やっぱり酒は災いの元 その2
勝負は観戦者の予想していなかった方向に進んだ
お互いの戦法を探るかのように1勝1敗となってから
老紳士が立て続けに3勝したのだった
クローディアの瞳が厳しい光を宿し始めた
イカサマを疑っていたのだった
老紳士は額の汗を拭い紙一重の勝利という雰囲気を出しながらも
どこか勝者の余裕を漂わせていた
カードは店の物
カードを配るのは店の常連客
逆にクローディアの方がイカサマを疑われても仕方のない状況、であるのにだ
勝敗が一方的になっていくこの状況にクローディアは珍しく苛立ちを見せていた
相変わらず老紳士の目線は仮面の影で読みきれなかった
それに
カードが配られる時には常に仮面の目の部分はクローディアに向けられてはいた
これがイカサマを隠しての行動か否か
その判断には難しい物があった
「私が特別に取り寄せた年代物のワインです
どうですか?
少し気分が変わっていいアイディアが浮かぶ
かもしれませよ」
強面の店主が持ってきてくれたワインはとうの昔にふたりで空にしていた
だけど
この程度の量ではクローディアは程よく酔う程度で思考を乱したりする事は
今までに一度もない
はずだった
老紳士は持ち込んだワインを
自分の
クローディアのグラスに注いでいく
クローディアは何かを察してキッとワインのボトルの方を見つめ
自分にと注がれたグラスには全く触れようとしなかった
「そんな目で見なくても
毒なんて入っていませんよ」
クイ、と軽く口に含む様をクローディアは口元に手を置いてじっと見つめていた
「さてさて
このまま一方的、というのも面白みに欠けるというもの」
そう言うと老紳士が一枚の羊用紙を懐から取り出した
「魔道契約書」
それを見てクローディアは小さく呟いた
敗者を賭けの支払いから逃さない為、簡易の魔法契約を用いて支払いを強制させる為の契約書だった
もし敗者が逃げるような事があれば
『契約の守護者』が現れて、敗者にどんな手段を用いても、地の果てまで逃げようとしても支払いをさせる、そういった物だった
その契約書の内容によっては
敗者に死を与える
という危険な勝負を行う事も可能であった
「いかがですかな?」
老紳士はヒラヒラと契約書をクローディアに見せると店主に書く物を借りようとした
「何が目的?」
「ただただいつも同じようにお金を賭ける勝負には少々飽きてしまっただけのこと
ですよ
人生は楽しまないと」




