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第76話 魔神の話とアオイの過去

 レンがいた場所には直径5メートルほどの大穴が空いており、深さはゆうに50メートルを超えていて、そこが全く見えない。


「やはり人が死ぬ時は平等に呆気ないですね。さっきまで楽しく、強く、戦っていたクレナイさんも死ぬ時は呆気なかった。しかしやはり不思議ですねあれだけ抗っていたクレナイさんがそう簡単に死ぬでしょうか?

 いやさすがのクレナイさんでもこれを受けて生きていられるわけがないでしょう」


 女神が光の玉を穴の中に落として覗き込む。


「どうやら本当に死んでいるみたいですね。さてそろそろ刀が落ちてくる頃ですかね?刀を刺せるようにこの穴を埋めておきましょうか」


 そして穴に近づいた女神の首のすぐ左から左腰のあたりまでがスパッと斬れ、いくつかの臓器と共に地面に落ちる。切れ口からは肋骨やや心臓、金色の玉が見えるが、女神の心臓は石のように固まっていて脈動していない。

 自分が切られたことに気付き、後ろを振り返った女神が歓喜の声を上げる。


「まさか蹴りあげた手首から再生したのですか?さっき四肢を切り落とした時は再生しなかったのに。しかし本当に不死身なのですか?少し前に妹と一緒に会った時はそこまで回復することは出来なかったと思うのですが?」

「不死身になったんだよ。お前に四肢を切り落とされた時にスキルを手に入れたおかげでな」

「なるほど、超回復を使い続けた結果、再生を通り越して不死身になったのですか」


 女神が長剣を持ったまま拍手をレンに送る。


「さすがです。さすがですよクレナイさん、まさかここまで楽しませてくれるとは。やはり人は面白い。ここまで強くなることが出来るのだから」

「お前ってそんなに沢山話していたか?」

「ん? ああ、そう言えばまだ話していませんでしたね」


 女神が空を見上げる。


「私は基本的にこの口調なんですよ。ただ昔から妹の前ではあのぶっきらぼうな口調になるんですけどね」

「何で妹の前ではぶっきらぼうな口調になるんだ? 」

「あの妹は他人を観察するのが趣味で下手なことを言うと面倒くさいことになるので大変なんですよ」

「そんな奴のところにアオイは飛ばされたのか、早めにお前を殺してアオイに合流した方が良さそうだな」

「そうですね、殺し合いの続きをしましょうか」


 女神がレンとの会話の間に溜めていた剣の力を発動し、再度レンを消そうとする。天から降り注ぐ光の柱、それをレンはアカギで斬り裂く。

 女神は未だに光を灯している剣をレンの心臓めがけて突き出す。


 しかし、一閃


 レンが光の柱を切り捨て、女神の持っている長剣を両断する。


 破壊不能な剣を斬る事は普通は出来ない、破壊不能というのは物体の原子と原子の結び付きをとてつもなく強くするスキルだ。そのためたとえどんなことをしようとも絶対にこの結び付きを断つ事は出来ない。

 しかし原子の結び付きを断たずに斬ることは出来る。原子自体を斬ればいいのだ。

 実際にレンは女神の剣の原子を切った。

 その結果、原子の結び付きを自体はそのままに2つに斬り分けることが出来た。


 そしてレンはそのまま女神の切り口から覗いている、心臓と金色の玉を切り出した。



「さて、どう考えてもこの2つのどちらかが核なんだろうな。まあ、どちらでもいいか。両方取り出したから既に女神は死んでいる。これでこの戦いも終わり、あとはこの国を乗っ取ってこの世界を牛耳ったら終わりだな」


 レンが女神の心臓を右手に、金色の玉を左手に持ちながらそう独り言を漏らした。


 ───────────────────────


「アオイ、もう離してくれていい。マインと一緒に離れていてくれ」

「わかりまし──」


「た…?」


 さっきまでレンと共に王城の上を飛んでいたアオイは突然変わった景色に驚いた。

 周りを見渡すと大小合わせて2つのソファと、大きめのテーブル、毛が長い絨毯、だけのシンプルな、それでいて全ての家具が黒い、そんな黒い部屋にアオイはいた。


「あなたは誰ですか…」


 その部屋にはマインと1人の女性がいた。

 女性は腰まであるロングストレートの黒髪を1つにまとめ、黒を基調としたドレスを身にまとい、小さいソファに座っていた。


「私? 私はマジン、マインとは違う神様の方の魔神だよ」

「どうして魔神が私やアオイの前に姿を見せるのですか?」


 ナイフを魔神に向け、警戒しているマインが魔神に聞く。


「アオイさんに聞きたいことがあってね」

「私にですか…」

「そう、君に聞きたいことがあるんだ。とりあえず立ち話もなんだからそのソファに座ってくれないか? 」


 魔神が大きい方のソファを手で示してアオイ達に座るように言う。アオイは少しだけ警戒しながら座るがマインはアオイの後ろに立ったまま座らない。

 それを見て魔神が苦笑する。


「さすがに警戒されるね。クレナイさんは何も考えずに会話してくれたのに」

「それで聞きたいことは何ですか…」

「奴隷と猫が屋敷に来た日にあなた達2人が話していた会話、あの時何を話していたか覚えているかい?」


 魔神が言っているのはミイとハクをマインが拾った後、レンがいなかった時の会話だ。

 魔神の問に対し、アオイは無言を貫く。そのまま話す気がないのをマインは感じ取り、その時に話した内容を要約し、魔神に話す。


「あの時はアオイの昔話を話していましたね。それでそれがどうしたんですか?」


 2人の対応を見て、答えを聞いた魔神が虚空から水晶玉を出してアオイに投げる。


「アオイさんは参加したくないみたいでだね。一様それで姉様とクレナイさんの戦いが見れるはずだからそれで暇を潰して置いてくれ」


 そしてようやくソファに座る気になったマインに向かって話しかける。


「さて、その時にあなたはこう言いった、『元からレン様のことが好きでレン様に近づくためにわざと虐められてそれをレン様が見つけるように仕向けたんじゃないですか?』って。そしてその時にアオイは細かいところは違うと言った。果たしてどこが違うのかあなたは知っているかい?」

「知りませんよ、アオイは訂正しませんでしたし、それほど重要でも無いでしょうし」


 その答えを聞いて魔神が嬉しそうに話を進める。



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