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第53話 お風呂──後編

「死にたいのですか?」

「そんなナイフごときで殺れると思ってるのですか…」


 さっきまで楽しかったお風呂場が戦場へと変えられる。

 先に動いたのはマインだ。

 手に持った小型のナイフをアオイに向かって投擲する。そして跳躍しアオイの後ろを取ろうとする。

 しかしアオイは飛んできたナイフを金砕棒で叩き落とし自分の上を跳んでいるマインに向かって金砕棒を振り回す。

 マインは空中で体を捻りアオイが振り回す金砕棒の先に足を向ける


「──ッ!」


 そして衝撃を逃がしながら後ろに跳ぶ。着地に成功するも水に濡れた風呂場の床では上手く止まれずそのまま後ろにスケートのように滑る。止まったマインの手には新しいナイフが構えられている。

 マインに向かってアオイが羽から出した弓を射る。

 まだ矢を買っていないので射ったのは光の矢だ。

 爆発の直撃を恐れたマインが光の矢を切り捨てる。

 光の矢はマインの手前で爆発しマインの目が一瞬眩む。

 その隙を逃さずにアオイが金砕棒を打ち込みに行く

 それを予測してしていたマインはナイフを振ってアオイを追い返す。

 後ろに下がったアオイに追撃を加えに行った。滑る床をものともせずに最高速度でアオイの首を取りに行こうとする。

 だがアオイの首にナイフが届く寸前にマインの胸にアオイのナイフが当てられ、二人の動きが止まる。

 訪れた膠着状態。それを崩したのは──レンだった。


「まだ入っているのか? のぼせる前に出ろよ」


 レンの声が聞こえた途端2人が一瞬ビクッとして2人同時に扉の方を向く。


「一旦休戦しませんか」

「異論はないです…」


 アオイとマインは壁や天井に飛び散った水をある程度片付けお風呂を出た。


 ───────────────────────


 野菜を回収し始めて既に数十分が経過した。

 今僕は虫取り網を振り回している。

 レテスを収穫する為だ。

 レテスの葉はとても軽くまだ小さい時は根が地面を掴む力の方が強く地面に留まっているがある程度育ち花が咲く頃になると葉の数が多くなり宙に浮き出す。

 そのまま風に乗って遠くまで集団で流され遠くに種をばら撒くのだ。

 ここ(収納)では風は自由に操ることが出来る。通常は無くしてあるのだが今は少しだけ風を吹かしてある。

 その為レテスが空中で踊り狂っている。

 それを虫取り網で回収しているという訳だ。本当は槍を作って串刺しにしてもいいのだがレテスの葉はとてもシャキシャキしていて美味しいのだ。出来るだけ優しく取りたい。


「よし、野菜の収穫はこれで終わりかな」


 結局野菜を回収するのに泥だらけになってしまった。

 折角お風呂に(シャワーだけだけど)入ったのにもう1回入らないとな。

 イチギを食べながら屋敷に戻る。


 お風呂場の前まで来たのだがまだ中にいるみたいだ。少し長すぎじゃないだろうか。

 一応声を掛けておく。


「まだ入っているのか? のぼせる前に出ろよ」


 まあ、すぐに出るだろう。

 先にタンクの様子を見る。

 …シャワーと熱湯が少し減っているな。

 魔法でサッと補充する。

 お風呂場の扉が開く音がした。アオイ達が出たのかな。

 お風呂場に向かってみる。誰もいない。

 どうやら出たみたいだな。サッサっと服を脱いでシャワーまで直行す──


 ゴデーン

「痛っ」


 何かにつまづいて顔から地面に突っ込んだ。痛みは感じていないが元々持っていた名残で痛いと感じてしまう。

 一体何が落ちてたんだ?

 僕はさっきの転ける原因となった物を見つめて…


「何でここにナイフが刺さっているんだ?」


 ナイフを発見した。

 このナイフはマインがいつも持ち歩いているナイフだ。喧嘩でもしたのだろうか。

 後で聞くことにして先にシャワーを浴びる。

 泥が沢山落ちていって髪が綺麗になっていく。

 その後数十秒ほどシャワーを浴びた。

 とりあえずナイフを回収してマインに何があったのか聞かないと。

 回収しようとナイフが刺さっていた場所を見るとナイフが消えていて傷だけが残っていた。

 どうなったのだろうか。とりあえず傷だけを直してモヤモヤした気持ちを抱えつつ部屋に戻る。


 部屋に戻る前にマインの部屋に寄る。


「マーイーンー」


 ちょっと怒っている風を装って部屋に入る。


「ど、どうしたんですか。レン様」


 マインが目を合わせずにオドオドした様子で聞いてくる。

 なんというか、すっごいわかりやすいな。

 いつものマインなら


 メシア)通常時のマインで同じことを聞いた場合、「あれ? どうしたんですか。はっ、ようやく一緒に寝る覚悟が出来たのですか?」っと聞いてくると思われます。


 うん、これ外してたらやばかったな。

 それにメシアが質問をしなくても答えるようになったな。

 まるでスキルじゃなくて人と話しているみたいだ。


「さて話してくれるな、マイン」

「えーと、何をですか?」


 顎に人差し指を当て斜め上を見ながらとぼけるマイン。


「話してくれるよな?」

「えっ、あの、」

「マイン、話せ」

「…はい」



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