第74章 「諸葛亮孔明とガムテープの奇策」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
陽希と莉桜は、時空の狭間に吸い込まれ、次の時代へと放り出された。
ドッシャーーーン!!!!
二人は見事に地面に叩きつけられる。
「いってぇぇぇぇぇぇぇ!!! もうちょっと柔らかい着地方法ないのかよ!!!」
「陽希、大丈夫!?」
莉桜が慌てて起き上がると、二人が落ちた場所は、なんと中国の軍営らしき場所だった。
「ん? なんか……兵士たちがたくさんいる?」
陽希が周囲を見渡すと、そこには鎧をまとった兵士たちがずらりと並び、何やら作戦会議の真っ最中だった。
「ま、また戦争の時代に来ちゃったのか!?」
「ここは……蜀の陣営か?」
陽希たちが混乱していると、一人の男が軍議の中心に立っていた。
彼は羽扇を持ち、優雅な姿勢で座している。その鋭い目つきと知的な雰囲気は、まさに——
「もしかして……諸葛亮孔明!?」
「うおおおおおお!?天才軍師に遭遇だ!!」
二人が驚いていると、孔明が静かにこちらを見た。
「おや、見慣れぬ者たちよ……何者だ?」
「えっ、えーと……」
陽希は慌てて姿勢を正し、名乗りを上げる。
「私たちは営業マンです!! 本日はあなたに素晴らしい商品を売りに来ました!!!」
孔明は興味深そうに目を細めた。
「ほう……我が軍のために、何を売るというのか?」
陽希は胸を張り、懐から商品を取り出す。
「本日のお品は、こちら!!! ガムテープです!!」
しーーーーーーん……。
軍議の場は、完全な静寂に包まれた。
孔明は眉をひそめ、冷静に尋ねた。
「……ガムテープ?」
「そうです!!! 現代の最強アイテム、ガムテープです!!!」
「……。」
「これさえあれば、何でもくっつく!! 何でも補強できる!! 軍営の補修や、兵器の強化、果ては戦術にも応用可能!!!」
陽希は熱弁するが——
「そんなもの、いらぬ。」
孔明は即答した。
「ええええええ!?!?!?」
陽希は地面に崩れ落ちた。
「お、おかしい!! なんで却下されるんだ!? こんなに便利なのに!!」
ーーー
ガムテープは戦場では不要!?
「ちょっと待ってください孔明先生!! なんでガムテープを却下するんですか!?」
陽希は食い下がる。
「理由は簡単だ。戦場において、粘着力のある布が何の役に立つのだ?」
「いやいやいやいや!! 逆に考えてください!! これ、すごく万能なんですよ!!」
「……ふむ。」
孔明は静かに羽扇を振り、兵士たちに命じた。
「では、試してみよう。」
「よっしゃあああああ!!! ついに実践!!」
実験1:武器の補修に使えるか?
「では、この槍の折れた部分を修理せよ。」
孔明は陽希に一本の槍を差し出した。
「お安い御用だ!!!」
陽希は即座にガムテープを取り出し、槍の折れた部分をグルグル巻きにする。
「できた!! ほら、完璧でしょ!?」
「……ふむ、では振ってみよ。」
槍を持った兵士が勢いよく振る。
ビヨヨヨヨヨヨン!!!!
「え?」
バキィィィィン!!!!
「ぎゃああああ!!! 槍が折れた!!!」
「バカな!? なんで!?」
「当然だ。強い衝撃を受ける武器に、粘着力のみで耐えられると思うのか?」
「ぐぅぅぅ!!!」
「つまり、戦場では不要ということだ。」
「いやぁぁぁ!!! ガムテープの面目がぁぁぁ!!!」
ーーー
実験2:城門の補修に使えるか?
「では、次に城門の修理を試すがよい。」
孔明は陣営の古びた城門を指さした。
「よしきた!! こういうのこそガムテープの出番だ!!」
陽希は意気揚々と、城門のヒビ割れた部分にガムテープをペタペタと貼る。
「ふふふ……これで完璧だ!!!」
「では、叩いてみよ。」
兵士が拳で軽く叩く。
ベリィィィィィ!!!
「ぎゃああああ!!? 取れたぁぁぁ!!!?」
「ガムテープが粘着力を発揮するのは、一時的なものに限る。」
孔明は冷静に分析する。
「長期的な補強には不向きだ。」
「うああああ!! こんなに使えない子扱いされるガムテープ、初めて見たぁぁぁ!!!?」
ーーー
最後のチャンス:ガムテープを戦術に応用せよ!!
陽希は頭を抱えた。
「くそぉぉぉ!! こんなに便利なのに、全然認めてもらえないなんて……!!」
「ならば、戦術的に使う方法を考えてみるがよい。」
孔明は微笑みながら言った。
「戦術的……? 戦術的に……?」
陽希は考え込む。そして——
「……そうか!!!」
陽希は閃いた。
「孔明先生!! 俺に最後のチャンスをください!!!」
「ほう……。」
「このガムテープを使えば、「敵軍の進行を妨害」できます!!!」
「なに……?」
孔明が眉をひそめた。
「例えば、夜のうちに敵の陣地の入り口をガムテープで固定するんです!! そうすれば、朝になった時、敵は城門が開かず大混乱!!」
「……!!」
孔明の目がキラリと光る。
「ふむ……それは確かに、面白い策かもしれぬ。」
「やったぁぁぁぁ!!! ついに認められたぁぁぁぁ!!!!」
こうして、ガムテープは孔明の策略の一部として正式採用されることになったのだった——。
「ふむ……。」
孔明はガムテープをじっと見つめ、深く考え込んでいた。
「戦術に応用できるというのは興味深い。……では、実際に使ってみるとしよう。」
「よっしゃあああ!! ついにガムテープが正式採用!!」
陽希はガッツポーズを決めた。
「で、で、どこで使うんですか!?」
孔明は静かに羽扇を振る。
「今夜、魏軍の拠点に潜入し、彼らの兵器と武器庫をガムテープで封じる。」
「えっ!? 実際にやるの!?」
陽希は驚いたが、孔明は真剣な顔で頷いた。
「軍略というのは、常に実戦で試さねば意味がない。」
「ま、まあそりゃそうですけど……!!」
「陽希、まさか本当にやるの?」
莉桜が心配そうに聞くが、陽希は不敵な笑みを浮かべた。
「へへへ……ここまで来たら、やるしかないっしょ!!!」
こうして、陽希と莉桜は、ガムテープを駆使した奇策の実行を任されることになった。
ーーー
夜襲! 魏軍の拠点をガムテープで封鎖せよ!!
夜——。
魏軍の拠点に、陽希と莉桜はそっと忍び込んでいた。
「……しっかし、これマジでやるのか……?」
「陽希、声が大きい!! ばれるよ!!」
「う、うん……。」
二人はそっと敵の武器庫へと近づいた。
「よし、ここにガムテープを貼るぞ!」
陽希は静かにガムテープを取り出し、慎重に作業を始めた。
ペタペタ……シュルシュル……。
「……ふふふ、これで武器庫は開かない!!」
「やったね!!」
「よし、次は馬小屋だ!! 魏軍の馬を封じて、撤退を遅らせる!!」
陽希と莉桜は急いで馬小屋へ向かい、扉をガムテープでガチガチに固定する。
「これでバッチリ!!」
「これ、意外とめっちゃ効果あるんじゃない?」
「うん!! さあ、急いで戻ろう!!!」
二人はこっそりと拠点を後にした——。
ーーー
魏軍、大混乱!! まさかのガムテープ封鎖!?
翌朝——。
魏軍の拠点では、異常事態が発生していた。
「な、なんだこれはぁぁぁ!?!?」
武器庫の扉を開けようとする兵士たちが、焦りながら騒ぎ始める。
「おい!! 扉が開かないぞ!!」
「な、なぜだ!? 昨日まで普通に開いていたのに……!!」
「誰か開けろ!!!」
魏軍の将軍は怒鳴りながら指示を飛ばすが——
「将軍!! 馬小屋も開きません!!!」
「な、何ィィィ!?」
「馬が……! 出せません!!!」
「どういうことだ!!?」
魏軍の兵士たちは大混乱に陥った。
一方、その様子を遠くから眺めていた孔明は、満足げに微笑んでいた。
「……見事だ。」
陽希はガッツポーズを決めた。
「やったあああ!! ガムテープ、まさかの歴史的勝利!!!」
「陽希、すごい……!!」
莉桜も思わず感動する。
「ふふふ……これで魏軍の動きは大きく鈍る。今が攻め時だ。」
孔明は静かに羽扇を振り、蜀軍に進軍を指示した。
こうして、「ガムテープ戦法」は見事成功し、蜀軍は圧倒的有利に立ったのだった——!!
そして、新たな歴史が刻まれる——。
その後、孔明の軍略書にはこう記された。
「戦場において、智略こそ最も重要である。その一例として、粘着力を持つ布を用いた奇策を実行し、敵を封じることに成功した。」
「これを『封鎖の計』と名付ける。」
「ちょっと待って!!! 歴史の戦術にガムテープが刻まれようとしてるぅぅぅ!!!?」
陽希の悲鳴もむなしく、孔明の策略の一つとして、「ガムテープ戦術」が歴史に名を残してしまうこととなったのだった——。
そして、新たなトラブルへ——。
「ふぅ……今度こそ、まともな営業をしたい……。」
陽希は疲れた顔で地面に座り込む。
「でも、また次の時代に飛ばされるんじゃ……?」
莉桜が不安そうに言うと——
ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
「うわああああ!!! まただぁぁぁぁ!!!」
二人は再び時空の狭間に飲み込まれた。
「いやだぁぁぁ!! もうまともに商売させてくれぇぇぇ!!!」




