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第45話 魔王の右腕

「魔王の右腕って誰がですか?」


 あれ? 称号は持ってるのに自覚はないのか?


「はっ、まさかアオイが魔王の右腕だったのですか。わかりました、今すぐアオイを仕留めてきます」


 剣を片手にそう言ってマインは部屋を出ていこうとしたが襟を僕の右手に掴まれて引き戻される。


「何をするんですかレン様。私がレン様に変わって魔王の右腕を殺ろうとしているのに、邪魔しないでください」

「待て待て魔王の右腕はアオイじゃなくてお前だぞ」


 マインが3秒ほどポカーンとしてすぐに首と手を横に振る。


「レン様は冗談が上手ですね。私が魔王の右腕だなんてそんなことありえませんよ」


 マインはそう言っているが僕は真剣な顔でマインを見つめ続ける。


「えっ、まさか本当に私が魔王の右腕何ですか?」


 無言で頷く。というか今まで気付かなかったのかな?


「ということは勇者であるレン様と心置き無く殺し合えますね」


 花のように可愛らしい笑顔でとんでもないことを言ってきた。

 いや、冷静に把握している場合じゃないだろ。


「いや、マインが魔王の右腕だとしても敵だと決まった訳じゃないんだからな」


 逆に魔王の配下が勇者に味方するのはよくあることだ。


「というかよく信じられたな。狂言の類だとは考えなかったのか?」


 いきなり「お前は人類の敵だ」って言われたようなもんだからな。


「元々レン様は殺す予定ですしあっちの勇者も殺す予定です。それに人を殺しすぎて人斬り呼ばわりされたくらいですから魔王の右腕と呼ばれても不思議はないなって」


 確かに。って納得したらダメだろ。マインは既に武器を構えちゃってるし。ど、どうしよう。

 あれ? 何で「呼ばれても不思議はない」なんだろう。渾名の1種だと思われているのかな。

 ま、とりあえず命の危機(だと思う)を打開しないと。


「とりあえず落ち着かないか。少し聞きたいこともあるし」

「ちっ、そうですね。私も魔王の右腕の話が出てきた経緯が知りたいです」


 今、「ちっ」って言ったよな? いや、話が進まなそうだから聞かなかったことにしよう。

 それと経緯って言われても鑑定したらそう出たってだけだからな。


「僕の鑑定でマインが魔王の右腕の称号を持っているってわかったんだよ」

「それは無いですよ。今まで魔王の右腕と呼ばれたことのある者は1人しかいないのですから」


 1人? 魔王が召喚される度に現れるんじゃないのか?

 と、聞いてみた。


「魔王の右腕というのは前回、つまり100年前の魔王討伐の際に勇者と戦った敵ですよ」

「その時代にしか魔王の右腕は現れなかったのか?」

「というよりその時の魔王の能力が刻印を使って配下を強化する能力らしくその能力で強化されると何かしらの称号が貰えるそうです」


 ルーンみたいだな。あれを刻んだ武器は強くなるとかゲームでよくあったな。


「その刻印と同じ形の刺青を同じ場所に入れると魔王の加護は移すことが出来てその時に幾つかのスキルも移るそうです」


 なるほど。というより詳しすぎないか。

 まるで見てきたみたいに言っているが。


「どうしてそんなに詳しいんだ?」

「旅人さんがよく話してくれたんですよ。なんか120歳を超えてるとか言ってて見た目はそんなにおじいちゃんではないんですけど1度喋り出すと止まらないんですよ。だから覚えてしまいました」


 その旅人本当に人なのか?もしかしてエルフとかかな?


「その旅人って耳が長かったりするか?」

「いえ、普通の魔人でしたよ」


 なるほど、魔人は人間より寿命は長いからな。


「そういえばその魔王の右腕の刻印と同じ形の刺青を私持ってますよ。ほらこれです」


 そう言ってマインは右腕の甲を見せてきた。確かに刺青がしてあるな。六角形と五角形を重ねたような形だな。


「旅人さんの甲にもあってお揃いみたいで嬉しかったんですよ」


 まさかその旅人って…


 メシア)マスターの想像通りその旅人が魔王の右腕だと思われます。おそらくその旅人が魔王の加護を後世に伝えるためにマインを使ったのでしょう。


 いや、でもマインはそんなにスキルを持っていなかったぞ。


 メシア)マスターの鑑定では所持していることすら鑑定出来ないスキルなのではないでしょうか。


 うわ、どんなチートだよそれ。

 しかしそれならマインが気付いてなかったのも頷けるな。うーん魔王の右腕が仲間なら面白そうだと思って仲間にしたのにこれじゃちょっとな。まあ面白いことに変わりはないから全然問題ないけどな。


「あ、そういえばへブリー平原に魔獣が出たのでした」



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