第80章 「アンネ・フランクと通勤電車の奇跡!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
時空の渦に飲み込まれる陽希と莉桜。
ドガァァァァァァン!!!!
「いてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
陽希は何か硬いものの上に叩きつけられた。
「陽希、大丈夫!? ……って、あれ?」
莉桜が顔を上げると、二人はなんと満員電車の中に立っていた。
「えっ!? えっ!? 今回は電車!?!?!?」
「ちょっと待って!! なんかめっちゃ混んでるんだけど!!!」
周囲には、ぎゅうぎゅう詰めの乗客たちが座席に座ったり、吊革につかまったりしていた。
「え、これって……まさかの通勤ラッシュ!??」
陽希は困惑しながら周囲を見回した。
すると、電車の奥の方に、一人の少女が静かに座っているのが見えた。
茶色い髪、優しい瞳、どこか儚げな雰囲気——
「こ、これはまさか……!!!」
陽希と莉桜は同時に叫んだ。
「アンネ・フランク!!!!!!」
「おおお!? なんでアンネ・フランクが通勤電車にいるのぉぉぉ!?!?」
ーーー
陽希、満員電車の中で営業開始!?
アンネ・フランクは、静かに二人を見つめた。
「……あなたたちは?」
「ええと!! 私たちは営業マンです!!!」
陽希は勢いよく頭を下げた。
「本日はこちらの素晴らしい商品を売りに来ました!!!」
「営業……?」
アンネは不思議そうに首をかしげる。
「何を売るの?」
「ええと……こちらです!!!!」
陽希は胸を張り、堂々と商品を掲げた。
「通勤電車です!!!!!」
「……。」
しーーーーーーん……。
電車内の乗客が、一斉に陽希の方を見た。
「……通勤電車?」
アンネ・フランクは困惑した顔をした。
「はい!!」
「それは、どういうこと?」
「電車って、すごく便利なんですよ!! 世界中の人が使っていて、移動に欠かせない乗り物なんです!!!」
「……。」
アンネはじっと陽希を見つめた。
「……でも、私は電車を買うお金を持っていないわ。」
「ええええええええええええええええええ!?!?!?!?」
ーーー
「電車は戦争時代に必要?」陽希の猛反撃!!
「ちょっと待ってください!! なんで即却下なんですか!?」
陽希は必死に食い下がる。
「電車があれば、移動がスムーズになって、戦争中でも逃げるのが楽になるんですよ!!!」
「……。」
アンネは、少し悲しげな表情を浮かべた。
「でも……電車があっても、私たちが自由に乗れるわけではないでしょう?」
「……!!」
陽希は言葉を失った。
「それに……私が隠れていた場所には、電車なんてなかったわ。」
「……。」
「もし、私が電車に乗って自由に移動できていたら……未来は変わっていたのかしら?」
「……!!!」
陽希の脳内に、一瞬で電車の可能性が広がった。
「そうか……!! ならば!!!」
ーーー
最後のチャンス!? 電車で未来を変えろ!!
「アンネ!! もし、電車がもっと広まっていたら、移動の自由が生まれていたかもしれないんだ!!!」
「……。」
「だから!! 未来の世界には、こうやってみんなが自由に電車に乗れるようになったんだよ!!」
「……!!!」
アンネの目が輝いた。
「そう……未来では、誰でも自由に電車に乗れるの?」
「そうだよ!! だから、もしこの電車に乗れるなら、どこへ行きたい?」
「……うーん……。」
アンネはしばらく考えた後、微笑んで言った。
「パリに行ってみたいわ。」
「おおおお!!! じゃあ、行こう!!!」
陽希はすぐに車掌に声をかけた。
「すみません!! この電車、次の目的地はパリでお願いします!!」
「……いや、ここ日本なんで無理ですね。」
「ギャアアアアア!!!!!」
こうして、陽希の壮大な計画は、あっさり却下されたのだった——。
そして、新たな時代へ——
「はぁ……結局、電車は売れなかった……。」
陽希は肩を落とした。
「でも、アンネさん、ちょっと楽しそうだったね。」
莉桜が微笑む。
「いや、それはよかったんだけど!! 俺、なんで電車を売ろうとしてたんだ!?」
ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
「うわぁぁぁぁ!? またかぁぁぁ!!!」




