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第58話 御者

「2人は何を話していたんだ?」


 軽い気持ちで聞いたはずが2人は少し困ったような表情をしている。女の子同士の話は男に聞かれたくない物なのだろうか。


「そ、それよりもハクのご飯は持ってきてくれましたか?」

「ああ、持ってきたよ」


 ハクの前に餌皿を置いてやる。初めは警戒していたがすぐに食べ始めた。

 白猫が生肉を食ってる姿は完璧にホラーだな。

 それとさっきからミイの視線を感じる。

 どうしたんだろう。もしかしてお肉が欲しいのだろうか。


「それとこの子はどうするのですか?」


 マインがミイをフォークで指しながら聞いてきた。

 ミイの扱いはもう決まっている。


「ミイには御者をしてもらうことにしたよ」

「な、何でですか?」


 マインが驚いている。あまりに驚きすぎて殺気を放っている。ミイが怯えているな。あ、アオイとマイン、それに僕は殺気を向けれても怖くないよ。僕らは気付かないしマインは今更だしな。殺気なんて少し鳥肌が立つくらいにしかわからない。マンガの主人公はどうやって気配とか感じているんだろう?


「どうしてこんな奴に御者をさせるのですか。私がやればいいじゃないですか。それとも私が御者をするのに飽きてしまったのですか」


 マインがマシンガンのように文句を言ってくる。面白いな。このままからかってやりたいが、革トカゲをまだ1匹も取っていないので時間が無い。


「収納の魔法陣が座標固定なのは知っているな」

「はい…」

「もちろんです」


 収納の魔法陣は出した所から動かすことは出来ない。だがこの出した所を工夫すると動かせるのだ。


「昨日、僕がやっていたみたいに○○の○○って座標指定して出すと動かせるんだよ」

「あ、昨日は馬車の中って座標指定したのですか…」

「その通り。だからこれから馬車の中と収納は常に繋げておく。そして御者をミイにやって貰って僕らは屋敷の中で──」

「のんびりしておくと…」

「その通り。だから何も問題ないだろ、マイン」

「そうですね」


 うわ、マインが拗ねちゃったよ。

 やはりマインはよくわからないな。僕を殺したいのに役に立ちたいって矛盾してないか?

 それよりもミイが御者をやる気があるのかの方が重要だな。やりたくないことをあまりやらせたくないし。っとまずは首輪を外してあげるか。


「ミイ、首輪を外すからちょっとこっちに来てくれ」


 ミイが素直にこちらに来てくれた。

 奴隷術を使いつつ首輪を外す。


「…本当に首輪を外しましたね」

「…レンくんのことはよくわかってますから…」


 何で小声で喋っているんだ?まあ、どうでもいいか。

 それと首輪を外したミイがこちらをじっと見ていた。


「ミイは御者をやる気はあるか?」

「もちろんです。前のご主人様の所でも御者をやっていたこともあるです。一様料理担当だったので料理だったら任せるです」


 よ、よく喋るな。お風呂で洗っていた時は全く喋ってくれなかったのにどうしてなのだろう。まさかこの短時間で心を開いてくれたのだろうか?

 いや、奴隷となって、しかも捨てられていたんだからそうそう心を開いてくれるとは思えないんだが。

 まあ、考えても仕方ないし、敬語が少しおかしいところ以外、都合悪い所はないから大丈夫だな。


「それじゃ、早速移動を開始するか」


 僕は壁に魔法陣を出す。この状態で出したい物をイメージするとこの魔法陣に向かってイメージした物が飛んでくるという訳だ。今回はミイをイメージする。

 するとミイが空中に浮いて魔法陣に突っ込んで行く。

 へー、あんなふうになってたんだ。

 僕らもミイの後を追って魔法陣を潜る。


「れ、レン様、良かったです。捨てられたかと思ったです。心配するです」


 いきなりミイが泣きながら抱きついてきた。本当に突然仲良くなったな。

 ミイがマインに首根っこを掴まれて引き剥がされる。アオイもミイも心配性だな。マインなんて殺しにくるぐらいなのに、もう少し緩くなってもいいと思うんだけどな。


「とりあえず、ミイにこの辺の地理と馬の癖を教えてやってくれ」


 マインに頼んでおく。その間にこの辺の木をいくつか切り倒す。

 もしかしたら切り倒すのに許可がいるのかもしれないがまあ、バレなければ問題がないだろう。


「レンくん、この穴は何だと思いますか…」


 ん? アオイが何かの穴を発見したみたいだな。

 マイン達に一言言ってからアオイの見つけた穴を見に行く。

 穴の大きさは直径5メートルほどの楕円形で地面に対して垂直ではなく斜めに掘られていて奥は暗くて見えない。

 テレビで見た熊が冬篭りで作る穴に似ている気もするが大きすぎる。

 本当に熊なのだろうか。いや、1メートル超の猪が蔓延っているこの森のことだ、4メートル超の熊がいても不思議ではない。


「それでこの穴の中にこんな熊が居たんですよ…」

「ふーん、そんなのか。…って、え?」


 まさかの事後なのか。既に終わっていたのかよ。

 アオイが紹介してきた熊は体長6メートル超の大きな熊で額に赤い角があった。

 しかし顔が何か硬い物で殴られた跡があり目や鼻は潰れている。多分あのバッドで殴られたんだな。

 とりあえず解体スキルを使ってバラバラにしてたくさん出た油は木桶に入れておく。

 これをやり終わった時にマインが呼んできた。

 説明が終わったみたいだな。


「ミイ、この辺の地理は覚えられたか?」

「はい、覚えたです。もう出発するのか? です」


 うーん、そうだな。まだ明るいし少しは進めるだろう。

 3人とも馬車に乗り込んだのを確認して


「じゃ、革トカゲ狩りにレット・イット・ゴー」


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