第42話 夜ご飯
「裏の通りに捨てといてくれ」
「わかりました」
って足音の正体はマインだったのかよ。
「何でマインまでここに来たんだ?」
「レン様があまりにも遅いので呼びに来たんですよ。せっかく作ったご飯が冷えてしまいますよ」
そうだった、アオイが夜ご飯を作ってくれてるんだった。
「そうだな。そろそろ食べに行くか」
「私は先にこれを捨ててくるので先に食べといてください」
マインはそう言いながら足先でツンツンしてる。可愛い。
じゃなくて、人を足で突くのはダメだろ。
一応殺さないように釘を刺しておくか。
「殺すのはやめてください…」
「大丈夫ですよ。ちゃんと殺さずに捨てますから」
アオイに言われたな。まあ、大丈夫って言ってるし心配しなくてもいいだろう。
「それじゃあ先に言ってるぞ」
「すぐに向かいますね」
僕とアオイは一緒に部屋を出た。
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マインはレンが階下へ降りて行くのを確認し部屋へと戻った。
「レン様は行ったようですね。さて聞こえているのかは知りませんが忠告はしておきます」
マインはまだぐったりしているアリスに向かって自分の意思を確認するかのように告げる。
「誰の指示でレン様の命を狙ったのかは知りませんがレン様を殺すのは私です。それを知って尚レン様を狙うのであれば…」
そう言いながらアリスの首を掴み窓から外に捨てる。クルクルと回りながら落ちていく。
「そのまま綺麗に弾けてくれたら良かったのですが」
だがアリスは死ななかった。アリスは空中で体制を整えそのまま受け身を取り衝撃を受け流した。
「死んだフリだけは上手なんですね」
そう呟くマインには振り向きもせずアリスは走り去って行く。
マインはレン達の元に向かう為に部屋を出る。
相変わらずレン様は危機感が足りませんね。
いくら化け物でも首を落とされたら死ぬということを知っているのでしょうか。
もしかしてレン様は首を落とされても生き続けられるのでしょうか?
…あのレン様なら出来そうですね。後で聞いてみましょうか。
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「そういえばご飯を作ったって何処で作ったんだ?」
部屋から出てすぐに聞いた。また外で食べるのは嫌だからな。
「1階にいるガレンさんが厨房を快く貸してくれたんですよ…」
人は見かけに寄らないってこの事だな。あの強面の男が快くとか信じられない。
「私からも1つ聞いていいですか…」
「いいよ。何?」
「王城の時みたいな変な踊りをしてましたけど何か考え事でもしていたんですか…」
変な踊り? もしかしてマインが女騎士を突いてた時かな。
「どんな踊りをしていたんだ?」
「孫を愛でるおじいちゃんみたいな顔で笑ったと思ったらすぐに壁に向かってツッコミを入れて頭を振ってました…」
壁に向かってのツッコミはやばいな。
「その時のことは忘れてくれ」
「わかりました…」
そんなことを話していたらいつの間にか食堂に着いていたようだ。
「どのテーブルに座ればいい…ん…」
「どうしたんですか…」
アオイが首を傾げて聞いてくる。
「もしかしてあのテーブルか?」
食堂の端にあるテーブルを指差しながら聞いてみる。
「よくわかりましたね…」
アオイが目を丸くして驚いている。
いや、誰がどう見てもあのテーブルだけおかしいだろ。