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第54話 唸り声

「マイン、話せ」

「…はい」


 命令形で言ったら話してくれた。

 何でも虫が出て驚いたマインがナイフを投げてしまったそうだ。

 マインにも女の子らしい所があるんだな。それと──を頼まれた。

 これからはあまり屋敷の部屋を壊さないように注意してマインから頼まれたことをやってから自分の部屋に帰った。


 ベッドに乗った時にスマホのランプが赤く光っていた。どうやらスマホの充電が無くなりそうなので小さな光源を作って太陽光発電充電器を取り出して充電する。少し眩しかったので箱を被せておく。

 そういえばスマホが壊れたとき用に物を直す魔法か何かを探しておかないとな。

 しかし睡魔には勝てずそのまま寝てしまった。


 ───────────────────────


「…くん…レンくん、起きてください。朝ご飯が出来ましたよ…」


 うん? 今日はアオイが起こしに来てくれたみたいだな。


「マインはもう食堂にいるのか?」


 アオイと話をする為に顔を上げる。


「マインなら食料倉庫にいますよ」


 アオイがクスッと笑ってから教えてくれた。

 何か顔に付いているのだろうか。


「顔にゴミでも付いているのか?」

「L字形の跡がついていますよ…」


 L字? まさか枕にしていたこの箱の跡が付いているのか。

 跡ってどうやったら消えるのだろう。怪我でもないから超回復は働かないし、状態異常というには無理があるから状態異常耐性も意味が無いし。

 とりあえず擦っておく 。

 突然怪獣の唸り声が聞こえた。


「え?なんだ?」


 アオイが顔を赤くしながら俯いている。

 まさかアオイのお腹の音か? グルルルルって言ってたぞ。というか今更だけど天使もお腹空くんだな。


「と、とりあえず朝ご飯を食べようか。マインを呼んでくるから先に食べといてくれ」

「はい……」


 ああ、さらに声が小さくなっちゃっているよ。

 先にアオイを食堂に行かせてから倉庫に向かった。


 食料倉庫はキッチンの右にあり、屋敷の外に繋がる大きな扉と廊下に面している両開きの扉の2つの扉がある。

 倉庫の広さは教室ぐらい、だが収納の応用によって空間を捻じ曲げて体育館ほどの広さにしてある。その為見た目は小さいのに中に入るととても広い不思議倉庫が出来た。

 倉庫の中は収穫した野菜や調味料などが木箱に入っている。

 アオイによるとここにマインがいるらしいので来たのだけど…扉が開けにくい。建付けとかの問題ではなく何故か中で骨や肉が裂ける音が聞こえるからだ。

 少し考えて中に入るのは諦めた。ご飯前に死体とか見たくないからな。


「マイン、先に食堂に行って朝ご飯食べとくぞ」

「わかりました、これを片付けてすぐに行きますね」


 結局扉の向こうにいるマインに声を掛けて食堂に行った。


 ───────────────────────


 今日の朝ご飯も普通に美味しかった。

 途中で血塗れのマインが来て強制的にお風呂に突っ込む、なんていうイベントがあったがあまり面白くなかったのでカットした。


「私はこれから倉庫に行きますが、レン様も見に来ますか?」


 マインが食べ終わったお皿を洗いながら聞いてきた。

 どうしようかな、朝ご飯も食べたしそろそろ移動を始めたいのだけど。まあ、時間は沢山あるし見に行ってみるか。


「そうだな、見に行くよ」

「そうですか、それなら早めに行きましょう。お腹を空かせているかも知れませんし」


 お腹? 訳が分からないがとりあえず倉庫に行ってみる。


 この屋敷の食料倉庫は比較的綺麗だった。元々肉類が少なく野菜だけを置いていたのもあってとても綺麗なはずだった。

 今この食料倉庫は血塗れです。どうしてこうなったのでしょう?


「何でこんなに獣の死体が山積みになっているんだ?」


 血塗れの元を見ながら血塗れの原因となったマインに聞く。


「お肉が少なかったので取ってきました」


 なるほどだから昨日、「少し外に出たいので魔法陣を出しておいてくれませんか?」って聞いてきたのか。


「しかしこの量の死体の解体は時間がかかるんじゃないのか?」


 マインがナイフを使って解体しているのを見たことがあるがすごく時間がかかっていた。こんなに沢山の量の解体は一体何時間かかるのか分からない。


「大丈夫ですよ、見ていてください」


 マインが1番上に乗っていた猪を取って足を折る。鈍い音をたてて足が取れその足の表面をマインが撫でる、すると猪の皮がするりと剥がれた。

 え?あれってスキルか? 解体スキルか何かかな?

 でもマインはスキルを持ってなかったはずだけど。それにマインは空きスキル欄もなかったはず。どうやっているんだ?


 メシア)恐らく鑑定できなかったスキルの効果により無意識の内に隠蔽されている可能性があります。また意図的ではない隠蔽のため絶対切断などが鑑定できた可能性があります。


 なるほど僕の(???)と、同じような物か。

 しかしスキルを無意識に使えるってすごいな。


「それはいつから使えるようになったんだ?」


 猪の足の皮を全て剥がし筋肉を骨から剥がしているマインに聞く。


「いつも通りナイフで解体していたら突然出来そうな気がしてやってみたら出来ました」


 なるほど、この世界のスキルは入手時に使い方が何となくわかるのだろう。ただ複雑なスキル──魔王魔法なんかはわからないみたいだな。

 その後もマインが肉を剥がしたり骨を折ったり猫が鳴いたりする音を聞きながらこの肉の使い道を考え…


 猫の鳴き声ってなんだ?



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