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第6話:彩り還る海音

http://x44.peps.jp/shifia

サイト開いてます。

ぜひみてください

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

…だれって?

そんなのきまってるよ。

わたしはあなた。

そしてあなたもわたし。

いつまでも

いっしよだからね。

………おねえちゃん。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Ι

Ι

《彩り還る海音》

Ι

Ι

縦横無尽に広がる通路を

片っ端から確認する。


効率よく探すなんて

俺1人では無理だ。

だから‥‥


つんつん。


後ろから肩をつつかれる

振り返ると知美がいた。


漉音:

「(知美!

お前は渚と一緒にいろ

って言ったろ?)」


知美:

「(漉君だけじゃ

大変そうだったから…

大丈夫。

渚ちゃんには

薗ちゃんがいるから)」


双方言葉にはできないが

相手が何を

言いたいのかが

何故か読み取れた感じだ

こんなのをたしか‥


知美:

「(以心伝心だよ)」


そうそうそれそれ…

って!

知美にまで

心を読まれた!?

というか

俺も読み取れた!?


知美:

「(…遊んでないで

早く探さなくても

いいの?)」


すっかり忘れてた。


漉音:

「(じゃあ知美。

俺は右に行くから

お前は‥‥)」


目の前に何かある。

動きが止まる。


知美:

「(?

どうしたの漉…君?)」

目の前に何かあった。

知美も動きが止まる。


2人は同じものを見て

同じように止まっていた

Ι

Ι

神崎:「…遅いですね」


彼らが

出発してから早10分。

渚さんのボンベは

ほとんど底をつき、

私のボンベを共用して

使っていますが、

このままでは私の分も‥


酸欠で意識が朦朧と

しかかっていたその時、

遠くから光が見えた。

しかも点滅している。


神崎:

「(…やっとですか)」

Ι

Ι

神崎:「……」


神崎がひとり立ち尽くす

その目線の先には彩音が


漉音:

「助かった彩音。

あそこで手を伸ばして

くれなかったら、

俺たち死んでたかも

しれない‥」


その言葉に続いて

知美も感想を述べる。


知美:

「でもいきなり

黒いゴム手袋

みたいなのが現れたから

ちょっと

驚いちゃったよ‥」


彩音:「酷っ!!

人がせっかく

助けてあげたのに、

その手を

ゴム手袋って!?」


神崎:「……彩音」


彩音はこの時

感じたのだろう。

後ろからくる

黒いオーラ。

満ち溢れる殺気。

なんか今までに

感じたことのないような

鋭く尖った視線…

水で濡れてて

分からないはずなのに、

彩音の首筋から冷や汗が

垂れているように見える


彩音:「お、お姉ちゃ‥」


パシッ!


振り向いた途端、

神崎のビンタが

彩音の頬を赤くする。


彩音:「痛っ……

な、なにすんのよ

お姉ちゃん!!」


神崎:

「彩音…あなたが

私たちにどれだけ

心配かけたか

わかってますか?」


彩音:「ぅ‥」


神崎:

「彩音を、もし、

失うようなことが…

あれば‥」


言葉が

途切れ途切れになる。

その頬を伝うは

いくつもの軌跡。


彩音:「お姉ちゃん、

ごめんなさい‥」


知美:「……」


神崎:「……許しません」


渚:「……」


彩音:

「…ごめんなさい!」


神崎:「……許しません」


漉音:「……」


彩音:「………」


神崎:

「…ただ、

許してもらいたいなら、

これからは、私から

離れないでくださいね」


彩音:

「…っ、え?

その、それはつまり‥」


神崎:

「…一緒にいようね、

彩音。

私たちは換えることの

できないたったひとつの

姉妹なんですから」


彩音の頬にも

神崎のような

軌跡が伝わる。


彩音:「…うん。

……ごめんなさい」


神崎:

「…はい、許します」

Ι

Ι

船乗り:

「小僧!

なかなか見所のある

腰構えじゃねえか」


古今:

「えへ。そうですか〜

いやー、たまたまですよ

た・ま・た・ま!」


古今は船乗りの褒め言葉にまんまとのせられ

浮かれていく。


漉音たちが

ダイバー体験を

している間

古今は、

《挑戦!!

君も大海原へ行こう!》

に参加していた。


船乗り:

「…小僧!

何か網に引っかかってる

みてえだぞ」


古今:「え?

あ、ホントだ。

よぉーし!!男古今朱雀!

由来たちに目にもの

入れてやるぅー!!」


船乗り:

「入れたら

殺人事件だぞ小僧‥」


古今:「うおおおっ!!

す、すごい重さだ。

今までにないくらい‥」


船乗り:

「(そんなすげえの

この海にいたっけ?)」


古今:

「もう少しぃ…

もう少しぃぃ………

うおりゃあーー!!」


古今が網で

引き揚げたのは

体長1mは軽く超す‥


漉音:「よっ、久しぶり」


釣れたのは魚…

じゃなくて友人。


船乗り&古今:

「んな……

(口を

あんぐりと開ける)」


感覚的にはこうだろう。

ラブレターを好きな子の

靴箱に入れ、意気揚々と

していると、目の前に

現れたのはよく遊ぶ友人

そう、入れる箱を

間違えたのだ!

だがそこで話が

終わればよかった。

実はその友人は

ホモやらゲイやらで、

「ありがとな、○○。

俺もお前を大切にする」

とか堂々と集団の中で

宣言されるようなものだ


渚:

「…ふー。

あれ、何で古今君が?」


古今:「渚ちゃんが

海から現れるなんて……

これはまさに女神と

グヘフルハァーー!!」


古今が船から

落とされる。神崎に。


神崎:

「ふざけている

場合じゃないんです。

彩音!?…彩音!?

目を…開けて‥」


そう、彩音は突如意識を

海底で失っていた。

Ι

Ι

船が180度

回転して岸を目指す。

エンジンは全開。

船乗りも必死だった。

俺も…神崎も‥‥


神崎:

「彩音!

ま、またこんな心配を

か、かけさせて…

許しません…よ‥」


神崎の声が震えていた。


13年前の悲劇。

それは神崎からすべてを

奪った…はずだった。

その後2人は思わぬ形で

再会し、今日まで

楽しく暮らしてきた。

《唯一の家族》

でもそれがまた、

引き離されようと

していた。


ブルル……ガクン!


船乗り:

「岸についたぞ!

小僧たち早く嬢ちゃんを

湾岸病院に連れてけ」


漉音:

「ああ!

…神崎、少しの間

手を離してくれ」


神崎:

「…私も、行きます」


漉音:

「ん…なら早く行くぞ」

Ι

Ι

病院


彩音は緊急治療室に

入れられ、呼吸も

おぼつかない状況だった


日は暮れ、渚や知美は

遅くなるといけないから

先に帰らせた。

古今はひとまず

ジュースの買い出しで。


俺は神崎とつきっきりで

彩音の寝顔を見ていた。

でもそれがいつか

遠い記憶のように‥‥


看護師:

「…え、先生!

患者さんが!!」


ドクター:

「どうしたんだ!」


看護師:

「…い、いないんです」


神崎:「……は!」


その言葉に反応してか

隣で寝ていた神崎が

突然目を覚ます。


神崎:「あ、彩音‥‥」


漉音:

「ん、ん……

っておい、どこに!」


神崎:「海岸です」


漉音:

「その根拠のない自信は

どっからくんだよ?」


神崎:

「たったひとりの

妹の姉ですから。

お見通しなんです」

Ι

Ι

「はっ、はっ、はっ…」


海岸までは走って2分。

俺は神崎の海岸という

ヒントしか知らない。

しかし神崎は正確に

浜辺を走っていた。


そこに、

大きな光が眼に映る。

灯台だった。

しかもそこに映った影は

紛れもなく

彩音のものだった。


でも薄い。薄すぎる。

その影は光に

照らされながらも、

黒くなく、

光に侵されている。


漉音:「あ、彩音っ!」


俺の言葉では

振り向いては

くれなかった。


神崎:

「…彩音!」


はじめは

振り向く素振りも

見せなかったが、

少しだけ振り向いた

ようだった。


彩音:「……いご」


波の音でうまく

聞き取れなかった。


神崎:「……」


彩音:

「……これで、最期…

ここは、空海…

私の…からだ」


な、何を言っているんだ


漉音:

「…い、意味が

わかんねえよ。

ここが、何なんだ?」


神崎:

「空海……

13年前の…悲劇です」


間髪入れず答える。

しかしその表情は暗く、

答えたあとは無言と

なってしまった。


漉音:

「彩音…

お前は何をする気だ」


彩音:「簡単な話だよ。

元の場所にもどる」


神崎:

「っ!

だ、駄目です。

逝かせません」


漉音:

「逝く…ってまさか!!」


彩音:

「はは…違う違う。

海なんかには帰らない」


お前は笑って言うけど

問題は深刻なんだぞ‥


彩音:

「私がもどるのは…」


ゆっくりと

神崎の方に歩き出す。

そして指差したのは…


神崎:「私の…影?」


彩音はこくりと頷き、


彩音:

「だってさ、海なんて

ただ寒いし暗いし、

いやだな〜って思って。

なら、由来君や

渚ちゃん、お姉ちゃん

とかと一緒にいた方が

楽しいかな〜って」


漉音:

「…待て彩音。

そもそも何でお前が

神崎のところへ

戻んねえと駄目なんだ?

別に今のままでだっ‥」


彩音の顔が突然沈む。

しかし直ぐに立ち直って


彩音:

「ごめん。

私もう、2回ね、

死んじゃったんだよ」


神崎:「…死んだ‥」


彩音:

「そう死んだ。

1回目は飛行機事故で。

2回目はさっき、

酸素が尽きちゃって」


漉音:

「な……

くっ、何で酸素が

ないってことを

俺に言わなかった!」


彩音:

「だってそしたら

由来君が傷つくんだよ!?

そんなの‥」


漉音:

「それがどうした!!」


彩音の体がビクッと

震える。


漉音:

「俺が傷つくくらい、

お前が死ぬより

全然ましなんだよ!!

死んだら…

元も子もねえんだよ!!」


彩音:「ぅ‥ご、ごめん」


……

しばらくの沈黙。


それを破ったのは

彩音だった。


彩音:「お、お姉ちゃん…

私は何で今の今まで

生きてこれたと思う?」


神崎:「それは‥‥」


神崎でも答えは

わからないようだ。


答えられないとわかると

彩音は少し微笑み、


彩音:

「お姉ちゃんに会いたい

お姉ちゃんと

一緒にいたいと

思ったからだよ」


神崎:「……」


彩音:

「だから……

《さよなら、

薗お姉ちゃん》」


神崎:「っ……」


現実じゃありえない。

彩音の、体が薄く…

そして神崎の影が濃く…


神崎:「……っは」


大きく小刻みに

深呼吸をする神崎。

もしかしたら今目の前で

起こったことを

見ていないかもしれない


神崎:

「………由来さん…

……彩音は?」


漉音:「っ!‥‥」


何て答えりゃいいんだ‥


神崎:「…ですよね。

言えませんよね。

頭の中では

わかっているんですよ、

本当は」


漉音:「神崎‥」


さっきまで

ここにいたのは3人。

でも今は2人だけだ。


神崎:

「…彩音。

また皆さんと

お話したかったら

出てきていいんですよ‥」

《空海。

それは海に沈んだ魂が

集まる場所。

肉体がない、それ故に

こう命名された。

13年前に起きた

飛行機事故で、最後に

発見された少女は、

意識はあったがのちに

植物状態となり、

その肉体は事故から

13年後に火葬された》

ミーンミンミンミーン‥


漉音:「……暑いなぁ」


漉音は誰かの仏壇の前で

話しかけるように、

そう呟いた………


彩音ね。

何でこんな話に

なってしまったのか…


まあ、いつか由来たちも

悲しい別れが訪れるの

でしょうね。


本当に、身近なところで

次は《彼》がついに

戻ってきます。

ついでに海から

《付属物》も。


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