表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/134

第90話 キャットファイト 下

 そしてレオとレンはキャット達の愛(物理)に縛られて観戦させられていた。

 まあ、2人共本気を出せばこんな縄ごとき斬れるのだが、逃げ出したことによりキャットが怒り出すことが怖いので大人しく従っている。


「さっさと死んでください、駄女神」

 カキーン

「神はあなたみたいなガキには負けないんですよ」

 キィン


 レン達を縛ったキャット達は自慢の爪《剣》で斬りあっていた。

 そしてそのキャットファイトが突然終わった。

 2人が満足した顔でレンたちのもとへ帰っていく。

 どうやら敵を倒す、から敵と楽しく戦うにいつの間にか目的がすり変わっていたみたいだ。

 馬鹿みたい。


「ふぅ、楽しい喧嘩は終わったので帰りましょうか」

「うん、それよりこれを解いてくれるかな。あと見ている側の俺らはただただ怖かったぞ」


 マインが小首を傾げる。


「どうしてですか? 可愛い女の子達が戦ってたんですよ。見惚れてもいいのではないですか?」


 可愛い? 全然無いな。むしろ恐怖を感じたよ。

 っと返せない、勇者のくせに勇気が無いレンはただただ微笑んでいた。


「あ、そう言えばレオって随分と強いんだよな」

「まあ、私も神の1人ではあるからな」

「なら何か見せてくれない? こうシュバババッ、みたいなかっこいいの」


 ふむと唸りサーリアの方をトントンと叩く。


「少し魔獣を出してくれないか?」

「これでいいですか?」


 サーリアが収納から魔獣を出す。


「あ、アオイと戦っていた変なのか」


 だから魔獣だって言ってんだろ!


「グアグアグアアアア」


 すごい吠えながら魔獣たちが崖下へと走っていく。

 取り残されたレオたちはポカーンとしているが真っ先に動き始めたのはレンとマインだ。

 2人は仲良く崖に近づいていく。


「うわーすごい砂埃ですね」

「いや、何かチラチラ見てるけど具体的に何をしろと?」


 砂埃が舞っている中で彼氏として何をしたら正解なのかわからないレンはただ砂埃を払う事しか出来ない。


 そして2人が崖下を覗き込むと20メートルくらい下の平らなところでサリアが魔獣に襲われていた。

 いや、正確には顔をぺろぺろ舐められたり乗っかかられたりと戯れられていた。


「何これ?」

「ああそう言えば昔からサリアは魔獣に好かれる体質でしたね」

「そうか、一様あいつも魔の神なんだっけか」


 意外なイベントでサリアの秘密が一つ暴かれた。

 そして失礼なレンの言葉を聞いてサリアが

 一様ってなんだよ、一様って!

 っと怒ろうとしたのだが魔獣たちがそれを邪魔する。

 どんなことをしても「面白い」の一言で片付けられるサリアが珍しくキレる。


「だあーもう、面倒臭い」

「クウン?」

「お前ら全員、2手で地獄に送ってやるよ!」

「おお」


 これは魔法の神の本気を見れるかも。

 とレンは思うのだがレオは

「あ、」

 って言ってたしサーリアはサーリアで

「またあれですか」

 とか言っていたのだが興奮しているレンには届かない。


 そしてサリアが魔獣を地獄に送る儀式を始める。


「まずは地獄の門を開き魔獣共をヘルのところに送る!」


 サリアが右手をサッと上から下へと振ると突然現れた魔法陣が手の動きに合わせて上から下へと動く。

 その魔法陣が通ったあとには門が現れている。

 その門は高さが3メートルくらいで扉には恐怖や苦悩に歪む人間の顔が沢山彫られており、また門の上には数匹の悪魔が楽しそうに踊りながら踏んでいる人間をトライデントで刺している。そして全体的にくすんだ黒色で見るものに恐怖を与える威圧感を放っている。

 その門がゴゴゴゴと開いていき中から黒い影のような手が数百本ほど伸び、魔獣たちを門の中へと連れ去っていき全ての魔獣を捕らえると門が閉じる。

 この間たった3秒である。


「そしてこれを逆から読む!」


 そう言ってサリアが取り出したのは仏教の念仏が書かれた本である。

 それを逆から開き、声に出して呼んでいく。

 これを3分で息継ぎなしでやり終えた。


「ど、どうだ。これならあいつらも、地獄に、行くだろうね」

「なんで神様が息切れしてんだよ」

「神だって息切れしたくなる時があるんだよ」


 レンが横のお二人(サーリアとレオ)を見るがふるふると横に首を振る。

 どうやら一部の神だけみたいだな。


「それであれはなんなんだよ」

「ああこの本のこと?」


 サリアが持っていた本を掲げる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ