第43話 料理の量が多すぎる
「誰がどう見てもあのテーブルだけおかしいだろ」
「そうですか…」
今度は逆の方向に首を傾げて聞いてくる。
僕の指差したテーブルの上には大量の料理が文字通り山のように盛ってあった。
いや、こんなに食える訳ないだろ。
まさかアオイは意外と大食らいなのか?
「そ、そんなに食べませんよ。その、余ったらレンくんの収納に入れてもらおうと思ったんです…」
そういうことか。確かに僕の収納の中に入れた物は腐らないように出来るから作り置きしといた方がいいと思うけど
「アオイの羽には入れないのか?」
「私の羽は容量がレンくんのよりも少ないので、それに私の羽はあくまで入れれるだけで腐ったりするので入れるメリットがないんですよ…」
なるほど。僕の収納ほど便利ではないんだな。
とりあえず聞きたいことは聞けたので席に座る。
「いただきます」
「いただきます…」
よし、まずは肉から食べ始めるか。
アオイから手渡されたフォークを肉に刺す。そしてその肉を口に運ぼうとした。だが近づいてくる足音が聞こえたので肉を食べようと大きく開けていた口を閉じ顔を上げる。
「遅くなりました」
なんだマインか。誰かわかったのですぐに肉を口に運ぶ。きちんと火が通りつつ肉の中心は生のまま。絶妙な塩加減でとても美味しい。
「レン様、少し気になったのですが」
マインが席に座りつつ聞いてくる。
「女騎士の件で何かあったのか?」
この頃起こった出来事はそれくらいしか思いつかない。
「いえ、レン様は首を切り飛ばされても生きていられるのか気になったので」
「さすがのレンくんでも首を落とされたら死ぬと思いますよ…」
そう言いながらアオイは一抱えほどもある蒸し焼きにされた魚の首を切り落とす。
うわぁ、周りの人が引いてるよ。
でも僕も気になるな。さすがに死ぬと思うけど。メシア先生、そこん所はどうなってるんですか?
メシア)マスターの首が切り落とされた場合すぐに再生します。
なんと僕は首を落とされても生きれることが判明した。
その時は記憶とか大丈夫なのかな?
メシア)死ぬ直前までの記憶が再現されます。
それなら安心だな。いや首を落とされてる時点で安心ではないか。
「レン様大丈夫ですか?」
ああ、また固まっていたみたいだな。
「大丈夫だよ。それとさっきの質問だけどどうやら頭を落とされても生きれるみたいだな」
「本当に不死身ですね…」
「どうやって殺そうか妄想が膨らむので私にとってはいいことです」
アオイの僕を見る目が本格的に人外を見る目に変わってきた。
アオイも人外なんだけどな。
マインもサラッと怖いこと言ってるし早めに普通の感覚を持っている人を仲間に入れたいな。
「類は友を呼ぶって言いますし、また化け物が仲間になるかもしれませんよ…」
「そうならないことを願ってるよ」
次はできるだけ常識を知っていそうな人を仲間にしよう。そう決心したレンであった。
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食べ始めてから1時間ほどたった。
「ぜ、全然減らないな」
「作りすぎたかも知れませんね…」
3人がかりで食べてもまだ半分ほど残っている。一体どれだけ作ったんだろう。
「なあアオイ、これ作り始めたのって何時ぐらいだ?」
アオイが少し左上を見ながら思い出そうとする。マインは少し斜め下を見て目線を外す。どうしてだろう?