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偉人相手に商談!?陽希がんばります!  作者: 乾為天女


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第72章 「ヘップバーンとMDの迷宮」

 陽希と莉桜が次に飛ばされたのは、どこか華やかな街並みだった。石畳の道に、シックなカフェやブティックが立ち並び、行き交う人々はどことなく洗練された雰囲気を纏っている。

「おぉ!? ここ、まるでオードリー・ヘップバーンの映画みたいな世界じゃないか?」

「うん、でも……なんか実際に映画の中に入り込んだみたいな感じがする。」

 莉桜がそう言った瞬間、目の前の道を一人の女性が颯爽と歩いてきた。

「えっ……うそ……。」

「おぉぉぉぉぉ!? これ、まさかの本物!?」

 そう、そこに現れたのは、まさにオードリー・ヘップバーンその人だった。彼女は優雅な動きでサングラスを外し、二人をじっと見つめる。

「あなたたち……どこかでお会いしたかしら?」

「い、いやいやいや! そんなことはないです!! ただの営業マンです!!!」

 陽希は慌てて頭を下げた。

「営業マン……?」

「はい!! 本日はこちらの素晴らしい商品をお持ちしました!!!」

 陽希は自信満々に懐から商品を取り出す。

「MDです!!!」

 ヘップバーンの優雅な表情が、一瞬で曇った。

「……MD?」

「はい! 音楽を保存できる、画期的なメディアです!!」

「……レコードではなく?」

「そう! もっとコンパクトで、持ち運び自由!! まさに未来の音楽ツールですよ!!」

「……でも、どうやって使うの?」

「あっ。」

 陽希は固まった。

「そ、そういえば……MDって、再生機が必要なんだっけ……。」

「えっ!? まさかの再生機なし!!?」

 莉桜が慌てて陽希を小突くが、ヘップバーンは冷静に質問を続ける。

「その……MD? というのは、手軽に使えるのかしら?」

「えーっと……」

 陽希は必死に記憶をたどる。MDはたしか、専用のプレイヤーがないと再生できなかったはず。しかも、データを入れるのも結構めんどくさい。

「……めちゃくちゃ便利です!!!」

「本当に?」

「も、もちろん!! ただ、ちょっとだけ準備が必要で……!」

「……どういうこと?」

「えっとですね、まずMDプレイヤーが必要なんです。」

「MDプレイヤー?」

「そう! それさえあれば、どこでも好きな音楽が聴けるんです!!」

「では、プレイヤーは?」

「……ありません!!!」

「……。」

 ヘップバーンの表情が完全に凍りつく。

「ちょっと待って陽希!! これ、完全に詐欺みたいになってるよ!!」

 莉桜が慌てて囁くが、陽希は汗をかきながら必死に言い訳を考えた。

「だ、大丈夫です!! 代わりに……人力再生機をお付けします!!!」

「……人力再生機?」

「はい!! 例えばこうやって……口で歌うんです!!」

「はぁ!?」

 ヘップバーンはもちろん、莉桜までもが唖然とする中、陽希は強引にデモンストレーションを始めた。

「例えば、MDにはこんな曲が入っているとしましょう……!」

 陽希は突然、ヘップバーンの目の前で歌い始めた。

「ムーン・リバー♪ ワイダンナマ~♪」

「ちょっと待って!! それ……大丈夫!? 音程、合ってる!?」

 莉桜がツッコむが、ヘップバーンは意外にも陽希の即興カラオケを真剣に聞いていた。

「……ふむ。確かに、音楽を持ち運ぶというのは面白い発想ね。」

「ですよね!? つまり、これは"記憶に保存するMD"でもあるんです!!」

「記憶に保存?」

「そう! MDに曲を入れられなくても、歌で再現すれば問題なし!」

「つまり……ただのアカペラ?」

「ええと……そうなりますね!!!」

「……。」

 ヘップバーンは静かに陽希を見つめた後、優雅に微笑んだ。

「買うわ。」

「えぇぇぇぇぇ!??」

「でも、条件があるわ。」

「な、なんでしょう!?」

「あなたが、このMDに入っているという曲を、全部歌ってくれるなら。」

「うおおおおお!? まさかの生ライブ要求!!?」

 こうして、陽希はヘップバーンの前でひたすらアカペラを披露する羽目になった。

「ルルルル~♪ サウンド・オブ・ミュージック~~~♪」

「ちょっと陽希!! 音程ズレてる!!!」

「うるさい!! これが人力MDの限界だ!!!」

 ヘップバーンは優雅にティーカップを傾けながら、陽希のライブを楽しんでいる。

「……悪くないわね。でも、もう少しリズムを意識して。」

「えぇぇぇ!? 音楽のプロからダメ出し!!?」

 こうして、MDは無事(?)ヘップバーンに売れたものの、「陽希のアカペラ」というおまけがついてしまったせいで、世界初の"音源なし音楽メディア"として記録されることとなる——。




「では、次の曲をお願い。」

 ヘップバーンは優雅にティーカップを傾けながら、まるで貴族の嗜みかのように陽希の生歌を楽しんでいた。

「えっ、まだ歌うの……?」

 陽希はすでに汗だくで、喉もガラガラだ。

「当たり前でしょ。MDに入っているはずの曲を全部歌ってくれるって約束したんだから。」

 ヘップバーンは完璧な笑顔で微笑む。

「お、おかしい……MDを売りに来たのに、なぜ俺が生演奏機になってるんだ……!?」

 陽希は頭を抱えた。

「陽希……もう諦めて歌おう……。」

 莉桜はもう苦笑いしている。

「くそぉ……やるしかないのか……!」

 陽希は覚悟を決め、大きく息を吸い込むと——

「デェェェス・アイズ・ア・ビューティフォーーーール・ワーーーーーーール!!!!!」

「うるさーーーい!!!!!」

 莉桜の鉄拳が炸裂した。

「な、なんで殴るんだよ!!!」

「音量調整しなさいよ!! ここはカフェよ!? 急に全力でシャウトしないで!!!」

 周囲の客たちが驚いてスプーンを落としたり、コーヒーを吹き出したりしている。ヘップバーンも思わず微笑んだ。

「ふふふ。あなたたち、とても愉快な方々ね。」

「いや、愉快とかじゃなくて、俺は営業しに来たのに、なぜかMDプレイヤー役になってるんですけど!!!」

 陽希は涙目で抗議するが、ヘップバーンは意に介さない。

「じゃあ、次はジャズをお願い。あの曲が好きなの。」

「ええええええ!?!?!?!?」

 陽希は絶望しながらも、なんとかジャズ風の鼻歌をひねり出す。

「ドゥビドゥバ~♪ スイングしなけりゃ意味がない~~♪」

「もっとスウィング感を出して。」

「無理ぃぃぃぃ!!!!!」

 陽希は完全に泣きそうになっていた。

 その時——

「おい、なんだこの騒ぎは!」

 突然、背後から低い声が響いた。

「え?」

 振り返ると、そこには見るからにガタイのいい男たちが立っていた。黒いスーツにサングラス……これはどう見ても普通の客ではない。

「もしかして……マフィア!?」

 莉桜が青ざめる。

「お、おいおい、なんで急にマフィアが出てくるんだよ!!」

 陽希は冷や汗をかきながら後ずさる。

「オードリー様、その妙な男は……?」

「大丈夫よ。彼は私に音楽を届けてくれているの。」

「音楽……? そいつ、ただの変な男に見えますが。」

「うわぁぁぁん!! 俺の営業が否定されたぁぁぁ!!!!」

 陽希は泣き崩れるが、ヘップバーンはにっこりと微笑んでいる。

「彼、MDというものを売りに来てくれたの。とても面白い発想だわ。」

「MD……?」

 マフィアたちは怪訝そうに顔を見合わせる。

「そ、それより何のご用で……?」

 陽希は恐る恐る尋ねる。

「オードリー様の安全を守るのが俺たちの役目だ。だが、貴様がMDとかいう怪しいものを持っていると聞いて、調査しに来たんだ。」

「ええええええ!? MDが危険物扱い!??」

 陽希は驚愕した。

「だって、これはただの音楽メディアですよ!? 何も危険な要素は……!」

「……だが、プレイヤーがないのだろう?」

「うっ……。」

「音楽が聴けないのに音楽メディア? それはおかしい……何か裏があるに違いない!!」

「いやいやいや!! MDはそういうものなんですよ!!!」

「信用できんな……こいつを拘束しろ!!」

「待て待て待て待て待て!!!」

 陽希は必死に手を振るが、マフィアたちは陽希にじりじりと迫ってくる。

「おいおいおい! なんかとんでもない展開になってきたぞ!!!」

 第72章 「ヘップバーンとMDの迷宮」 終

 その時——

「待って!」

 ヘップバーンが優雅に立ち上がり、マフィアたちの前に歩み出た。

「私は彼の話を信じるわ。彼はただ、音楽を伝えたかっただけなのよ。」

「オードリー様……。」

「それに、彼の歌は面白かったわ。」

「いや、それはもう黒歴史なんでやめてください!!!!」

 陽希は絶叫するが、ヘップバーンはにっこりと微笑んでいる。

「私、彼のMDを買うわ。」

「ええええええ!??」

 マフィアたちは目を丸くした。

「しかし、MDは再生できないのでは……?」

「それなら、彼に歌ってもらえばいいじゃない。」

「待てぇぇぇぇぇ!!! その発想はおかしいぃぃぃ!!!!!」

 陽希は絶望のあまり地面に崩れ落ちた。

 こうして、MDは正式にヘップバーンに売れたものの、陽希は今後、彼女の専属“人力MD”として定期的に歌わされる運命となるのだった——。




 陽希は頭を抱えながら、途方に暮れていた。

「どうしてこうなった……。」

 MDを売りに来たはずなのに、専属“人力MD”として契約させられそうになっている。

「陽希、大丈夫?」

 莉桜が心配そうに声をかけるが、陽希はぐったりと肩を落とした。

「俺はただ……MDを売りに来ただけなのに……!」

「でも、オードリーさんが買ってくれるって言ってるんだから、いいんじゃない?」

「違う!! 俺が売りたいのはMDそのものであって、俺自身じゃない!!!」

 陽希は拳を握りしめ、立ち上がった。

「こうなったら……MDプレイヤーを作るしかない!!!」

「ええっ!? いきなり!?」

「だって、そうしないと俺が永久にカラオケマシーンになる運命なんだぞ!? そんなの耐えられるか!!」

「でも、どうやってMDプレイヤーを作るの?」

 莉桜の問いに、陽希は腕を組んで考え込む。

「うーん……電気技術が必要だな……。」

「電気技術……まさか……!」

「そう!! テスラのところに行こう!!!」

「やっぱり!!!」

 こうして、陽希と莉桜はMDプレイヤー開発のため、再びニコラ・テスラの元へ向かうことになった。




 数時間後——

「また来たな。」

 テスラは腕を組みながら陽希を見下ろしていた。前回、電気ハーモニカで騒動を巻き起こしたばかりなのに、また戻ってきた彼らを見て、若干の警戒心があるようだ。

「はい!! 今回はですね、MDプレイヤーを作りたいんです!!」

「MD……?」

 テスラは不思議そうに眉をひそめた。

「要するに、音楽を再生する機械です!! でも、現代ではまだMDプレイヤーなんて存在しないので、作ってください!!」

「……。」

 テスラはしばし考え込んだ後、静かに言った。

「なぜ私がそんなものを作らねばならんのだ?」

「えええええ!??」

 陽希はショックを受けた。

「だ、だって、あなたなら作れるでしょ!? ほら、電気技術の天才だし!」

「たしかに私は天才だが……なぜ、未来の機械を作らねばならん?」

「えっ……だって……。」

「私は電気を研究しているのであって、音楽を楽しむために発明をしているわけではない。」

「そんなぁぁぁ!!! MDプレイヤーがなければ、俺がオードリー・ヘップバーン専属のカラオケマシーンになっちゃうんですよ!??」

「知らん。」

 テスラは一刀両断した。

「くそっ、こうなったら……!」

 陽希は懐からMDディスクを取り出し、必死にアピールを始めた。

「これがあれば、音楽を好きなときに聴けるんですよ!? 未来の人々はみんなこれを持ち歩いているんです!!」

「ほう……。」

 テスラの目が少し輝いた。

「未来では、こんな小さなディスクに音楽を保存できるのか?」

「そうです!! すごいでしょ!? だから、この技術を未来に先駆けて発明するんです!!」

「……ふむ。」

 テスラは考え込む。

「しかし、これを作るための技術がない。」

「そこをなんとかお願いします!!」

「では、条件がある。」

「なんですか!?」

 テスラは真剣な表情で陽希を見つめ、こう言った。

「私の新しい発明の実験台になれ。」

「えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」

「当然だろう? 君は未来の技術を求めているのだ。ならば、私の実験の成功にも協力すべきでは?」

「いやいやいや!! 俺、そんな危ない実験に協力できませんよ!!!」

「ならば、MDプレイヤーは作れんな。」

「くぅぅぅぅぅ!!! なんてこった……!!!」

 陽希は歯を食いしばった。

「……仕方ない!! どんな実験でもやってやる!!」

「陽希!? いいの!?」

「だって、ここで諦めたら、俺はずっと人力MDだぞ!? それよりはマシだ!!!」

「ふむ……では、実験を始める。」

 テスラは怪しげなスイッチを押した。

 次の瞬間——

 バチバチバチバチバチバチ!!!!!!

「ぎゃああああああ!!!!!」

 陽希の体に強烈な電流が流れた。

 第72章 「ヘップバーンとMDの迷宮」 終

 こうして陽希はテスラの実験台としてしばらく感電し続ける羽目になったが、最終的にテスラはなんとかMDプレイヤーの試作機を作り上げた。

「やった!!! ついにMDプレイヤーが完成したぞ!!!」

 陽希は感動のあまり泣きそうになった。

「しかし、これはまだ試作機だ。安全とは言えん。」

「……安全じゃない!?」

「スイッチを入れると、強烈な静電気が発生する可能性がある。」

「うわぁぁぁぁ!? それ、めちゃくちゃ危ないやつじゃん!!!」

「しかし、それでも聴きたいのだろう?」

「……くっ……そうだ……!! これをオードリー・ヘップバーンに届けなければ……!!!」

 陽希は決意を固め、MDプレイヤーを手にした。

 こうして、ついにMDプレイヤーが完成し、陽希は再びヘップバーンの元へと戻る。

 しかし、この後「MDプレイヤー爆発事件」が発生し、陽希は再びとんでもないトラブルに巻き込まれることになるのだった——。




 陽希はボロボロになりながら、ついにMDプレイヤーを手に入れた。テスラの怪しげな実験で感電し続けたものの、その努力は報われた……はずだった。

「莉桜……俺、やったよ……ついにMDプレイヤーを……!」

「うん、でも、なんか煙出てない?」

「え?」

 陽希はMDプレイヤーを見下ろした。

 バチッ……バチバチ……ジリジリ……

「……なんか、めちゃくちゃ火花散ってるんですけど!?」

「それ、大丈夫なの!?」

「大丈夫……なのか!?」

 テスラは腕を組みながら、冷静に告げた。

「問題はない。ただし、スイッチを入れると高確率で爆発する。」

「大問題だぁぁぁぁ!!!!!」

 陽希は全力でツッコんだ。

「なんで爆発するの!? これ、音楽プレイヤーでしょ!? なんで危険物になってるの!??」

「電力を効率よく供給するために、雷のエネルギーを凝縮したのだ。」

「ダメだよ!!! 音楽聴くために命懸けるやついないよ!!!」

 陽希は頭を抱えたが、テスラは一歩も譲らない。

「ならば君が試せ。」

「いやぁぁぁぁ!!!」

 陽希は全力で逃げたが、テスラはすかさずプレイヤーを陽希の手に押し込んだ。

「実験の成功を祈る。」

「呪いのアイテムじゃんこれ!!! ちょっと待って!!!」

 こうして、陽希と莉桜はテスラの爆発しそうなMDプレイヤーを抱えて、再びオードリー・ヘップバーンの元へと戻った。

「オードリーさん!! ついにMDプレイヤーが完成しました!!」

「まあ、本当に?」

 ヘップバーンは優雅に微笑みながら、陽希が差し出したプレイヤーを受け取った。

「すごいわ。これで本当に音楽が聴けるのね?」

「ええ……たぶん……。」

「……たぶん?」

 ヘップバーンの笑顔が一瞬止まった。

「いや、大丈夫ですよ!! ほら、こうやってMDを入れて、再生ボタンを押せば……!!」

 陽希は震える指でプレイヤーのスイッチを押した。

 カチッ

 ……

 ……

 バチバチバチバチバチィィィィン!!!!

「ぎゃああああああ!!!!!」

 プレイヤーが突然、小型雷のごとく火花を撒き散らしながら爆音を発した。

「な、何これ!? 音楽じゃなくて雷が鳴ってるんだけど!??」

「きゃああ!! これは音楽ではなく拷問よ!!!」

 ヘップバーンが悲鳴を上げ、カフェの客たちがパニックになって逃げ出した。

「やべぇ!! これ、想像以上にヤバいやつだ!!!」

 陽希は慌ててプレイヤーを止めようとしたが——

 ボンッ!!!!

「ぎゃああああ!!!!!」

 MDプレイヤーがついに爆発し、陽希は盛大に吹っ飛んだ。

「はぁ……はぁ……。」

 陽希はぼろ雑巾のように地面に転がった。

「おい……なんで俺、MDを売りに来ただけなのに、爆発に巻き込まれてんの……?」

「だ、大丈夫……?」

 莉桜が心配そうに駆け寄るが、陽希は微動だにできない。

「うぅぅ……オードリーさん……これは、その……事故です……。」

「まあ、あなたったら……こんな面白いことをしてくれるなんて。」

「え?」

 ヘップバーンはなぜか大爆笑していた。

「こんなに笑ったのは久しぶりよ。あなた、本当に愉快な人ね。」

「そ、そうですか……?」

「ええ、とても。」

 ヘップバーンは陽希に近づき、優雅に微笑んだ。

「だから……あなたのMD、買うわ。」

「えええええ!??」

 陽希と莉桜は同時に驚愕の声を上げた。

「いや、でも……プレイヤーは爆発しましたよ!?」

「いいのよ。音楽は聴けなかったけれど、あなたの歌で十分楽しめたし……何より、こんなに笑わせてくれたもの。」

「えぇぇぇぇ……。」

「これは、人生で一番ユニークな買い物だわ。」

 ヘップバーンは優雅に微笑みながら、陽希のMDを手に取った。

「だから、これは特別な記念品として、大切にするわね。」

「いや、それ……ただの使えないディスクですよ……?」

 陽希は呆然としながらも、ようやくMDが売れたことに気づき、ガックリと肩を落とした。

「……まぁ、売れたからいいか……。」

 こうして、MDは正式にヘップバーンに売れたが、後日彼女が「未来の音楽メディアを持っている」と報道され、オカルト雑誌の一面を飾ることになるのだった——。

 第72章 「ヘップバーンとMDの迷宮」 終


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