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第81話 百物語

「さあ、というわけで怪談話をしよう」


 突然レンがトランプを明後日の方向にぶん投げながら提案した。


「何で今なんですか…」


 レンが投げたトランプを超音速で飛んで取ってきたアオイがレンに聞いた。


「え? だって今夏じゃん。夏と言えば怪談、海、BBQだろ? BBQはやったし、海はここにはないし、怪談しかやることないじゃん」

「他にもやることはあると思いますよ」

「そうですよ。それにBBQを私達はやってません…」


 それにですねっと前置きしてアオイがレンに聞く。


「私達が転移したのは3月ですよ。1ヶ月経った今でも4月、思いっきり春ですよ」


 しかしアオイは気付いていない。たしかに転移したのは日本の春だが異世界まで春ではないということに。そう


「あ、あの世界では今夏だよ」


 フレード王国は夏である。


「というわけでやらない理由がない事がわかったので怪談をしようと思うのだが」


 レンがさっきまでマインがいたはずの隣の席を見る。


「マインはどこに行ったんだ?」

「マインなら以前幽霊を見たことがトラウマになっているみたいで下界に戻ったよ」

「マインに怖いものがあるなんて意外ですね」


 マインを下界に戻したサリアが答え、サーリアが素直な感想を漏らす。その感想を聞いてふむと一言唸る。


「今更ながらマインって10歳の子供なんだよな。幽霊を見たことがあるなら怖くなるのが普通じゃないのか?」


 レンの言葉を聞いた3人が同時に思う、「お前も子供だろう」っと。まあ、アオイは14256歳なので大人なのだ。


 さて蝋燭を100本ほど用意して百物語を始めることにした。


「じゃあまず1番は私ですね 」

「どうぞ」

「えっと、ついさっきトランプをしていたじゃないですか」

「その時に少し抜けた時があるのですがその時の話なのです」

「私はその時ふらりと部屋の中に入りました。そこで少し水を飲んでいたのですが後ろから突然話しかけられました」


 そこでサリアが少し顔を俯かせる。


「随分と楽しいことをしていたようだねって」

「「ギャァー」」

「え? 何? どうしてそんなに怯える必要があるんだ?」


 アオイとサリアが怯えたような目でレンを見る。


「あの口調ってことは主神ですよ。主神がこんなところまでわざわざ訪ねてきたんですよ…」

「こんな辺境の地まで来るぐらいのことを私達が仕出かしたってことだよ!」


 そんな小学生が先生を恐るみたいなノリで言われてもなー。というかアオイはこちら側(人間側)だよな? なんで主神を知っているんだよ。


「それでどうなんったんだよ」

「それでですね。『まあまあ、面白い戦いだったよ。これからも頑張りたまえ』とか言って消えたんですよ。それでクレナイさんの関係者を強化したらしいのですが何か変わったことはありますか?」


 ふむ、変わったことなー

 っとレンが考え込んでいるが気付いてないのかな?


 ボクが意志を持っていることに!!


 まあ、最初から状況説明しかしてこなかったから印象が薄いのも分からないでもない。でも気付いてくれないのも悲しいものなんだよ? ちゃんとリーフィンって名前があるのに!

 と、ボクの自己主張は置いといて、レンがボク以外の変わったことを思い付く。


「そういえばついさっきまではすごく殺したかったはずのサーリアと今は普通に会話出来るな」


 その答えを聞いてサリアさんがドヤ顔でネタバレする。


「それは主神様とは関係ないよ。私がクレナイさんの感情を憎しみの方向に変えた反動で憎しみと真逆の方向にいっちゃってるだけだよ」

「なんだそういう事だったのか」


 ははははは、とサリアとレンが大笑いする。いや笑い事で済ませられることじゃないと思うのだけど。


「よし、それじゃあ次は私の番だね」


 サーリアの分の蝋燭を消したサリアがそう切り出した。


「昔、私がテラスでティータイムを楽しんでいたんだ。すると私の古い知人がよろよろと歩いているのを発見してね、声をかけたんだ。するとその知人はこちらによってきてこういったんだ」


「化け物を見たってね」


「その知人が言うには歩いていたら女性にであったから声をかけたんだと、そしたらその女性が振り返って一言死ねと言って剣を振り回してきたそうなんだ」


 サリアの声が段々と低くなる。


「そしてその知人は私の前でバラバラになって消えてしまったんだ。ほかの神に聞いたところその化け物は今でも剣を振り回しているらしい…」


 サリアの話が終わったがさっきのサーリアと違い、本当の怖い話だったせいか3人が無言で固まる。


「というかその知人ってもしかして幽霊ですか?」

「うん?そうだよ」

「それなら私かも知れませんねその化け物」


 まあ、こいつらがただ固まるわけがなくサーリアが突然のカミングアウトを始めた。


「いや、前に剣を研いでいたら突然後ろから目玉が飛び出し体の所々が崩れた幽霊がいたんですよ。あまりの驚きに『死んでください』と一言いって切り刻んで、すぐに掻き消えたので問題ないと思ったのですがサリアの友達だったのですね」



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