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4話


-新陸地・上陸点-


 海上自衛隊の「おおすみ」から荷物を満載したLCACとCH―47Jが、往復して資材を運んでいる。第一次調査隊の主な任務は拠点作りと周辺の地形調査だ。


 もちろんここは異世界なので、地球では考えられないような生物がいる可能性がある。という判断から、堅固な陣地が築かれつつあった。


「ではこれより、周辺警戒にあたる。何がいるかわからん、全員気を引き締めろ!」


『はッ!』


 上陸して数日がたつものの、まだ拠点周辺以外の探索は完了していない。森が深すぎるのだ。下草や蔓が生い茂り、苔が倒木を覆っている。屋久島並みの原生林だ。


「それにしても凄い森ですね、隊長」

「ん?ああ、視界も利かないし足場は悪いからやりにくいな」


 普通科で構成されている周辺警戒の班は1班につき1個分隊。それも徒歩である。大勢で行動するには森が深く、自動車すら通れないレベルだ。


「そもそも、なぜ気温は28度位なのに熱帯みたいになってるんでしょうかね。雨もそんなに降らないですし」

「さあな。なにせ異世界だからな。植生が全く違ってもおかしくはな···」

「隊長!前方になにかいます!大きいです」


 すぐに歩みを止め、前方を見る。30mくらいのところにいたのは、大型の蜥蜴のような生物である。

 

 ちなみに地球にいる最大の爬虫類は、イリエワニである。全長は最大7mにも及び、体重はなんと2トン。人を食べることもある狂暴な爬虫類だ。


「気をつけろ!音をたてるな。ひとまずあいつを観察してから、駆除か放置か決める」


 小声で隊長が言う。


「あれ···なんですかね。あんなでっかい蜥蜴なんて地球にはいませんでしたし」

「というより恐竜でしょ、あの大きさは」

「寝てるんですかね?全然動かないですけど」

「あれが何かは知らんが、ひとまず拠点に連絡頼むぞ」

「わかりました。連絡しておきます」




 2時間後。


「動かないな···」

「動かないですね···」


 一部の隊員はいったん拠点へ戻り、機材を取りに帰っている。いつまでたっても蜥蜴のようなものが動かないからだ。

 周辺の警戒は別の班が引き継いでいる。


「定点カメラ持ってきました。3ヶ所くらい設置します」

「あぁ、そのくらいでいいだろう。よろしく頼む」

「では」


 2人の隊員が設置に作業にまわる。1個分隊のうち6人が3人1組になって蜥蜴モドキを観察している。


「大分暗くなってきたな。今何時だ?」

「5時半くらいです」

「じゃあカメラの設置が終わったら拠点に戻ろう」

「「了解」」




―――――――――――――――――――――――――――――――


「よし!今夜はここらで夜営する」

「「はっ!」」


兵士たちが天幕をたてる。その様子を見ている若い男に、ひとりの老兵が声をかける。


「レトール様、明日の行軍についてですが」

「ん?ああ、わかった。この先は確か毒の底無し沼があったな。それは回避する」

「それならこちらの道がよろしいでしょうな。こちらならある程度森がひらけております」


 小さな地図を指差しつつ、提案する。


「うーん、こちらからの方が近くないか?」

「そちらは地竜の縄張りに近くなりますからね。万が一を考えると、わざわざそちらにいく理由はないと思いますぞ」

「フム、そんなものか?」

「はい。そんなものです」





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