第60話 おやすみってなんだっけ
「いや、屋敷の裏って畑だよね。それも最初のゴブリン豆の畑」
最初に植えたゴブリン豆を抜くのが面倒なのでそのまま残してある。
それにアオイも日本人だよな。何でそんなにこの世界の常識に浸透しちゃっているんだよ。
「一様ここはミイとかを買った時用の部屋なんだけどな」
「それって奴隷を買った時用ってことですよね?」
「そうだけど。やっぱり狭かったかな?」
僕らの部屋が教室サイズ(わかりやすいし作りやすいしでほとんどの部屋は教室と一緒)なのに対してこの部屋は僕らが泊まった宿の寝室くらいの広さしかない。寝るだけなら事足りるが生活するとなると少し手狭だ。
「とりあえず今日の間はここに寝てもらって明日決めませんか。眠いです…」
あんだけ寝てまだ寝足りないのか。そういえば14時間寝ないといけないんだっけ大変だな。
「そうしようか。おやすみ」
「おやすみなさい、レンくん…」
「明日も起こしに行きますね」
「うん、明日は自分で起きるからマインは来なくてもいいよ」
「お、おやすみです、レン様」(動揺)
皆と別れて自分の部屋に戻る。そういえばアオイ達っておやすみとおはようを言い合っているところを見たことがないな。僕には言ってくれているのに、僕と別れた後に言っているのかな。
さて明日も|(多分)早く起きるしもう寝ますか。
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レンと別れた後、アオイ達は
「ああ、やっぱりかっこいいし可愛いのです」
「こいつがレン様の敵では無くなりましたがやはり殺した方がいいと思うんですけどね」
「もうミイはレンくんの所有物ですよ…」
「よし、明日もレン様の役に立つよう頑張ろうです」
「そうですねレン様の役に立つようさっさとこいつを殺しますか」
「その前にあなたを殺しますよ、マイン…」
就寝前の挨拶をしていた。
と言うより寝る前の宣戦布告といった方が正しいのか。どちらにしろミイが増えたことによってさらに激化したことは確かだ。
またハクの寝床はこの後アオイとマインによって争奪戦が繰り広げられるのだがそれに巻き込まれるのを嫌ったハクがレンの部屋に逃げ込みレンの部屋がハクの寝床となった。
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さて今日は一体誰に起こされたか皆は分かるかな?
なんと今日は自分で起きれたんだよ。携帯のアラームをセットしておいて良かった。もうこれで寝坊助さんとも呼ばれないな。
という夢を見た。夢オチかよとか言わないで欲しい。ものすごい喜んだんだから。今回はハクに起こされました。
顔の上に乗っかってきて息ができなかった。おそらく息ができなくても死にはしないだろうけど苦しいことに変わりはないんだよな。
「ハク、お前が寝る所を作らないといけないな」
頭に乗っていたハクを持ち上げてそんなことを言ったら逃げられた。まあ、猫は気難しいって言うしな。
朝ごはんを食べに食堂へ行こうと部屋を出たらアオイにあった僕を呼びに来たみたいだな。
「おはよう、アオイ」
「おはようございます。もう起きてたんですね…」
ああ、やっぱり寝坊キャラだと思われてるよ。マインはいつも通り倉庫にいるとしてミイは何処に行ったんだろう?
「ミイは何処にいるんだ?」
「ミイなら御者台に乗って馬を操ってますよ…」
「随分と仕事熱心だな」
奴隷ってもっと嫌嫌やっているイメージがあったんだけどな。やはり鞭で叩かない分よく仕事してくれるのかな?
──その頃のミイ
「ぐふふ、レン様の為に頑張って仕事するです。そしたら鞭で打ってくれるかもしれないです」
レンの予想は残念ながら外れていた。
「それよりもご飯を食べましょう。このまま順調に進めば今日中にはエメラ山に着くと思います…」
「そうか、それなら武器の準備もしないとな」
アオイの矢を買うのを忘れていたから矢を作らないとな。矢を作るには羽がいるな、アオイの羽が使えないかな。
確か演出の為に羽を周りに撒くことが出来るとか言ってたしな。
「アオイ、少し羽をくれるか?」
「いいですよ…」
アオイが廊下で天使の羽を出す。神々しいオーラが出て周りを羽が舞う。
「どうぞ…」
「ありがとう」
アオイが落ちた羽を集めて渡してくれた。
随分と綺麗な羽だな。これで矢を作ったらいい物が作れそうだ。
ちょうど食堂へ行くつもりだったマインと合流し、そのまま食堂へ行って朝ごはんを食べた。
「そろそろ着く頃ですね…」
「一様骨で矢のような物を作ってきました」
あ、マインは矢を作りに倉庫へ行っていたのか。
それなら僕が矢を作る必要はなさそうだな。
「レン様、エメラ山に着いたです」
「わかった、すぐに行く」
エメラ山に着いたみたいだ。
倉庫にアオイの矢を取りに行って馬車に戻る。
エメラ山は標高1000メートルくらいの低い山で頂上付近が岩だらけの岩石地帯になっている。この岩石は頂上から流れてくる溶岩が固まった物で沢山の栄養が含まれているらしく、これを食べに革トカゲがやってくる。他にもロックゴーレムや岩トカゲもやってくることもあるらしい。
「レン様、どうしますか」
「そうだな。ミイはここで馬車を見てもらって僕らが革トカゲを狩ることにしよう」
アオイとマインに離れないように注意しながらエメラ山を散策する。
「本当に岩だらけですね」
「所々に緑色の石があって綺麗ですね…」
アオイの見ている石を鑑定してみた。