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第57話 信者

「それでは食料庫からお肉を取ってきてもらえますか…」


 ふぅ、レンくんは行ったみたいですね。

 ミイの目を凝視しながらマインに話しかけます。


「この子、信用出来ると思いますか…」

「全く出来ないですね」


 間髪入れずに即答されました。さっきからナイフをミイに向けているのは気のせいではないのでしょう。

 まあ、私も信用していないのでお相子ですね。


「やはり殺した方がいいと思うのですが」


 マインがミイにナイフを向けながら提案して来ました。

 確かに殺した方がいいかも知れません。でもレンくんは何故か人殺しが嫌いなのであまりしたくないんですよね。

 戦うのは好きなのにどうして人殺しは嫌いなのでしょう。これだけ見ていてもわからないことはあるのですね。

 しかしどうしましょうか。やはり信者にするのがいいですかね。マインは仲間にしたかったらしいのでしませんでしたが奴隷ならば問題は無いでしょう。


「ミイ、私の目を見てくれますか…」


 ミイがゆっくりとした動作で私の目を見つめ返してきます。


「何をするつもりですか?」


 そういえばマインには言ってませんでしたね。説明するのが面倒なので実際に見てもらいますか。

 ミイの目を見つめながら天使スキルを使います。

 目を合わせないと信者に出来ないので戦闘中はあまり使えません。ですがこのスキルには良い所があるのでこれから重宝すると思います。


「何をしたのですか?」

「スキルを使って信者にしました…」

「つまりこいつはあなたの言うことを聞く道具のようなものになったということですか」

「私の信者ではありません。レンくんの信者です」


 このスキルは信仰対象を自由に設定出来るのです。それに信仰度合いも設定できるのが便利です。つまり尊敬させることも出来ますし、依存させることも出来ます。

 ミイの場合はレンくんに依存しています。

 奴隷なんだから心配しなくてもいいんじゃないかって思う人もいるかもしれませんが、あのレンくんのことです。どうせ可哀想だからとか言って首輪を外してしまうと思います。

 だからこれは必要なのです。


「アオイはレン様のことが好きなんですよね」

「そうですよ、ただあなたとは好きの意味が違う気がしますが…」

「当たり前ですよ。レン様をここまで愛していて殺したいと思ってる生き物はいませんよ」


「いたら私がぶち殺します」っていうセリフを付け忘れている気がしますがそれほど重要ではないのでほっといても大丈夫でしょう。


「それで何が聞きたいのですか…」

「どうして好きになったのかが気になるんですよ」


 マインが目をキラキラさせながら聞いてきました。しかしマインの目がキラキラしているのは恋バナだけが原因では無いみたいですね。

 さっきからオークのお肉しか見てませんから。仕方がないのでお肉をマインの前に置いてあげるとすぐに食らいつきました。犬みたいですね。


「私は昔、虐められていたことがあったんです。大人に見つかりにくい場所で虐められていたので誰も助けてくれませんでした。でもある日、いつもの場所で虐められていると…」

「レン様が助けに来てくれたんですね」


 マインが予想してセリフを先に言いました。

 もう肉を食べ終わったみたいですね。

 さっきのセリフを肯定するために少し頷く。


「そうです。その時のレンくんの姿がかっこよくてそれからレンくんの近くにいるようになったのです…」


「その時にはレンくんのことが好きになっていました」そう言い切る前にアオイが話を遮ってきました。


「本当に虐められていたんですか?」

「嘘なんてついていませんよ…」


 虐められていたのは事実です。

 ただ…


「元からレン様のことが好きでレン様のことを好きになるためにわざと虐められてそれをレン様が見つけるように仕向けたんじゃないですか?」


 やはりわかりましたか。いつかは気付かれると思ってましたがレンくんの前にマインが気付くのは予想外でした。


「細かいところは違いますが大まかにはそれであっています。どうして気付いたんですか…」

「あなたを虐めることがそう簡単に出来るとは思えません。だってあなた、相当戦い慣れているでしょう?」

「どうしてそう思うのですか…」

「この私と同等以上に戦える。それだけが理由ですよ。というかレン様に近づくために虐められる。そして好きになった理由作りの為にレン様に助けられるように策を巡らす」


 ──ここでマインが少し間を開けてとても楽しそう笑みを浮かべた。


「レン様のことが好きだからレン様のことを好きになる理由を作る。あなたも相当狂ってますね」


 まるで仲間を見つけて喜んでいる子供のようにマインは笑った。


「私が狂っているか、狂っていないか、そんなことはどうでもいいんですよ。わたしはレン様のことが好き、それだけです…」

「そうですね」


 ──2人が同時に黙る。レンの足音が聞こえたからだ。

 そのままお肉を持ったレンは扉を開けて


「2人は何を話していたんだ?」


 ここでどんな会話をしていたのか知らないレンは面白そうに2人に聞いた。


10万文字超えました。おめでとうございます。

これからも投稿していくので評価、ブックマークお願いします。

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