第82章 「松尾芭蕉と鍵穴の秘密!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
時空の渦に飲み込まれた陽希と莉桜。
ドガァァァァァァン!!!!
「いてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
陽希は地面に顔面から着地し、またしても泥まみれになった。
「陽希、大丈夫!? ……って、あれ?」
莉桜が顔を上げると、二人はなんと江戸時代の風情あふれる街道のど真ん中に立っていた。
「えっ!? えっ!? なんか和風なんですけど!?!?」
「ちょっと待て!! これは絶対江戸時代だ!!」
目の前には、旅支度をした人々が行き交い、宿場町の茶屋が賑わっていた。
「まさか、ここって……?」
陽希が周囲を見渡すと、一人の旅人が俳句を詠みながら歩いていた。
渋い顔立ち、落ち着いた風格、流れるような筆さばき——
「こ、これはまさか……!!!」
陽希と莉桜は同時に叫んだ。
「松尾芭蕉!!!!!!」
「おおお!? 旅の俳人がいるぅぅぅ!!!」
ーーー
陽希、江戸時代で営業開始!?
芭蕉は、ゆっくりと二人を見つめた。
「……君たちは?」
「ええと!! 私たちは営業マンです!!!」
陽希は勢いよく頭を下げた。
「本日はこちらの素晴らしい商品を売りに来ました!!!」
「営業……?」
芭蕉は不思議そうに首をかしげる。
「何を売るのだ?」
「ええと……こちらです!!!!」
陽希は胸を張り、堂々と商品を掲げた。
「鍵穴です!!!!!」
「……。」
しーーーーーーん……。
宿場町の人々が、一斉に陽希の方を見た。
「……鍵穴?」
芭蕉は困惑した顔をした。
「はい!!」
「それは、どういうこと?」
「鍵穴があれば、家の戸締りが完璧!! 旅人でも安全に過ごせる画期的なアイテムなんです!!!」
「……。」
芭蕉はじっと陽希を見つめた。
「……私は旅人だ。家がない。」
「ええええええええええええええええええ!?!?!?!?」
ーーー
「鍵穴は旅人に必要?」陽希の猛反撃!!
「ちょっと待ってください!! なんで即却下なんですか!?」
陽希は必死に食い下がる。
「鍵穴があれば、旅人が泊まる宿の安全も守れます!! 泥棒対策に最適!!!」
「……。」
芭蕉は、じっと考え込んだ。
「確かに、旅先での盗難は困るものだな。」
「でしょ!? だから、鍵穴を付ければ、安心して寝られるんです!!!」
「……だが。」
「え?」
「私は宿に泊まることが少ない。」
「ギャアアアアア!!!!!」
陽希は地面に崩れ落ちた。
ーーー
最後のチャンス!? 鍵穴で俳句革命!!
「くそぉぉぉ!!! こんなに便利な鍵穴が売れないなんて……!!」
陽希は頭を抱えた。
「ならば、こうしよう。」
芭蕉は静かに言った。
「もし、この鍵穴が俳句に役立つものであれば、買うことを考えよう。」
「な、なんですとぉぉぉ!??」
「さあ、どうする?」
「くっ……こうなったら……!!!」
陽希は一か八かの策を取ることにした。
ーーー
陽希の逆転策! 「鍵穴から見える世界!!」
「……そうだ!!!」
陽希は閃いた。
「この鍵穴を使えば、俳句の世界が広がります!!!」
「……俳句の世界?」
「そうです!! 鍵穴を覗くと、普段は見えない風景が見える!!」
「……!!」
芭蕉の目が光った。
「例えば、宿場の鍵穴から見える外の景色……その隙間から見える情景を句にすれば、新たな表現が生まれるのでは!?」
「……!!!」
芭蕉はしばらく考えた後、鍵穴を手に取った。
「試しに、覗いてみよう。」
芭蕉が鍵穴を覗くと、隙間から風に揺れる竹林が見えた。
「……ふむ。」
芭蕉は筆を取り、さらさらと俳句を書いた。
「鍵穴に 風のざわめき 夏の月」
「……!!」
「おおおおお!!! すごい!!! 俳句が生まれた!!!」
「ふふ……これは、面白いかもしれぬ。」
「やったぁぁぁぁ!!! ついに売れたぁぁぁぁ!!!!!」
こうして、陽希は史上初の「俳句専用鍵穴」を江戸時代に売ることに成功したのだった——。
そして、新たな時代へ——
「はぁ……なんで俺、江戸時代で鍵穴を売ってるんだろ……。」
陽希はぐったりした顔でつぶやいた。
「でも、芭蕉さん、楽しそうだったね。」
莉桜が微笑む。
「いや、それはいいんだけど!! 鍵穴ってそんな使い方するもんなの!??」
ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
「うわぁぁぁぁ!? またかぁぁぁ!!!」




