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第61話 革トカゲ

 アオイの見ている石を鑑定してみた。


 名称|エメラ山の苔付きの石

 エメラ山頂上にある苔付きの石。普通の石よりも苔付きの石の方がトカゲ類に好まれることがわかっている。


 なるほど、これを食べに集まってくるんだな。

 ついでに言うとトカゲ達はもう少し下の洞窟や岩陰に巣を作っているが巣に近づくと大勢で襲われるのでギルドによって近づくことが禁止されている。


「この苔付きの石に集まってくるみたいだな」

「それでしたらこの石を集めて待ち伏せするのがいいと思います」


 確かに動きが素早いトカゲを追いかけても時間がかかりそうだからな。


「ならこの辺の苔付きの石を集め──」

「あそこに革トカゲがいます…」


 アオイが僕のセリフを遮って僕の後ろを指さした。

 そして僕が後ろを振り向いた時にはアオイとマインが弓とナイフを構えてトカゲに向かって放っていた。

 革トカゲの見た目は大きなコモドドラゴンで、本当にでかい。

 マインのナイフは急所を外してトカゲの足を浅く切り、アオイの矢はトカゲの頭に突き刺さっていた。

 あれ?動きが素早くて弓矢とかは当たらないんじゃ無かったのかい?

 まあ、いくら動きが素早くても必中の前では無力だな。

 それにこのまま納品すると目立ちそうだな。マインから勇者だと公表されてないって聞いたし、少し傷を付けておくか。


「何でわざわざ傷を付けるのですか?」

「目立ちたくないからだよ」


 何処を傷付けたらいいのかわからなかったので足と頭、尻尾の辺りを傷付けておく。


「意外と沢山いますね…」


 いつの間にか僕らの周りには沢山のトカゲ達が石を貪っていた。


「まあ、トカゲは私達冒険者を恐れずに向かってくる割に弱いですからね」


 そういえばトカゲ達は魔獣なのに僕のことを恐れないな、どうしてだろう。


 メシア)トカゲは魔獣ではありません。

 そのため魔力を食わずに石を食べます。

 どうやらマスターは魔獣にだけ恐れられているみたいですね。


 なるほど、そういえば魔人も人を襲うって聞いたことがあるけどそれって本当なのかな。実際一部では恐れられているみたいだし。


「なあマイン、魔人って人を襲ったりするのか?」

「私達の村ではあまり襲っていませんでした。ただ前の魔王の右腕をやっていた者が魔人で私のような綺麗な緑色の髪を持っていたそうです。」


 マインがトカゲの革を剥ぐ手を止めて答えた。

 そうか、もしかしたら緑色の髪を持った者が魔王の右腕になれるのかもしれないな。


「レンくん、集め終わりましたよ…」

「ありがと、アオイ」


 アオイが苔付きの石を集めていてくれたみたいだ。

 しかしすごい群がっているな。何匹くらいいるんだろう?

 ん?あのゴツゴツした奴が岩トカゲかな?


「岩トカゲも革が売れるのか?」

「いえ、岩トカゲは革トカゲと違い硬い革ではなく鉄を多く含んだ石のような皮膚を持っているのですよ」


 確かにすごく硬そうだな。あの中に鉄が入っているのか。


「鉄鉱石と同じくらい鉄が取れ、さらに肉も美味しいので高値で売れるのですよ」

「高値で売れるのか。それなら何でギルドで紹介されなかったんだろう」

「石でも投げればわかりますよ」


 っと、言われたので手頃な石を掴んで投げる。マインの時のように弾丸並の速さではなく普通の野球選手の全力くらいの速度だ。


「と、あんなふうにほとんどの攻撃が弾かれてしまうのですよ」

「本当に硬いな」


 僕が投げたサッカーボールくらいの石はトカゲの頭に命中したが、ガンッという音がして弾かれた。

 命中したトカゲは何事も無かったかのように石を食べ続けている。


「私の弓も効かなさそうですね…」

「まるで鉄の鎧だな」

「まるでじゃなくてその物なんですけどね」


 しかし僕の普通の石が当たるということは動きは鈍いみたいだな。

 まあ、鉄の鎧を着て避けろというのも無理な話か。


「とりあえずアレは殺しておきますね」

「ん、頼むよ」


 マインが小さなナイフをトカゲに向かって投擲する。ナイフは硬いトカゲの皮膚を容易く貫通して脳を破壊しトカゲを絶命させてから止まった。


「マインの投げたナイフってどれだけスキルの効果が続くのか?」

「私が切りたいと思った時に切れるのでそれを応用して、投げたナイフを途中で普通のナイフに戻すことも出来るのですよ。普通のナイフに戻したらまた切れ味を良くすることは出来ないんですけどね」


 なるほど、便利だな。しかしそれが出来なかったらお風呂の床に穴が空いていたのか。アレは傷で済んで良かったな。

 マインは死んだ岩トカゲの首あたりにナイフを突き刺しそのままお腹を切り開く。そして尻尾の先まで切れ込みを入れたら腕や足を切り落としてツチノコみたいにする。そのまま皮を剥いで肉の塊にして皮を持ってくる。


「レン様、収納にこれを仕舞ってくれますか」

「わかった、その肉の塊も取ってきてくれ」


 マインが持ってきた肉の塊と皮を収納にしまう。


 その後も数時間トカゲを狩り続けた。

 革トカゲ30匹

 岩トカゲ20匹

 岩ゴーレム1匹を倒した。

 岩ゴーレムは20メートル超の石像で食事の代わりに石を取り込む、取り込んだ石の種類によって色が変わる。

 ここの苔付きの石を取り込んだゴーレムは緑色になる。


「というか普通に食事をする魔物が少なくないか?」



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