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1話

その日、地球が揺れた。


-アメリカ・ホワイトハウス-


「大統領、国防総省ペンタゴンからの緊急電です」

「緊急電?どこかの国が攻めてきたのかね?」


 ハハ、と笑う大統領。しかし補佐官の顔は明るくない。むしろ暗いくらいだった。


「日本と韓国が消えました。正確には、日本のあったところが何度かかじられた感じでなくなっています。韓国はそれに巻き込まれたのかと」


 時が止まった。いつもなら機敏に答えを返す大統領だったが、今回は呆けていた。

 

「冗談はやめたまえ。国が消えるなんてこと、あるわけ無いだろう?一時的な電波障害とかだろう。第7艦隊は?」

「ホットラインも通常回線も、メールも通じません。日本の大使館ももぬけの殻です。日本人と韓国人が消えています。第7艦隊は幸いにもほとんどがインド洋にいたので、安全が確認できました。」


大統領はまだ信じられなかった。


-中国・中南海-


「そうか、日本と韓国が消えた・・・か」


中国国家主席はニヤリと笑い、深く椅子に腰かけた。


「主席、これで目の上のたんこぶが消えましたな」


 全人代委員長が話を振ってくる。確かに、我が国はこれで太平洋へと進出することができる。出来るのだが、一つ問題が生じる。


「いや、確かに進出することができるようにはなったものの、日本人まで消えたのです。つまり日本の製品が手に入れられなくなります、これはゆゆしき事態と考えます」


あれは・・・国務院総理か、さすがだな。


 そう、日本の製品が手に入れられなくなるのだ。私は日本を甘く考えてはいない。確かに我が国は日本に製造分野でほぼ追いついたと自負している。


 しかしどうしても出来ないことはある。本当に精密さが要求されるものの製造技術はまだ届いていないだろう。これは大変なことになるぞ・・・。


 まあ、韓国についてはあまり影響は無いだろう。まずは日本の抜けた穴を埋めなければ。これを乗りきれば我が国はアメリカをも越える超大国になるだろう。


-EU・欧州議会-


「という状況であり、製造業の分野は日本製品が手にいれないので非常に不味いことになっています」


 各国代表が騒ぎだす。当然だ。今の世界には精密加工品で日本以上のものをつくる国は非常に少ない。人的資源もいなくなってしまっている。これからはそれが全く手に入らなくなるのだ。飛行機の部品は日本製の部品が複数ある。大打撃といっても過言では無いのだ・・・。


「とりあえず、加盟国間で日本の作っていた部品などを研究する必要がありますな」



各国が、日本の抜けた穴をめぐって、争いを始めるのは、そう遠い未来ではなかった。


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