第64章 豊臣秀吉とビデオショップ
陽希と莉桜が降り立ったのは、16世紀の日本・大坂城だった。
天を突くような巨大な天守閣、城の周りには多くの武士たちが行き交い、活気あふれる城下町が広がっている。
「おおおおお!!! これが天下統一を成し遂げた男の城かぁぁぁ!!!」
陽希は興奮しながら城を見上げた。
「そして今回の相手は豊臣秀吉ですね」
莉桜が手元の記録を見ながら言う。
「えぇぇ!? あの戦国時代を終わらせた天下人の!??」
「はい。農民から成り上がり、知略と交渉術で天下を取った男。とにかくおしゃべり好きで、アイデアマンとしても有名な人物です。」
「ま、またしてもクセが強そうな相手だな……」
陽希はため息をつきながら、鞄の中を確認した。
「で、今回売るのは……ビデオショップ!?」
「……え?」
莉桜も目を丸くする。
「いやいやいや!!! なんで戦国時代に“ビデオショップ”を売るんだよ!!!」
「そもそもテレビも映画もない時代に、ビデオショップってどうやって成立するんですか!?」
「知らねぇぇぇぇぇ!!! 俺も分からん!!!」
陽希は頭を抱えながら、大坂城へと向かった――。
天下人への謁見、しかしまさかの……!?
大坂城の門の前に到着すると、武装した屈強な武士たちが陽希を睨みつけた。
「ここは豊臣秀吉公のお城。商人風情が何の用だ?」
(き、きたぁぁぁ!!! 戦国武士のプレッシャー!!!)
陽希は深呼吸し、堂々と名乗った。
「私は陽希!! 旅の商人です!! 秀吉公に、特別な商品をお届けに参りました!!」
武士たちは怪訝な顔をする。
「特別な商品だと? 何を売るつもりだ?」
陽希は胸を張って叫んだ。
「私が売るのは――ビデオショップです!!」
武士たち:「……?」
莉桜:「……?」
武士A:「び、びでおしょっぷ? それは何じゃ?」
武士B:「まさか……新手の城か!?!?」
(違うぅぅぅ!!! なんで戦国武士がそんな発想するんだよぉぉぉ!!!)
陽希は慌てて手を振った。
「ち、違います!!! これはですね、映像を貸し出す店のことです!!」
武士A:「映像? 何じゃそれは?」
(あっ……そもそも映像がまだ発明されてねぇぇぇ!!!)
莉桜が小声で囁く。
「陽希さん、これどう説明するんですか?」
(知るかぁぁぁ!!! でもここで引き下がったら商人失格だ!!!)
陽希は覚悟を決めて言った。
「ビデオショップとは、つまり……!! 物語や歴史を記録し、いつでも見返せる店のことです!!!」
武士たちは顔を見合わせる。
「歴史を記録するとな?」
「そ、それは……まさか……天下の記録を残せるということか?」
(おおお!? なんか意外と響いてる!?)
すると――
「ほぉ、それは面白いのう!!!」
城の奥から、陽気な声が響いた。
(き、きた!!! 天下人、豊臣秀吉!!!)
門が開かれ、そこに現れたのは――
派手な着物に身を包み、にこやかな笑みを浮かべた男。
豊臣秀吉――戦国時代を終結させた、天下統一の男。
「おぬし、面白いことを言うのう!! その“ビデオショップ”とやら、詳しく聞かせてみい!!」
(よっしゃぁぁぁ!!! 商談チャンス到来!!!)
しかし――
この後、陽希はとんでもないトラブルに巻き込まれることになる……!!!
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陽希は秀吉の前に進み出ると、緊張しながら深く一礼した。
目の前にいるのは、天下統一を果たした戦国時代屈指の策略家。
おまけにおしゃべり好きで、好奇心旺盛、なおかつ気分屋としても有名な男だ。
(こんな相手に、どうやってビデオショップを売ればいいんだ!?)
秀吉は陽希を値踏みするように眺めながら、ニヤリと笑った。
「で、おぬしが売るという“びでおしょっぷ”とやら……いったいどんな代物なんじゃ?」
(よし! ここが勝負どころだ!!)
陽希は胸を張り、大きく息を吸い込んだ。
「秀吉公!! これはただの店ではありません!!」
「これは――天下の記録を未来永劫に残し、誰もがそれを楽しめる画期的な仕組みなのです!!」
秀吉:「ほぉ?」
「戦の記録! 武将たちの英勇な姿! さらには、城下町の暮らしや芸能まで、すべてを映し、見たいときに何度でも見返せるのです!!!」
秀吉は目を輝かせた。
「な、何じゃと!? そ、それはまるで“幻灯”ではないか!!!」
(おおお!? “幻灯”ってことは、すでに似たようなものがあるのか!?)
陽希は勢いづいた。
「そうです!! まるで幻灯のように、過去の記録を映し出すことができるんです!!!」
秀吉:「それはすごいのう!!」
(よしよし、興味を持ってくれたぞ!!)
しかし――
秀吉はニヤリと笑い、指をパチンと鳴らした。
「では、その“びでおしょっぷ”の力、今すぐ見せてみよ!!!」
(……え!?)
陽希は目を丸くした。
「えっと……今すぐ、ですか?」
「そうじゃ!! 口先だけの商人なら、すぐに追い返すぞ!!!」
(や、やばい!!! そんなの無理に決まってるだろぉぉぉ!!!)
秀吉はニヤニヤしながら続けた。
「ええい、つべこべ言うな!! よいか、おぬしが“天下の記録”を映し出せると言うなら――」
「ワシの過去の戦を、その場で見せてみよ!!!」
(いやいやいや!!! そんなもん映せるわけねぇだろぉぉぉ!!!)
陽希は焦った。
(ど、どうする!? ここで「できません」と言ったら、商談終了だ!!)
(でも、本当に“映像”なんて無理だし……!!)
莉桜が小声で囁く。
「陽希さん……どうします?」
(ええい、ここはハッタリしかねぇ!!!)
陽希は深呼吸し、秀吉に向かって堂々と宣言した。
「……分かりました!!!」
秀吉:「おお!?」
「今からお見せしましょう!! “ビデオショップ”の力を!!!」
(……でも、どうやって見せるんだぁぁぁ!?)
まさかの“即興ビデオ上映”!?
陽希は冷や汗をかきながら、バッグの中を漁った。
(何か……何か映像の代わりになるものは……!!)
そのとき――
陽希の目に、一冊の巻物が映った。
(おっ……これだ!!!)
陽希はすぐに巻物を取り出し、適当な掛け軸に貼りつけた。
「よし!! では今から、秀吉公の偉業をここに映します!!!」
秀吉:「おお!! いったいどうやって!!?」
陽希は手に持った扇子を懐中電灯のように使いながら、巻物の文字を影絵のように壁に投影する。
「ここに映るは――“本能寺の変”!! 織田信長が明智光秀に討たれ、秀吉公が天下を取るまでの物語です!!!」
秀吉:「な、なんじゃと!!?」
周囲の武士たちが息を呑む中、陽希は即興で語り部モードに突入した。
「……光秀の謀反により、本能寺は火の海!!」
「信長が炎に包まれる中、秀吉公は急ぎ京へ向かい、山崎の戦いへ!!」
「見よ!! 天下を制する男の戦いが、ここに!!!」
秀吉は興奮しながら立ち上がった。
「おおおお!!! これはまるで、戦が目の前で再現されるようじゃ!!!」
武士たち:「す、すごい……!!!」「まるで過去を見ているようだ……!!」
(よしよし!! なんかそれっぽくなってきたぞ!!!)
莉桜も巻物を指でさしながら、ナレーション担当として加勢する。
「そして!! 秀吉公は見事光秀を討ち、天下統一への道を歩み始めるのです!!!」
秀吉:「おおおおおお!!!!」
(よっしゃぁぁぁ!!! 完全にハマってるぅぅぅ!!!)
秀吉は興奮冷めやらぬまま、陽希を睨みつけた。
「おぬし……これほどの“びでおしょっぷ”を持っているとは……!!」
「その仕組み、ワシに売れ!!!」
(きたぁぁぁぁ!!!)
陽希はガッツポーズをした。
「もちろんでございます!!」
こうして、陽希はまさかの“影絵を使ったビデオショップ”として秀吉に売ることに成功したのだった……!!!
(いやぁ……今回はマジで無茶振りだったな……!!!)
莉桜:「陽希さん、これ……本当に“ビデオショップ”として成立するんですか?」
「……多分、秀吉公の頭の中では、もう成立してるからいいんじゃね?」
(またしても、歴史に妙な影響を与えてしまったなぁぁぁ!!!)
こうして陽希は、またしても奇妙な取引を成立させながら、次の交渉へと向かうのだった――。
第64章 豊臣秀吉とビデオショップ 終




