。


「おー、さっすがルカ」

「当たり前でしょ」


 褒められても嬉しくないらしく、鼻で笑う。そのやりとりを児玉さんが複雑な顔で見てる。この中で見えてないの児玉さんだけだもんなぁ。


「オレだけか、見えてないの」


 なんか色々と滅茶苦茶な集団だということは間違いない。電池二人と神様二人、じゃなくって二柱と、神様になりかけてるレラちゃん。あと一般人だけど警察官で一番常識人だろう児玉さん。春樹兄は光属性以外の表現方法が分からん。


「春樹兄、何背負ってんの?」


 どえらい荷物背負ってんだけど。人ひとり入ってそうなぐらい大きなザック。


「これかー? 埋蔵金とか発掘するのに使った道具とか諸々だなー。便利なんだぞー」


 埋蔵金て。いやでもマチュピチュならありなのか?


 昴はレラちゃんに繋がる光の筋の方向を見てる。

 団体の建物は思った以上に近いから、そこなのかな、なんて思っていたら昴がルカを見て言う。


「これ、遠い可能性ある? 山とか」


 山といってもこの国には沢山あるわけで。この前行った山だって、もうレラちゃんと融合済みだから光の筋が見えなかっただけかもしれない。山だったら徒歩で向かうのは無理。


「有り得なくはないわね。ちょっと待ってなさい」


 言うなりルカが目の前から消えた。おぉ! 久々見た。

 オレと昴はこれを見たからルカが人間じゃないことを知ったんだよなー。児玉さんが目をまん丸くしてる。

 この短時間で児玉さん、色んなもの目にしたり聞いてるけど大丈夫かな。


 数分後に戻って来た(?)ルカ。


「残念なことに近距離よ」


 残念てなんだ。


 そんなわけで? 隊列はそのままに出発する。

 深夜というわけでもないからすれ違う人達もいる。よく分からない集団のオレ達を怪訝な目で見る人もいた。ですよねー。







 無言のまま、歩き続けること一時間。日は完全に暮れて、すれ違う人もいない。

 そして思ったとおり、団体の建物の中に光が吸い込まれてる。

 春樹兄に近くの公園に誘導される。よく分からん集団が夜遅くに公園にいるの、不審ー。


「さて児玉、おまえは所轄の警察に行ってろ」

「待て、おまえ何をやる気だ」


 春樹兄は建物のある方向に親指を向け、ニカッと笑った。


「そりゃ勿論、建造物侵入」

「おまえ、それは犯罪だ。認められん」

「そうそう。でもオレ達はもっと凄いものを見つけちゃうわけ。そんでおまえに通報する。建造物侵入は懲役三年以下または罰金十万ぐらいだ。初犯だしなー」


 わぁ……確信犯。


「兄が犯罪者になる家族の立場は?」

「うーん、ごめん?」


 えー……春樹兄、それはちょっと無責任すぎるんじゃ。


「うそうそ、見てこれ」


 ベローンと効果音付きで春樹兄が出してきたのは、団体からの手紙だった。児玉さんはポケットから手袋を取り出すと手紙を読み始めた。……手袋、持ち歩いてんだ、さすが警察?


「オレさ、こう見えてこの界隈で有名人なんだよね」


 ドヤ顔の春樹兄。

 待って、この界隈ってどの界隈……。

 児玉さんから手紙を返してもらうと、春樹兄はポケットに手紙をしまった。


「昴程じゃないけど、オレも霊感あるわけ。そんで各地でそれ使って知名度上げてきたの。褒めて」

「褒めるか、馬鹿」


 児玉さん、もっと言ってやって。


「おまえが弟のために警視になったようにさ、オレも弟を守るために手段を考えたわけ」

「それとそっちの知名度に何の繋がりが?」

「毒を食らわば皿まで。蠱毒じゃねぇけどさ、やっばあんのよ、ランクがさ。アイツらには手を出しちゃ駄目だみたいな不文律が」


 その口ぶりからすると、春樹兄、猛毒ってこと?


「オレに視る力は昴ほどないけどな、聞く力はあるんだな、これが。その力でもってオレはある大物団体と懇意にしてる。海外のな」


 児玉さんの眉間に皺が寄る。春樹兄はニヤニヤしてる。悪い顔ー。


「国際問題がー、わーどうしよーってゴタついてる間に重要な証拠があん中から出てくるって寸法よ」


 やべー、よく分かんないけど春樹兄、マジやべー。


「…………危険度は?」


 春樹兄はハクジとルカを見て笑う。


「愚問ってもんだよおまえ、あっちの偶像と違ってこっちは本物の神様がいんだからさ」


 児玉さんがルカを見る。

 座敷童子にそんな力が? とか考えてるんだろうか?


「あとまぁ、オレ、カリ・シラットとジークンドーと合気道嗜んでますからね、自分の身は自分で守れるからへーきへーき」


 言い返そうとする児玉さんの身体の向きをくるっと変える。児玉さん的にはオレ達が心配なんだろう。


「ゴタゴタ言ってる暇はねぇの、ホラ!」


 背中をバンと叩かれた児玉さんは、後ろ髪引かれながらも去って行った。


「さて、いっちょ侵入しますか」


 軽いノリで犯罪を宣言しないでほしい……。


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